アサヒビールがある発酵会社の酒類事業部門2工場を従業員350人とも含めて、約200億円で企業買収するという。(日経2002.2.19)
その発酵会社の売却する酒類事業部門(焼酎甲類の一部とワイン部門)の売上高は、385億円(2001年3月期)で、2億円の営業損失という。
アサヒビールは焼酎事業部門に事業を拡げるために買収するという。
投資額の売上高倍率は、
385億円÷200億円 ≒ 1.92
である。
投資額を固定資産とみれば、固定資産回転率は1.92ということになる。
酒類製造業の固定資産回転率は、平均2.9(標準偏差1.9)である。
発酵会社の酒類事業部門は赤字であることを考えれば、標準偏差の1倍を加算した、
2.9+1.9 = 4.8倍
の固定資産倍率が妥当な水準ではないかと思われる。
この数値はその発酵会社の固定資産回転率から見ても、おおむね妥当と考えられる。
その発酵会社の売上高と有形固定資産は、2001年3月期で、
売上高 306,653百万円
有形固定資産 72,086百万円
である。
固定資産回転率は、
306,653百万円÷72,086百万円 = 4.25
となる。
前記妥当水準の固定資産回転率4.8より売買価格を求めると、
385億円÷4.8 =80億円
80億円ということになる。
この金額より見れば、アサヒビールの200億円の企業買収価格は非常に高い。
一方、アサヒビールの売上高と有形固定資産は2001年12月期で、
売上高 1,054,649百万円
有形固定資産 570,776百万円
である。
固定資産回転率は、
1,054,649百万円÷570,776百万円 ≒ 1.85
となる。
この固定資産回転率より買収価格を見ると、
385億円÷1.85 = 208億円
となり、200億円の買収価格はアサヒビールの企業経営感覚より見れば、妥当と言うことになる。
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