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日本ロジスティクスファンドという投資法人がある。
三井物産、中央三井信託銀行そしてケネディクスが出資して作った投資法人である。
物流施設に特化した投資法人で、Jリートに平成17年5月9日に上場した。
資産運用会社は三井物産ロジスティクス・パートナー株式会社が行っている。
この日本ロジスティクスファンド投資法人が、2006年前半に取得する7つの流通倉庫を発表した。(2006年1月16日同投資法人ホームページ)
同投資法人のホームページによると、2006年前半の取得物件と、2005年に取得した物件は下記の通りである。
bP 2006年2月9日 八千代物流センター(千葉県八千代市上高野)
価格 2,266百万円
総賃貸可能面積 17,689.95u
年間賃料 181,201,440円
昭和47年築
2 2006年2月9日 横須賀物流センター(神奈川県横須賀市夏島町)
価格 3,305百万円
総賃貸可能面積 21,364.115u
年間賃料 296,758,800円
平成2年築
3 2006年2月9日 習志野物流センター(千葉県習志野市茜浜3丁目)
価格 1,690百万円
総賃貸可能面積 2442.87u
年間賃料 121,200,000円
平成17年築
4 2006年2月9日 川崎物流センター(川崎市川崎区桜本2丁目)
価格 10,905百万円
総賃貸可能面積 41,630.54u
年間賃料 - 円
平成元年築
5 2006年2月17日 船橋西浦物流センター(千葉県船橋市西浦3丁目)
価格 5,700百万円
総賃貸可能面積 35,222.18u
年間賃料 435,943,920円
平成18年1月築
6 2006年3月17日 船橋西浦物流センターU(千葉県船橋市西浦3丁目)
価格 9,330百万円
総賃貸可能面積 73,859.32u
年間賃料 780,320,400円
昭和60年築
7 2006年4月21日 浦安千鳥物流センター(千葉県浦安市千鳥)
価格 6,000百万円
総賃貸可能面積 31,829.55u
年間賃料 494,860,440円
平成18年1月築
8 2005年11月8日 羽生物流センター(埼玉県羽生市川崎3丁目)
価格 1,705百万円
総賃貸可能面積 5,919.53u
年間賃料 118,000,000円
平成17年築
9 2005年9月22日 東京新木場物流センター(江東区新木場2丁目)
価格 2,454百万円
総賃貸可能面積 11,595.40u
年間賃料 180,000,000円
平成17年築
10 2005年5月9日 船橋物流センター(千葉県船橋市浜町3丁目)
価格 8,675百万円
総賃貸可能面積 30,939.27u
年間賃料 953,635,380円
平成5年築
11 2005年5月9日 大東物流センター(大阪府大東市緑が丘2丁目)
価格 7,617百万円
総賃貸可能面積 82,322.88u
年間賃料 866,000000円
平成元年築
上記の物件のうち、賃料が公表されていない1物件を除き、還元利回りを求める。
価格÷総賃貸可能面積=平方米当り賃貸面積価格(「平方賃貸価格」とする。)
年間賃料÷価格=粗利回り
とする。
オペーレーションが入ると、それは倉庫業となり、貸倉庫とは異なる。
オペレーティングを含めない貸倉庫の必要諸経費は、貸ビルの場合よりも低い。
貸ビルの必要諸経費率を35%程度とすると、倉庫は20〜25%程度である。
余裕をみて倉庫の必要経費率を25%とする。
粗利回り×(1−0.25)=還元利回り
の公式で、倉庫の還元利回りを求める。
上記10のデータを分析すると下記の通りである。
|
平方賃貸価格円
|
賃料単価円
|
bP
|
128095
|
854
|
bQ
|
154699
|
1158
|
bR
|
691809
|
4134
|
bT
|
161372
|
1028
|
bU
|
126321
|
880
|
bV
|
188504
|
1296
|
bW
|
288030
|
1661
|
bX
|
211636
|
1294
|
bP0
|
280388
|
2569
|
bP1
|
92526
|
877
|
bRと10の賃料が高い。特にbRの賃料単価は倉庫の水準で無く事務所の水準か或いは店舗の賃料水準である。
これほどの高い賃料水準にあることは、それなりの理由があろうが私にはそれは分からない。倉庫の賃料としては不自然であると思われ、このデータははずす。
10の賃料も高いが、許容出来るギリギリとみて分析データに含める。
9つのデータによる粗利回り、還元利回りは下記の通りである。
|
平方賃貸価格円
|
賃料単価円
|
粗利回り
|
還元利回り
|
bP
|
128095
|
854
|
0.080
|
0.060
|
bQ
|
154699
|
1158
|
0.090
|
0.068
|
bT
|
161372
|
1028
|
0.076
|
0.057
|
bU
|
126321
|
880
|
0.084
|
0.063
|
bV
|
188504
|
1296
|
0.082
|
0.062
|
bW
|
288030
|
1661
|
0.069
|
0.052
|
bX
|
211636
|
1294
|
0.073
|
0.055
|
bP0
|
280388
|
2569
|
0.110
|
0.083
|
bP1
|
92526
|
877
|
0.114
|
0.086
|
|
|
|
|
|
平均
|
181286
|
1291
|
0.086
|
0.065
|
標準偏差
|
64136
|
515
|
0.015
|
0.011
|
物流倉庫の還元利回りは、
平均 6.5%(標準偏差0.011)
ということになる。
標準偏差1倍の範囲の還元利回りは、
5.4%〜7.6%
である。
総賃貸可能面積当り価格と賃料単価の関係を分析する。
平方賃貸価格が高いと賃料単価も高いことが見て取られるから、両者の間には相関関係があろうと推定される。
平方賃貸価格をX
賃料単価をY
とする。
bRを除いたデータで回帰分析すれば、
Y=29.204+0.00696X
(相関係数0.866)
である。
上記式から平方賃貸価格が分かれば、賃料単価がわかることになる。
又、この逆の利用も出来る。
賃料単価が分かれば、平方賃貸価格がわかり、それに総賃貸可能面積を乗ずれば、倉庫の価格が分かることになる。
賃料単価に対する平方賃貸価格を求めると、下記のごとくである。
賃料
|
賃貸面積当り価格
|
600
|
82000
|
700
|
96000
|
800
|
111000
|
900
|
125000
|
1000
|
139000
|
1100
|
154000
|
1200
|
168000
|
1300
|
183000
|
1400
|
197000
|
1500
|
211000
|
1600
|
226000
|
1700
|
240000
|
1800
|
254000
|
1900
|
269000
|
2000
|
283000
|
一つの例を説明する。
土地価格・建物価格を積算価格で求め、その総賃貸可能面積平方当り価格は160,000円であったとする。建物面積は、総賃貸可能面積と同じ10,000平方メートルとする。
この倉庫の賃料は、上記回帰式のX値に160,000を代入すれば、
Y= 1,142
1,142円と賃料がもとめられる。周辺の倉庫賃料の賃貸事例を調べてこの賃料の妥当性、整合性を検討する。
端数処理した1,140円の賃料程度が妥当となれば、この賃料から次のごとくして倉庫の収益還元価格を求めることが出来る。
純賃料 1,140円×0.75=855円
855円×12ヶ月=10,260円
倉庫建物が新しく、或いは地域が倉庫立地にふさわしい等の理由で還元利回りは平均よりも良い倉庫とした場合、標準偏差の1倍の範囲とする。
採用還元利回りは、
6.5%−1.1%=5.4%
である。
収益価格は平方メートル当り、
10,260円÷0.054≒190,000円
と求められる。
総額では、
190,000円×10,000平方メートル=1,900百万円
と倉庫の収益価格は求められる。
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