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1. はじめに
東京には地下鉄が2つある。東京メトロ(旧社名 営団地下鉄)と都営地下鉄である。東京メトロの方が圧倒的に規模が大きく、利用者も多い。
東京メトロの銀座駅乗降客数と百貨店売上高と関係があるかどうか、特に新型コロナウイルス感染によって、銀座駅乗降客数も減っており、百貨店の売上高も減っていると噂されていることから、その噂が本当かどうか確かめてみる。
2.東京メトロの乗降客の多い駅 2020年度
東京メトロが、2020年度(2020年4月〜2021年3月)の各駅の一日当りの乗降客数を発表した。上位10位までの一日当りの乗降客数は、下記である。()内は前年度比である。
1位 池袋駅 376,997人 (▲33.6%)
2位 大手町駅 232,003人 (▲36.6%)
3位 北千住駅 209,601人 (▲28.2%)
4位 新宿駅 155,619人 (▲34.5%)
5位 銀座駅 149,432人 (▲42.0%)
6位 新橋駅 146,702人 (▲40.6%)
7位 豊洲駅 140,612人 (▲38.3%)
8位 上野駅 130,271人 (▲38.0%)
9位 日本橋駅 128,624人 (▲35.6%)
10位 高田馬場駅 125,620人 (▲37.3%)
上位10位までの対前年度比の乗降客減少の平均は、▲36.47%である。
3.銀座駅の一日の乗降客数
銀座駅の2020年度の一日当りの乗降客数は、149,432人であった。
銀座駅の過去の一日当りの乗降客数は、東京メトロの発表によれば下記である。
2015年度 245,208人
2016年度 251,459人
2017年度 266,574人
2018年度 265,325人
2019年度 257,440人
2020年度 149,432人
2020年度の銀座駅の一日当り乗降客数は、前年度に比し、
149,432人
─────── = 0.5804 ≒ 0.58
257,440人
▲42%減である。
一般的にはあり得ない乗降客数の減少である。
この原因は、武漢発新型コロナウイルス感染に伴って、銀座に訪れる人が減少したことによる。
銀座地区を勤務先とする人々も多くいるであろうが、観光で訪れる人が圧倒的に多い。その人々は地下鉄銀座駅を利用するのが殆どである。
人が利益を運んでくれると云うことは、商売の原則である。
銀座駅の一日当り乗降客数が、前年度比▲42%であることは、銀座地区で商売をしている企業の売上高に多大な影響を与えていることになる。
4.松屋百貨店売上高と銀座駅一日当り乗降客の関係
@ 松屋百貨店の売上高
「銀座松屋」の名前で百貨店を持ち営業している株式会社松屋の売上高を、同社が発表している有価証券報告書でみると、下記である。決算期は各年2月期である。
2017年2月期 86,337百万円
2018年2月期 90,568百万円
2019年2月期 92,530百万円
2020年2月期 89,859百万円
2021年2月期 52,730百万円
新型コロナウイルス感染が会計期間にもろに重なっている2021年2月期と2020年2月期と比較すると、
52,730百万円
──────── = 0.586 ≒ 0.59
89,859百万円
▲41%の売上高減である。
A 銀座駅一日乗降客数と松屋百貨店の売上高
左縦軸に地下鉄銀座駅一日当り乗降客数を、右縦軸に百貨店松屋株式会社の売上高(百万円)を取って、グラフ対比すると下図である。
百貨店松屋株式会社の売上高は、銀座の乗降客数に殆ど比例している。
これほど傾向が一致しているとは思ってもみなかった。私は、図を見てびっくりした。
銀座駅の乗降客数の多寡によって松屋の売上高は左右されていると云っても良い。
縦軸に松屋株式会社の売上高、横軸に銀座駅乗降客数を取って、データ値を図にプロットすると、下図である。
松屋売上高をY百万円、銀座駅一日当り乗降客をX人として、XYの関係式を求めれば、下記関係式が求められる。
Y=2706.37+0.3348X
相関係数 0.998
相関係数は1.0に近ければ近い程、相関度は高いことになることから、相関係数0.998であるから、松屋の売上高と銀座駅乗降客数との間には甚だ密接な関係にあると云うことがわかる。
5.三越銀座店の売上高と銀座駅一日当り乗降客の関係
@ 百貨店三越銀座店の売上高
銀座4丁目の交差点の角の一角に百貨店の三越銀座店がある。三越伊勢丹ホールディングスの有価証券報告書に附随する決算報告書に拠れば、三越銀座店の売上高は下記である。決算期は各年3月期である。
2017年3月期 80,034百万円
2018年3月期 87,862百万円
2019年3月期 91,189百万円
2020年3月期 82,818百万円
2021年3月期 44,320百万円
新型コロナウイルス感染が会計期間にもろに重なっている2021年3月期と、2020年3月期と比較すると、
44,320百万円
──────── = 0.535 ≒ 0.54
82,818百万円
▲46%の売上高減である。
A 銀座駅一日乗降客数と三越銀座店の売上高
左縦軸に地下鉄銀座駅一日当り乗降客数を、右縦軸に三越銀座店の売上高(百万円)を取って、グラフ対比すると下図である。
三越銀座店の売上高は、銀座の乗降客数に殆ど比例している。
これほど傾向が一致しているとは思ってもみなかった。松屋の図に続いて三越銀座店の図を見て、再び私はびっくりした。
三越銀座店も松屋百貨店と殆ど同じ傾向にあるとわかった。
銀座駅の乗降客数の多寡によって三越銀座店の売上高は左右されていると云っても良い。
縦軸に三越銀座店の売上高、横軸に銀座駅乗降客数を取って、データ値を図にプロットすると、下図である。
三越銀座店の売上高をY百万円、銀座駅一日当り乗降客をX人として、XYの関係式を求めれば、下記関係式が求められる。
Y=-12356.6+0.3772X
相関係数 0.993
相関係数0.993であるから、三越銀座店の売上高と銀座駅乗降客数との間には甚だ密接な関係にあると云うことがわかる。
6.まとめ
銀座駅の一日の乗降客数が2020年度は対前年度に比して▲42%下落した。
銀座駅至近にある2つの百貨店の売上高が対前年度比で、
三越銀座店 ▲46%
松屋 ▲41%
である。
銀座駅乗降客数が42%減じると、三越銀座店・松屋百貨店の売上高は、46〜41%減少している。
両百貨店の過去の売上高と銀座駅乗降客数の関係を分析すると、相関関係を現す相関係数は、
三越銀座店 0.993
松屋 0.998
である。
三越銀座店及び松屋百貨店の売上高は、銀座駅乗降客数と密接な関係がある。
商店を代表する百貨店の売上高と駅乗降客数との関係が極めて相関関係が高い関係にあると分かったことから、他の店舗も同様の関係にあると推測される。
武漢発新型コロナウイルス感染は、日本の商業に大きな被害をもたらしたと云える。
鑑定コラム571)「銀座・渋谷・新宿・六本木のメトロ乗降客が減っている」
鑑定コラム2361)「銀座駅乗降客数と地価公示中央5-22の価格」
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