○鑑定コラム


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209)個人情報保護法への対応

 2005年4月1日より個人情報の保護を目的とする法律が施行されることになった。法律の名前は『個人情報の保護に関する法律』と呼ばれる。

 その法律の施行に伴い、2005年3月31日までに不動産鑑定業を営む不動産鑑定士は、その法律を遵守し、法律に従って情報を管理・取り扱うことを、ホームページを持っている人は、ホームページにその旨公開しておかなければならないと、所属する社団法人日本不動産鑑定協会及び社団法人東京都不動産鑑定士協会から指示があった。

 2005年の2月末頃に「不動産の鑑定評価業務に係わる個人情報保護法に関する指針」という鑑定協会主催の講習を受け、法律の内容、鑑定評価業務と個人情報保護法との関係について研修した。

 私のごとき経理の明瞭化のために株式会社の形態をとっているが、実質個人の鑑定事務所にとって、5000件を超える個人情報などとても所有している規模の事務所では無い。個人情報保護法の対象になる個人情報を取り扱う事業者に適合する事務所ではない。

 しかし、社団法人東京都不動産鑑定士協会が所蔵管理する土地取引事例等のデータを共同利用していることから、個人情報を取り扱う事業者ということになるらしい。

 鑑定協会に、
 「2005年3月31日までに所定の手続きを行って、ホームページに公表しておかないと駄目なのか。」 と問うた。そしたら、
 「そうです。法律違反になります。実行して下さい。」
という返事が返ってきた。

 加えて、ホームページの表の一回でクリックすれば分かる場所に、個人情報保護法を遵守する旨の項目を表示しておくようにと鑑定協会は指示する。

 法律違反に問われてはたまらないから、不用な所蔵する取引事例データ、鑑定評価で不用になった書類をシュレッダーで裁断した。

 そして鑑定協会が個人鑑定業者用に作成したモデルを利用して、年度末の忙しい時であったが、2005年3月31日の夜までに何とかホームページに公表する作業を終了した。

 不動産鑑定評価には価格を求める手法として3つの手法がある。
 取引事例比較法、原価法、収益還元法である。

 このうち取引事例比較法とは、更地評価で言えば、土地の取引事例を時点修正、地域要因等の比較を行って求める手法である。
 この取引事例の扱い方次第で、個人情報保護法に引っかかるというのである。

 それ故、国土交通省、鑑定協会は、不動産鑑定士の国家資格の信頼の上で、使用目的を不動産鑑定評価業務に限定することを明示し、不動産取引事例の収集・管理・使用の厳格な自己規制を行うことを条件にして、消費者の理解を得ようとしている。

 不動産鑑定書には、取引事例比較法の取引事例表示は、「**町*丁目」までにとどめ、地番表示は禁止となった。
 図面に場所を表示する時には、原則縮尺1万分の1以下のものを使い、大きな○印でしか表示しないということになった。

 つまり、事例の特定が出来無いことによって、個人のプライバシーを守ろうという考え方である。

 昨年2004年の前半頃、「不動産取引事例の公開制」が法案化されそうであった。しかし、その法案化は突如取りやめになった。
 それは、今回の「個人情報保護法」との整合性の詰めがなされていなかったためであったと聞く。

 国土交通省は今後どのようにして、不動産取引事例の公開化を法制化するのであろうか。

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