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2881) 下落した丸ビル事務所賃料は地価上昇と共に大幅に上昇した 2019年〜2025年


 先の鑑定コラム2880)で、丸ビルの償却前総合還元利回りと、その建物敷地の価格(丸ビルの敷地は、地価公示地千代田5-2の地価公示地に設定されている)の関係について論じた。

 要約すると、以下である。

 地価公示地千代田5-2の土地として設定されている丸ビルの土地価格は、2016年u当り3280万円であったのが、2020年u当り3760万円まで上昇した。

 一方、地価公示地上に建つ丸ビルの償却前総合還元利回りは、2016年が2.51%で在ったが、2020年には2.21%まで下がった。

 土地価格が上がれば、還元利回りは下がるという経済経験則を、具体的に見せてくれた。

 しかし、丸ビルの償却前総合還元利回りは、2020年の2.21%を底にして上昇し出した。

 この現象に付いて、私は鑑定コラム2880)で、次のごとく述べた。

 「地価が上昇し、ビル賃料がその侭で在れば、還元利回りは同じで横ばいを続ける。

 還元利回りが上がり始めたと云うことは、地価上昇に伴い、ビル賃料が値上がりしたことを意味する。」

 この丸ビルの土地価価格と、丸ビルの償却前総合還元利回りの関係をグラフに現したのが、鑑定コラム2880)に掲載されている。

 下図クラフである。



公示千代田5-2と丸ビル償却前総合還元利回り



 鑑定コラム2880)で、私は、2020年頃より丸ビルの事務所賃料が値上がりし出したと予測した。

 それは本当であろうか。

 その事を、丸ビルの事務所賃料と丸ビルの償却前総合還元利回りのデータを使用して、分析証明して見る。

 丸ビルの事務所賃料は、私が分析し、幾つかの鑑定コラムに記してある。

 両データの一覧は、下記である。


年月 丸ビル賃料 円/坪 丸ビル償却前還元利回り %
2016年3月 62878 2.51
2017年3月 62242 2.33
2018年3月 60829 2.23
2019年3月 61546 2.21
2020年3月 62910 2.21
2021年3月 64349 2.29
2022年3月 65563 2.35
2023年3月 66637 2.41
2024年3月 69920 2.51
2025年3月 70547 2.50


 上記データをグラフにしたのが、下図である。


丸ビル賃料と丸ビル償却前総合還元利回り



 地価下落し、それと共に丸ビル償却前総合還元利回りは下がった。2.21%付近まで下がると、事務所賃料が値上がりし始める。

 そして賃料が値上がりするに連れて、償却前総合還元利回りも上がった。  両者は平行する如く上昇の軌跡を描く。2.21%の還元利回りが上がり始めたのは、ビル賃料によるものとわかる。

 還元利回りグラフ軌跡は、あたかも凹型のグラフのごとくの軌跡である。

 ビル賃料の値上がりによって、丸ビル償却前総合還元利回りは上がったと云うことがほぼ立証出来た。

 丸ビルの賃料の値上がり始めたのは、実質的には2019年と思われる。三菱地所の幹部の担当者は、よくぞ丸ビル賃料値上に踏み切ったと、私はデータ分析して分かり、その英断に敬服する。



  鑑定コラム2880)「千代田5-2の地価公示価格と丸ビルの償却前総合還元利回り 2025年3月」


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