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5年前に鑑定評価した上場企業所有の重量鉄骨造平屋建て倉庫を、企業決算上の時価評価の必要性から、5年後の2024年に再評価する事になった。
S造倉庫建物の再調達原価を計算すると、5年前の2019年は、u当り12.5万円であったのが、5年後の2024年ではu当り15.5万円と計算された。
5年で24%(15.5÷12.5=1.24)も建築工事費は上昇している。
再調達原価の把握は妥当であるか否かと思い、国土交通省発表の『建築着工統計調査』の全国倉庫の建築費を調べてみた。
鉄骨造倉庫の建設統計データは、下記である。2024年のデータ発表は行われていないので、2023年のデータを使用する。
(2019年)
棟数 11,161棟
延床面積 7,070,126u
工事費予定額 89,174,706万円
89,174,706万円
u当り工事費 = ─────── = 12.61万円
7,070,126u
(2023年)
棟数 9,776棟
延床面積 124,297,320u
工事費予定額 124,297,320万円
124,297,320万円
u当り工事費 = ─────── = 16.50万円
124,297,320u
2019年〜2023年の間に
16.50万円÷12.61万円=1.31
S造倉庫の建築費は、全国平均で31%上昇している。
と言うことは、評価案件の倉庫建築費が24%上昇している事は、地域性を考えれば、妥当と云うことになる。
倉庫建物であり、使用しているのはH形鋼である。
ニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏によれば、S造倉庫の躯体工事費の倉庫工事費全体に占める割合は38%である。(「建築費高騰と不動産開発プロジェクト(後編)〜建築費の高騰と建物の躯体別・用途別の影響」2022年10月27日研究員の目 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=72801?site=nli)
H形鋼の販売価格は、具体的にどれ程上がっているであろうかと思い、ネットで東京製鐵株式会社(東京都千代田区霞が関3丁目)の発表しているH形鋼の販売価格を調べて見た。
下記である。H形鋼広幅100×100サイズのトン当り価格である。
2019年1月 89,000円
2024年1月 127,000円
127,000円÷89,000円=1.43
広幅H形鋼100×100の販売価格は、2019年1月から2024年1月の5年間で43%値上がりしている。
東京製鐵(株)が発表している2013年1月から各年1月の広幅H形鋼100×100の販売価格は、下記である。
2013年1月 68,000円
2014年1月 80,000円
2015年1月 77,000円
2016年1月 70,000円
2017年1月 75,000円
2018年1月 87,000円
2019年1月 89,000円
2020年1月 83,000円
2021年1月 93,000円
2022年1月 111,000円
2023年1月 124,000円
2024年1月 127,000円
(https://www.tokyosteel.co.jp/)
上記広幅H形鋼100×100の販売価格の推移をグラフにしたのが、下記グラフである。
2020年2月からの新型コロナ感染拡大は、世界経済に打撃を与え、世界経済は停滞したが、新型コロナ感染沈静後の急激な経済回復によって世界の鋼材需要が拡大した。
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻があり、ウクライナ戦争が始まった。
日本は原油も輸入であり、鋼材の原材料も輸入である。
ウクライナ戦争が、原油及び鋼材の原材料の供給に大きな影響を与え、それは、それ等の取引価格の上昇を引きおこした。
そして、安倍政権と黒田日銀の超超金融緩和政策による円安政策の失敗が、鋼材価格の高騰に拍車をかけた。
外為どっとコム(https://www.gaitame.com/markets/chart/usdjpy.html?int)の2024年4月29日10時の米1ドル対円為替取引の発表値は、下記である。
始値 158.190円
値 160.219円
低値 158.190円
終値 159.165円
1ドル=160.219円の価格をつけた。
ウクライナ戦争が勃発した2022年2月24日前後の米1ドル対円相場(仲値)は、七十七銀行のホームページでは、下記である。
2022年2月22日 114.79円
2022年2月23日 114.79円
2022年2月24日 114.95円
2022年2月25日 115.57円
(https://www.77bank.co.jp/kawase/usd2022.html)
鑑定コラム2726)「2024年4月29日 5月2日為替介入あった」
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