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2858) 鑑定基準に基準の定義が無いというXのつぶやき


 2025年5月14日に、ヤフーのX(旧ツィツター)検索で、「不動産鑑定士」の言語を、24時間以内の条件で検索したところ、画面トップ1面の検索事項の中で次の記事が検索された。

 「tahara-kantei.com/column/column2… 不動産鑑定士が当然のように引用・言及するいわゆる「基準」って何に基づいているのだろうか、具体的には根拠法令はあるのだろうかと思い調べたところリンクを発見。そもそも基準上当該基準そのものの定義がないというのはどういうことなのか。
ぽめろ@pT0D*****」

https://search.yahoo.co.jp/realtime/search/tweet/1922306627387953653?detail=1&ifr=tl_twdtl&rkf=1

 いつもX(旧ツィツター)を読む時は、最初に英語が出て来ても、全く英語の個所は目を通さずに、日本語の個所から読んでいるので、今回もいつもの通り、最初の英語文字は読まずに日本語の文章を読んだ。

 検索つぶやきの日本語の文章を読みながら、「何これ? 不動産鑑定評価基準には、同基準とは何かという説明が無いという事を指摘しているが、私の考え方をしている人がやっと出て来た様だ。喜ばしい事だ。」

と思い、再度読み直そうとしたら、文章の最初の英語が目についた。
    「tahara-kantei・・・・」
と記してある。

 「えっ、私の鑑定コラムを読まれてのつぶやき文章か!」
と知って驚いた。

 Xのつぶやきは、私の鑑定コラム241)「不動産鑑定評価基準とは 」(2005年10月24日発表)のコラム記事を読まれてのつぶやきの様である。20年前に発表したコラムである。

 鑑定コラム241)は、弁護士からの不動産鑑定評価基準は法律なのか何なのかと電話での問い合わせがあり、そのやりとり等を記しているコラムである。

 そのコラムの一部を転載すれば、下記である。

****


 「現行の不動産鑑定評価基準を見てみると、「不動産鑑定評価基準とは」どういうものなのかの定義付けが無い。

 法律では、まず最初に当該法律の目的と使用用語の定義とその説明が必ずなされる。

 現行鑑定評価基準は総論と各論に分かれる。
 総論は9章、各論は2章で成り立っている。

 総論第1章は「不動産の鑑定評価に関する基本的考察」であり、そこのまえがきに、本来は有るべき「不動産鑑定評価基準とは」どういうものかの説明がない。
 そして、同基準の目的は何なのかの記載もない。

 記載してあるのは、不動産鑑定評価について「不動産鑑定士は十分理解し、体得しなければならない。」と書いて有るのみである。

 十分理解し、体得しなければならない不動産鑑定評価とは何を意味するのかの用語の定義も無い。
 目的・定義をすっ飛ばして、のっけから「十分理解し、体得しなければならない」という。
 定義のないものをどの様にして十分理解し、体得するのかという疑問が湧いてくる。

 これらを読むと、
 「一体、不動産鑑定評価とは何なのか。
 不動産鑑定評価基準とは何なのか。」
という疑問が生じるのは当然であろう。

 法律では無いから、そんなことなど必要ないという人がいるであろうが、法律にほぼ同じ法的効力を不動産鑑定評価基準は持っているのである。
 不動産鑑定評価基準とは何なのかという定義、目的をはっきりと同基準の最初に記述すべきでは無かろうか。
 そして不動産鑑定評価とはどういうことをいうのかも定義づけすべきであろう。

 法律にほぼ同じ法的効力を不動産鑑定評価基準は持っていると前述したが、平成14年7月3日付国土地第83号の3の国土交通事務次官の通知「不動産鑑定評価基準の改正について」で、次官通知は甚だ怖いことを、鑑定協会を通じて不動産鑑定士に通知している。

 その次官通知をあたかも自分が保存しているごとく聞こえるが、そうではない。
 鑑定協会からの書類は目を通すが、基準の改正の通知と軽く考えて私は廃棄していた。

 今回、不動産鑑定評価基準とは何だと考えるについて、旧建設省出身の知り合いの不動産鑑定士に問い合わせたところ、上記次官通知を送信してくれたのである。さすがに役所出身の方は書類の重要性を認知している。保管されていた。
 自分自身のお粗末さをさらけ出した様なものである。

 その怖い次官通知の個所を抜粋して転記すると次のごとくである。

 「不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(以下「基準等という。)は、不動産鑑定士及び不動産鑑定士補が不動産の鑑定評価を行うに当たっての統一的基準であるとともに、不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年7月16日法律第152号)第40条第1項及び第2項の規定に基づき不当な不動産鑑定評価についての懲戒処分を行う際の判断根拠となるものである。」と。

 上記引用の法律第40条は、不当な鑑定評価を行った時は、鑑定評価業務の停止、不動産鑑定士の登録の削除の条文である。1項は故意に不当鑑定を行った場合、2項は相当の注意を怠って不当鑑定を行った場合の処分を規定している。

 事務次官通知ではっきりと、不動産鑑定評価基準は、「法40条に基づき不当な不動産鑑定評価についての懲戒処分を行う際の判断根拠となるものである」と明言しているのである。」

****


 不動産鑑定評価基準は何回かの改正を経ているが、未だに不動産鑑定評価基準とはどういう基準であるのかという目的が書かれていない。

 次回の鑑定基準の改正においては、まず先に、不動産鑑定評価とはどういうものかの定義付けして、その後に「不動産鑑定評価基準とは、不動産鑑定評価の拠り所となる統一的基準であり、不動産の鑑定評価に関する法律第40条の不当な鑑定評価の判断根拠となるものである。」という目的と、鑑定基準は法律とリンクしている基準である事を鑑定基準の最初に記して欲しい。

 ぽめろ様、つぶやきの引用、事後で申し訳ありませんが、ご承諾下さい。

 つぶやき有り難うございます。


  鑑定コラム241)
「不動産鑑定評価基準とは 」

  鑑定コラム2859)「更地評価の取引事例は 」


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