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2400) ハイディ日高 家賃割合売上高の17%

 大衆中華料理店「日高屋」の営業を主としている株式会社ハイディ日高が、2022年4月7日に2022年2月期の決算を発表した。

 前期2021年も4月7日に決算発表を行っている。律儀な会社である。

 株式会社ハイディ日高は、東京・埼玉を地盤とした大衆中華料理を中心にした飲食店である。

 店舗数は、決算書によれば、2022年2月期現在で442店舗である。東京208店舗、埼玉107店舗、神奈川71店舗、千葉52店舗、栃木1店舗、茨城3店舗である。

 新型コロナウイルス感染の拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が出され、一時感染が下火になって宣言解除されたが、2021年にも繰り返し緊急事態宣言が出され、2021年9月に解除された。

 この数度の政府による新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言により、外食産業は致命的に近い位の多大な営業損失を被った。

 株式会社ハイディ日高も、大巾な売上高減に伴う巨額な赤字決算に陥ると云う事態になった。

 株式会社ハイディ日高の2022年2月期の売上高は、264億2百万円である。前期比10.7%減である。

 新型コロナウイルス感染の影響が殆ど無かった2020年2月期の売上高から各決算期の売上高を記すと、下記である。

    2020年2月期      422億900万円
        2021年2月期      295億6300万円      売上高減▲30.0%
        2022年2月期      264億2百万円       売上高減▲10.7%
 2020年2月期は営業利益40億9600万円の黒字であったのが、2021年2月期は、27億9900万円の赤字であり、2022年2月期は更に赤字は増加し、35億2300万円の赤字である。

 新型コロナウイルス感染が飲食店に与えた影響が如何に大きいかは、これらの数値を知れば分かろう。

 飲食店の多くは、店舗を賃借して営業している。

 店舗の売上高と賃借している店舗賃料の間には、飲食業の店舗営業行為を行う賃借人と、賃貸店舗を提供する建物所有者の間には、互いの経済行為として形成された経験則による経済行為が成り立っている。

 それは売上高に対して店舗賃料はどれ程が妥当かと多くの商行為に依って形成された経済経験則による割合である。

 この売上高に対する家賃割合を具体的数値によって論理的に証明分析したのは、自分で云うのはおこがましいが、私が初めてであると思っている。

 2000年8月発行の『Evaluation』創刊号(清文社)に、「売上高に対する家賃割合」の論文を発表した。

 その論文で、
      レストラン      11.1%
      中華料理       10.4%
      そばうどん      13.0%
      鮨               10.7%
の家賃割合を理論的に導き出し、巷間、飲食店の家賃は「売上高の10%〜12%」といわれている経験則の家賃割合を証明した。

 経験則で巷間いわれている「一日の売上高が家賃」(1ヶ月の稼動日を26日とすると1÷26=3.8%)という業種は、肉屋、魚屋、八百屋といった毎日の食生活に欠かせない店舗であるが、これも同上論文で実証した。

 2022年2月期の株式会社ハイディ日高の支払家賃は、4,505,111千円である。

 家賃の売上高に占める割合は、
                      4,505,111千円
                 ──────────= 0.1706≒0.171               
                     26,402,538千円
17.1%である。

 株式会社ハイディ日高は、大衆中華料理店を主とする飲食店舗である。中華料理店の売上高に対する標準的家賃割合は、私の分析によれば10.4%である。

 過去の株式会社ハイディ日高の売上高に占める家賃割合は、下記である。
      2020年2月期        10.7%
      2021年2月期    14.9%
            2022年2月期        17.1%
 新型コロナウイルス感染前の売上高に対する家賃割合は、10.7%であり、理論的に数値分析された中華料理店の家賃割合10.4%の割合に近い割合であり、株式会社ハイディ日高の店舗経営は、適正な家賃割合で行われていると判断される。

 それが、新型コロナウイルス感染によって狂わされて、飲食店経営が大変な苦境に陥っている。

 家賃に売上高の17%支払っていては、赤字になるのは当然であり、かつ、経営は大変苦しくなる。

 売上高減、売上高に占める家賃割合を知れば、その苦境の程度が分かろう。

 株式会社ハイディ日高は、期中に、14店舗撤退を行っている。

 その店舗撤退費用として、賃貸借契約の原状回復義務として資産撤去を行っている。その費用は、406,544千円と記述されている。
    406,544千円÷14=29,039千円≒2900万円
 1店舗当りの撤退費用は2900万円である。進むも地獄、引くのも地獄と云うことか。

 2022年2月期の水道光熱費は、1,607,125千円である。売上高に占める水道光熱費は、
                      1,607,125千円
                  ──────────=0.0608≒0.061               
                     26,402,538千円
6.1%である。

 水道光熱費の売上高に占める標準的割合は、4%程度である。株式会社ハイディ日高の2022年2月期の水道光熱費の負担は売上高の6.1%となり、負担額が甚だ大きくなって来た。

 企業経営の厳しさがこれらより分かるが、悪いニュースばかりでは無い。明るいニュースもある。

 新事業年度に入った2022年3月、4月の売上高が前年同月比として、
            2022年3月+20.6%アップ
            2022年4月+36.5%アップ
になったと、同社ホームページの2022年5月9日の「売上高速報についてのお知らせ」は伝える。

 横浜青葉台の大学も今年から2年振りに対面講義となった。

 講義用に新しく不動産鑑定評価の『[考論]不動産鑑定評価』(プログレス、電話03-3341-6573)の著書を発行し、それを教科書にして講義が始まった。

 オンライン講義で途絶えていたが、再び青葉台駅前にある「日高屋青葉台店」で、講義終了後の夕方に、焼き餃子2皿を酒の友にして、一献傾け、〆は半チャンラーメンで、ささやかながら株式会社ハイディ日高の売上高増に協力するとするか。


  鑑定コラム2239)
「たかが賃料 されど賃料(ハイディ日高)」

  鑑定コラム2619)「ハイディ日高 コロナ禍乗り切り売上高増 家賃割合11.9%に下がる」


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