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栃木の宇都宮に本店を持ち、全国で233店舗を展開している家電量販店の株式会社コジマが、2005年3月に栃木県小山市に『NEW小山店』を開店した。(コジマHPプレスリリース 2005年3月17日)
潟Rジマは猛スピードで最近店舗を開店している。年間の出店の数が多くて大丈夫かと思いたくなるが、何しろ元気の良い会社だ。ホームページで出店店舗用地を探しているから、街道沿でそれなりの規模の土地を持っている人は土地利用を申し込んでみたらどうだろうか。
減損会計で土地の有効利用を義務づけられる企業には、手段の一つとして考えても良いと思われるが。
本コラムは、コジマの宣伝を目的としたコラムではないから、この辺りで。
以下に不動産鑑定評価の知識から価格等の分析を試みる。
『NEW小山店』も潟Rジマが最近出店した店舗の一つである。
その『NEW小山店』の概要をプレスリリースから述べると、
敷地面積 4,319平方メートル
建物延べ床面積 7,950平方メートル
売り場面積 3,371平方メートル
駐車場 168台
初年度売上高 30億円
従業員 30人
である。
潟Rジマの決算書関係報告書を見ると、『NEW小山店』の建物及び店舗造作・保証金・敷金の予算額は747,000,000円である。
これらの数値から、次のことが分析される。
まず投下資本に対する売上高倍率は、
30億円÷7.47億円=4.0
である。他の店舗ではそれ以上の6.3倍程度のデータもある。
潟Rジマの2004年3月期の売上高は475,480百万円で、固定資産額は69,894百万円である。
固定資産回転率は、
475,480百万円÷69,894百万円=6.8
6.8回転である。
投下資本を固定資産額と考えると、『NEW小山店』の固定資産回転率は4.0回転ということになる。
潟Rジマのバランスシートから見れば、平均の6.8回転より30%(4.0÷6.8=0.70)低いということで、やや固定資産に金を掛けすぎと言うことになる。しかし、初年度の予想売上高での分析であり、次年後以降売上高がのびれば、この問題は解決される。
潟Rジマの固定資産回転率は6.8回転と求められたが、鑑定コラム37)
「大規模量販店の売買価格」の記事で、ダイクマを買収したヤマダ電機の投下資本に対する売上高倍率は6.8倍であった。
潟Rジマの固定資産回転率と、ヤマダ電機の投下資本の売上高倍率との数値が一致している。
6.8倍とは、
1/6.8≒0.15
である。
量販店の固定資産価格若しくは投下資本の金額は、売上高の15%ということが一つの指標の数値といえるか。
次の分析に進む。
延べ床面積に対する売り場面積の割合は、
3,371平方メートル÷7、950平方メートル=0.42
である。売り場面積は延べ床面積の50%を切ると言うことである。
その売り場面積に対して、駐車場はどれ程必要かというと、
3,371平方メートル÷168台=20平方メートル
売り場面積20平方メートルに対して、駐車場が1台ということになる。
従業員一人当りの売上高は、
30億円÷30人=1億円
1億円である。
次に店舗の建設コストはいか程かというと、
747,000,000円÷7,950平方メートル=93,962円≒94,000円
平方メートル当り94,000円、坪当り31万円である。
これら上記分析結果の数値は、量販店の鑑定評価する時には、かなりの参考になるデータになると私は思う。
次に家賃がいくらかについて分析してみる。
郊外量販店は潟Rジマに限らず、土地所有権者に、建物を建ててもらい、その建設費は量販店が保証金として提供するケースが大半である。
賃貸借契約期間を20年とすれば、賃貸借期間が経過した時、差入れ保証金を土地建物所有権者より返却してもらう。
その間、量販店は建物を家賃を払って賃借するのである。
潟Rジマの最近2期の損益計算書によれば、売上高に対する賃借料は、次のごとくである。
15年3月期 売上高 502,651百万円 賃借料 13,010百万円
16年3月期 売上高 475,481百万円 賃借料 13,493百万円
賃借料は、家賃と考えられるから、売上高に占める家賃の割合は、
15年3月期 13,010÷502,651=0.026
16年3月期 13,493÷475,481=0.028
である。
売上高に対し家賃割合は2.6〜2.8%ということである。
コジマ『NEW小山店』の初年度売上高は30億円の予測である。家賃割合を真中をとって2.7%とすると、
3,000,000,000円×0.027=81,000,000円
月額賃料は、
81,000,000円÷12=6,750,000円
である。
平方メートル当り賃料は、
6,750,000円÷7,950平方メートル=849円≒850円
坪当り換算では、
850円×3.30578=2810≒2,800円
2,800円である。
次に坪当り2,800円の賃料として、土地所有権者の投資利回りはいくらになるのであろうか。
土地価格が不明であるから、はっきりとわからないが、土地価格を小山市の地価公示価格の駅南町4丁目の価格u当り97,500円(16年1月1日現在)を利用する。
1年少しのタイムラグがあるから10%の地価下落修正とする。
97,500×0.9≒87,800円
87,800×4,319u≒379,000,000円
建物価格は747,000,000円とすると、土地、建物の総計は、
3.79億円+7.47億円=11.26億円
である。
年間家賃収入は81,000,000円であるから、
81,000,000円÷1,126,000,000円=0.0719≒0.072
粗利回りは7.2%ということになる。
還元利回りは、公租公課等の必要諸経費率を粗利回りより控除すれば、求められることになる。
1〜2%の利回りの定期預金や国債を購入しておくよりか、家電量販店の敷地に利用していた方がよいかもしれない。
ただし企業間の競争が激しいからリスクも考える必要がある。リスクゼロと考えるのは虫がよすぎる。
以上は私の推定分析であり、『NEW小山店』の実際の賃料、粗利回りでないことをご了承願いたい。
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