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大衆中華料理店「日高屋」の営業を主としている株式会社ハイディ日高が、2021年4月7日に2021年2月期の決算を発表した。
新型コロナウイルス感染の拡大により、2020年4月に緊急事態宣言が出され、一時感染が下火になって宣言解除された。
2021年1月始めに、再度緊急事態宣言が出され、3月に感染が下火になると解除された。
この2度の政府による新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言により、非外出、非3密政策により、外食産業は致命的に近い位の多大な営業損失を被った。
株式会社ハイディ日高も、大巾な売上高減に伴う巨額な赤字決算に陥ると云う事態になった。
株式会社ハイディ日高の売上高は、前期(2020年2月期)は422億900万円であったが、今期(2021年2月期)は295億6300万円である。
売上高減は▲126億円余である。率にすると▲30%のダウンである。
営業損益は、前期は40億9600万円の黒字であったが、今期は赤字▲27億9900万円である。40億円の黒字から一気に27億円の赤字に突入である。
新型コロナウイルス感染が飲食店に与えた影響が如何に大きいかは、これらの数値を知れば分かろう。
飲食店の多くは、店舗を賃借して営業している。
店舗の売上高と賃借している店舗賃料の間には、飲食業等の店舗営業行為を行う賃借人と、賃貸店舗を提供する建物所有者の間には、互いの経済行為として形成された経験則による経済経験則が目に見えないが成り立っている。
それは売上高に対して店舗賃料はどれ程が妥当かと多くの商行為に依って形成された経済経験則による家賃割合である。
この売上高に対する家賃割合を具体的数値によって論理的に証明分析したのは、自分で云うのはおこがましいが、私が初めてであると思っている。
2000年8月発行の『Evaluation』創刊号(清文社)に、「売上高に対する家賃割合」の論文を発表した。
その論文で、
レストラン 11.1%
中華料理 10.4%
そばうどん 13.0%
鮨 10.7%
の家賃割合を理論的に導き出し、巷間、飲食店の家賃は「売上高の10%〜12%」といわれている経験則の歩合家賃割合を証明した。
経験則で巷間いわれている「一日の売上高が家賃」(1ヶ月の稼動日を26日とすると1÷26=3.8%)という業種は、肉屋、魚屋、八百屋といった毎日の食生活に欠かせない店舗であるが、これも同上論文で実証した。
その時、分析したうちで15種の業種の売上高に対する家賃割合を、鑑定コラム18)の記事に載せた。
そして各小売店、サービス店等46店舗業種の売上高に対する家賃割合は、鑑定コラム1012)に記した。
株式会社ハイディ日高は、大衆中華料理店を主とする飲食店舗である。中華料理店の売上高に対する家賃割合は、2000年の私の分析によれば10.4%である。
株式会社ハイディ日高の新型コロナウイルス感染の影響が無い2020年2月期の売上高と支払家賃は、同期の決算書に依れば、下記である。
売上高 42,209,743千円
家賃 4,504,494千円
2020年2月期の売上高に占める店舗家賃の割合は、
4,504,494千円
──────────= 0.107
42,209,743千円
10.7%である。
理論的に数値分析された中華料理店の家賃割合10.4%の割合に近い割合であり、株式会社ハイディ日高の店舗経営は、妥当な家賃割合で行われていると判断される。
新型コロナウイルス感染に襲われた2021年2月期の株式会社ハイディ日高の売上高と家賃は、下記である。
売上高 29,563,909千円
家賃 4,406,505千円
2021年2月期の売上高に占める店舗家賃の割合は、
4,406,505千円
──────────= 0.149
29,563,909千円
14.9%である。
飲食店で、家賃が売上高の14.9%を占めたら、健全な飲食店経営は出来なく、まず赤字経営に陥ってしまう。
株式会社ハイディ日高の家賃割合は14.9%となり、▲28億円の赤字になってしまった。
その原因の第1は、勿論売上高の大幅減少であるが、それは武漢型コロナウイルス感染防止の政府方針に協力しなければならないことによって生じたものであり避けがたく仕方無いとして、赤字の多くを造りだした2番目は、家賃が原因している。
売上高減に伴い、企業経営者は経費削減に乗り出す。
仕入原価、消耗費の削減そして人件費の削減等に必ず乗り出す。そしてそれ等の経費削減はそれなりの効果を現す。
売上高が伸びているときには見向きもしなかった店舗家賃であるが、売上高減に伴う経費削減策の最後にようやく店舗の家賃の負担が大きいことに気づく。
賃借店舗家賃の削減は、賃借人の経営者の一存で出来るものでは無い。賃貸人である建物所有者の了解が必要である。
売上高が減少したから家賃を下げて欲しいと賃借人が建物所有者の賃貸人に頼みに行っても、「はいそうですか。家賃を下げましょう。」と云って家賃減額に賃貸人は容易く応じてくれるものでは無い。
売上高に応じた家賃歩合制の家賃契約であれば、家賃減額は可能であるが、その様な家賃契約を、殆どの家賃契約では行っていない。殆どは定額家賃契約である。
株式会社ハイディ日高の店舗家賃の契約も、金額から推定出来るが定額家賃契約である。売上高歩合家賃であれば、2020年の売上高が422億円で2021年の売上高は30%減であるから、家賃45億円は
45億円×0.7≒30億円
になっても良いのであるが、家賃は44億円であり、1億円下がっているのみである。この1億円は閉店による家賃減と推定されることから、家賃は実質下がっていないと判断される。
売上高減による賃料減額請求は、借地借家法は認めていない。経済事情の変動という要因で周辺店舗賃料が下がっていると云うことを立証して、やっと対象店舗の家賃減額が認められる。
家賃減額は容易いものではない。賃貸人に事情を詳しく説明し、1年とか2年の期間限定の賃料減額で合意出来れば良い方である。
さもなくば、閉店して撤退することである。
たかが賃料されど賃料である。たかが賃料と小馬鹿にしてはいけない。
鑑定コラム18)「店舗売上高と家賃割合」
鑑定コラム1012)「店舗売上高と家賃割合の追加」
鑑定コラム1233)「たかが賃料、されど賃料」
鑑定コラム2243)「吉野家HD2021年2月決算 家賃割合9.7%」
鑑定コラム2400)「ハイディ日高 家賃割合売上高の17%」
鑑定コラム2619)「ハイディ日高 コロナ禍乗り切り売上高増 家賃割合11.9%に下がる」
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