ある製作所会社が、民事再生法手続中の会社の情報通信機器部門を5億円で買収するという。(日経2002.1.8)
その再生会社の情報通信機器部門の2001年3月期の売上高は18億円であり、買収しょうとする製作所会社は、その再生会社のその部門の営業資産の売却で収益を確保する計画という。
投資額に対する売上高倍率は18億円÷5億円=3.6倍である。
民事再生法を申請した企業の売上高は減少すると一般的には考えられる。
その割合はある再生百貨店の場合、1年後同月比で10%以上減であった。(日経2001.8.23)
小売業と製造業と同一視する事に少し問題があるかもしれないが、といって製造業の場合の実例数値が無いため、その再生百貨店の例を援用し、10%減とする。
売上高倍率は、
(18億円×0.9)÷5億円≒3.2倍
である。
この倍率から考えると、買収価格はかなり高いのではないかと思われる。
工場企業経営より考えると、土地・建物価格の5倍以上の売上高が必要である。
とすると、18億円×0.9÷5倍≒3.3億円が工場の価格ということになる。
買収しょうとする製作所会社は、再生会社の営業資産の売却で収益を確保すると言っていることから、
5億円−3.3億円=1.7億円
の資産売却益が含まれていると考えられる。
以上の分析をまとめれば、工場の価格は売上高の0.2とし、土地建物の価格を調査し、0.2以下ならばその低い価格で買い、売却出来る工場地以外の資産も含まれていれば、その資産売却益を0.2の価格もしくは低い価格に加算して、工場の買収価格を決めるということになるか。
DCF法による企業収益還元法による分析は別に置いといて、この考え方が他の工場の買収価格決定にも通用するか否か。
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