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281)2005年用途別建物の建築工事費

 国土交通省が毎年、(財)建設物価調査会が発行する『建設統計月報』3月号に、前年1年間の建築物の建設統計データを発表する。

 2006年はどうした訳か、同誌の3月号に掲載されずに、2006年4月号になった。
 長い間「3月号」に掲載されてきたものが、2006年になって1ヶ月遅れの発表である。

 国土交通省の担当課である建設調査統計課で、何か1ヶ月遅れる理由が生じたのであろう。珍しいことである。

 2005年1月〜12月の1年間で、日本全国の木造居住専用住宅の床面積と工事費予定額は、下記の通りである。


    床面積        57,698,862u
    工事費予定額  889,196,251万円

 床面積は5770万u、工事費は8兆9000億円である。

 1u当り工事費は、
        8,891,962,510,000円÷54,698,862u≒154,000円
である。

 過去の木造の居住専用住宅のu当り建築費、即ち工事費を分析すると、次のごとくである。

     1998年(平成10年)  u当り162,000円
     1999年(平成11年)  u当り162,000円
     2000年(平成12年)  u当り161,000円
     2001年(平成13年)  u当り159,000円
     2002年(平成14年)  u当り156,000円
     2003年(平成15年)  u当り155,000円
     2004年(平成16年)  u当り154,000円
     2005年(平成17年)  u当り154,000円

 木造住宅の建築工事費はずっと下がり続けてきた。
 平成16年と平成17年は同じu当り154,000円である。坪当りでは509,000円である。

 2006年1年の建築工事費がどうなるのかは、来年2007年3月の統計発表を待つまでわからない。

 しかし、日本経済はほぼ立ち直った。
 そして日銀の福井総裁も、つい3ヶ月程前に、長く続いたゼロ金利の量的緩和政策を止めると発表した。
 デフレ経済政策から、インフレ率0〜2%のインフレ政策への転換を計ると述べた。

 市場では、日銀のゼロ金利政策解除は時間の問題と捉えている。
 住宅ローン金利や長期貸出金利は敏感に反応し、金利上昇を示している。

 これらを考えると、木造住宅の建築工事費の下落は止まるのでは無かろうかと思われる。

 上記木造居住専用住宅の建築工事費と同様な求め方で、2005年のSRC造、RC造、S造の事務所建築費、店舗建築費、工場建築費、倉庫建築費、学校建築費、病院・診療所建築費を分析すると、下記の通りである。u当り円である。

2005年1月〜12月        
  木造 SRC造 RC造 S造
居住専用住宅 154000 165000 164000 176000
事務所 130000 309000 214000 188000
店舗 139000 110000 115000 100000
工場 75000 110000 141000 106000
倉庫 69000 45000 89000 72000
学校 197000 204000 182000 168000
病院・診療所 180000 316000 217000 200000

 事務所ビルはSRC造でu当り309,000円、RC造でu当り214,000円である。
 店舗は木造でu当り139,000円、S造でu当り100,000円である。郊外の大型ショッピィングセンターの建物の工事費はu当り100,000円ということか。

 工場は、木造でu当り75,000円、S造でu当り106,000円である。
 倉庫は、RC造でu当り89,000円、S造でu当り72,000円である。分からないのは、SRC造でu当り45,000円の建築工事費が計算されたことである。

 病院・診療所は木造でu当り180,000円である。
 個人の開業医の自宅兼用の医院はu当り180,000円ということか。居宅専用住宅の場合はu当り154,000円であるから、居宅専用住宅より、
        180,000円÷154,000円≒1.17
17%建築工事費が高いということになる。

 病院のSRC造はu当り316,000円、RC造で217,000円である。

 病院と事務所の建築費を比較すると、病院の建築費の方が少し高い。
 SRC造では、
        316,000円÷309,000円≒1.02
2%高である。
 RC造では、
        217,000円÷214,000円≒1.014
1.4%高である。

 病院のSRC造・RC造の建築費は、事務所のSRC造・RC造の建築費に1.02掛ければ、当たらず遠からず求められるということになる。
 逆をいえば、病院の建築費の妥当性を検討するときには、0.98を乗じて見て、
その地域の事務所の建築費と比較すれば、適正な病院の建築費(再調達原価)かどうか分かることになる。

 上記建築工事費は全国の平均である。東京などの地域性、建物の程度・品等によって建築費は異なってくる。それら要因の修正を上記数値に別途行わなければならない。

 各県別ごとの木造、SRC造、RC造、S造の建築工事費も発表されている。
 それらはボリュームが有り、データの打ち込みに時間がかかりそうである。現在はその時間がない。いずれ折を見て各県別の建築工事単価も計算して発表するつもりでいる。


  鑑定コラム925)「事務所、病院、工場、倉庫の建築工事費」


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