○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

238)『賃料<地代・家賃>評価の実際』の著書原稿の上梓

 今年(2005年)の夏、ほぼ1ヶ月かけて『賃料<地代・家賃>評価の実際』の著書の原稿書きに追われた。

 9月初めに原稿を書き終えて、出版社のプログレス社に原稿を提出した。

 4年前の2001年11月に、書名に<地代>の文字が入っていない不動産価格・賃料(家賃)に関する『賃料<家賃>評価の実際』(清文社)という本を出した。

 その著書は2刷したのち、発売後1年余で絶版になってしまった。
 絶版後も、その本はどこかに無いかという問い合わせが多く私に届いた。

 今回は、前著『賃料<家賃>評価の実際』のうち、その本の半分以上を占めていた土地・建物の価格評価部分を切り離し、家賃評価部分を独立させて手を加える一方、新しく「地代評価」の章を付け加えて、賃料全体をカバーする家賃・地代の本として出版することにした。

 本の題名はやや前著と紛らわしいが、同一著者の書物というイメージを与えるため、『賃料<地代・家賃>評価の実際』とすることにした。前著の書名に<地代>を付け加えたのである。

 新しい著書の内容がどういうものかは、その一部を本ホームページの鑑定コラム236)「従前合意賃料は妥当な賃料だったか」で紹介している。

 著書の内容は、学者の論文や書物の格調高い文章とはほど遠く、学問的とは言い難い記述である。甚だ実務的な内容であり、いささか荒っぽい判断の記述のところもある。

 前著については「大変分かり易く、読みやすく、家賃の不動産鑑定が良く理解出来た。」という批評を多くの人々よりいただいた。その中には弁護士の方もかなりいた。
 今回も前著をほぼ踏襲しており、地代の部分も読みやすく書いてある。
 鑑定評価基準の間違いも厳しく指摘している。

 前著と大きく違う部分は、随所に鑑定コラムで取り上げた賃料に関する辛口の記事が、コラムとして章節の後などに入れてあることである。

 それは賃料評価の問題点、現実を指摘する一方、より一層の賃料評価の理解を深める為である。
 それ故、
 「あれ、この記事は以前読んだことのあるものだ。」
と思われるものに遭遇するが、そうした場合にはご勘弁願いたい。

 出版後、時間を経て本著書を読み返せば、2005年頃の賃料評価のレベルはどの程度であったか。こんなことが理解・解決されずに悩んでいたのかと分かることと思う。

 現在は初稿、再校が終わり三校正中である。
 三校正が終わり、索引が付加されれば印刷に入ることになる。

 プログレス社に聞けば、今年(2005年)11月中旬頃に発行予定という。
 A5版でおよそ400頁程度である。頒価はいくらか未定と聞く。

 以下の記述は全く自己宣伝に属する。
 前著は2刷して1年余で絶版になってしまった。その後書物が欲しいという人が、弁護士、金融関係の人、三次試験を合格して不動産鑑定士になった若い人の中に多かった。

 書物は出版した時に買っておかないと、後になって入手することは大変困難になる。
 賃料の評価の依頼、或いは賃料の値上げ・減額の訴訟の依頼があった時に買えばいいやと思っていると、その時には希望する本は無いということになる。
 それは書店の店頭・本棚に商品として本が置かれるのは2ヶ月程度であり、その時間が過ぎると出版社に返品されてしまうためである。
 出版社も返品が多いと赤字になるため、初版はあまり多くの部数を刷らないためである。

 前著の場合、購入した友人を捜して借りて読んだとか、県の中央図書館まで行って借りて読んだという報告も私の所に届いている。

 今回の著書は「地代」も入っており、賃料全体をカバーした賃料の鑑定評価の本である。現在の賃料評価の最前線(少しオーバー)はどの程度にあり、どの程度の水準なのかを知るには全く良い本と私は思う。
 賃料評価の指針になる本であり、少なくとも本に書いてある考え方・求め方を理解して評価書を書くならば、裁判では説得力があり、勝てる可能性は高いと私は思う。

 一般企業にとっても、賃料など会社の営業には全く関係ないと思っていると、突然賃借している貸室の賃料値上げの要求を賃貸人からされ、もたもたしている内に訴訟になってしまい、弁護士に訴訟代理人を頼まなければならなくなる。

 弁護士に全てまかしておけばよいというものでは無い。
 相手側から出される主張に対して、どの様に反論するか。間違っている部分を訴訟代理人の弁護士に教えないと弁護士とて分からない。

 大手不動産会社とて例外では無い。
 賃借人が値上げに応じてくれず、最後は裁判に訴えて決着をつけざるを得ない。

 「うちは値上げ交渉は上手だから訴訟にはならない。
  賃料の鑑定などの厄介にはならない。」
とうそぶいている不動産会社があるかもしれない。

 しかし、サブリース賃料で賃貸人との交渉でお手上げになり、最後は裁判所に訴え、その時厄介になったのは不動産鑑定士の不動産鑑定である。その時裁判所の不動産鑑定書や相手側提出の不動産鑑定書を読んで、
 「それは無いだろう。間違いだらけの鑑定書ではないか。
  現実の賃料の状況を知っているのか。そんな論理は罷り通らないだろう。」
と不動産鑑定書に対して憤慨した不動産会社も一社や二社では無いであろう。

 その様な時に、賃料の鑑定評価とはどういうものか。適正な賃料鑑定とはどういうものかを知って反論の根拠・証拠文献にするものが必要になってくる。
 共益費は通り抜け費用だから実質賃料を形成しないとか、空室損失は必要諸経費であるという全く非論理的なことが、あたかも正当であるごとく堂々とまかり通っている現在の賃料鑑定書をおかしいと指摘し、直してゆかねばならないであろう。

 いささか自己宣伝の我田引水も甚だしいが、是非一冊購入されておくことを勧める。必ず役に立つ本と私は思います。
 問い合わせは、プログレス社(電話03-3341-6573) にされたい。
 多分予約受付もしてくれると思います。


(2005年10月14日追記)
 上記書籍の頒価が決まりました。
 頒価は、
    4200円+消費税(210円)+送料実費
となりました旨、プログレス社から連絡が入りました。
 

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ