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269)さいたま・上尾・桶川・北本の地代

 埼玉県の上尾市に鑑定事務所を開いている一人の不動産鑑定士が中心になって、さいたま・上尾・桶川・北本地区の地代データを収集し、データ分析し、地代水準・地代利回りを発表している。

 その地代の調査報告書は『継続地代の実態調査書』(川名俊行 2005年3月)で、平成12年、15年と3年ごとに報告書は調査発行されている。

 平成15年版を見ると、住宅地の平均地代は、

    さいたま市       坪当り 457円
    上尾・桶川・北本市      坪当り 359円
である。

 商業地では、さいたま市の旧浦和市の浦和区・南区は、坪当り2,044円である。

 上記浦和区・南区の商業地の掲載17データから、堅固建物所有目的の地代と非堅固(普通)建物所有目的の地代を、筆者が計算すると次の通りである。
   堅固建物所有目的の地代(9データ)  平均2,959円(標準偏差 1716)
   非堅固建物所有目的の地代(8データ) 平均1,015円(標準偏差 617)

 浦和区・南区の商業地の堅固建物所有目的の地代と、非堅固建物所有目的の地代との間には、はっきりとした地代の差が存在する。
 上記データ分析によれば、
        1,015円÷2,959円=0.343
浦和区・南区の商業地の非堅固建物所有目的の地代は、同2区の商業地の堅固建物所有目的の地代の0.343である。

 この割合関係がどこの地域にも適用出来るものでは無いと思われるが、非堅固建物所有目的の地代は、堅固建物所有目的の地代よりも安いということを知っておくことは大切である。

 「そんなことは当たり前だ。何を今更言うのだ。」
と思う人はいるであろうが、
 「では、どれ程の地代の差があるのか実証したデータを示して欲しい。」
と問われた時、即座に合理的数値を持って反論出来るであろうか。

 本調査報告書は、具体的なデータによって、さいたま市浦和区・南区の商業地においては、堅固建物所有目的の地代と非堅固建物所有目的の地代との間には違いがあり、それは0.343の数値であるということを示してくれた。

 このことは大変重要なことであり、本調査報告書の存在価値はこのデータ分析一つでも大いにあると私は思う。

 さいたまの地代を知ることによって、それ以北の茨城、栃木の地代、以西の群馬の地代は、さいたまの地代を上回ることはないであろうと推定出来る。

 しかしそれは、この「さいたま・上尾・桶川・北本地区の地代の調査」があって分かるのであり、言えることである。
 そうした面から見れば埼玉周辺の県の不動産鑑定士や居住している人にも利用出来る調査報告書である。

 不動産鑑定士の一つの任務として、今の不動産価格、不動産状況を記録として残しておくというものがある。

 調査報告書、論文等、その名前は異なるであろうが、後世の或いは後輩の人のために、現在生きている時代の不動産価格、土地利用はどうであるのか具体的数値で書き残しておくことも、不動産鑑定士の一つの社会任務である。

 金、金、金と金儲けばかりで、不動産鑑定評価を見るべきものではない。

 平成元年の頃の大宮・浦和・上尾・桶川・北本の地代はどれ程であったかということは、その時調査されていないから、既に分からない。
 しかし、平成12年、平成15年は、一人の不動産鑑定士の献身的な努力によって、地代がどれ程かが分かるのである。

 こうして考えて見ると、川名不動産鑑定士が行っている今回の地代の調査報告書の大切さが改めて理解出来よう。

 同報告書には、上記に私が取り上げた部分はほんのちょっとであり、多くのデータ分析がなされている。
 「さいたまの地代」の記録文書として、今後貴重な文献になると思われる。

 同報告書を一冊入手されておかれることを勧める。
 東京の私ですら購入しているのである。特に地元の埼玉に事務所を構えている不動産鑑定士は、全員所持していてもおかしくないと私は思う。

 書物とは、後日必要が生じた時に購入しょうとしても、その時にはもう無いという経験を味わうことが一般的である。

 販売先は、株式会社川名不動産鑑定事務所(048-775-3591、Fax048-775-9955)である。
 そちらに問い合わせされたい。

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