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2893) 商業地域の1階店舗、上階住居の建物の階層別効用比


@ 階層別効用比、階層別効用配分割合とは

 複数階の階層を持つ建物の各階の賃料を求める場合に、階層別効用比を利用する。

 階層別効用比とは、何なのか。

 階層別効用比とは、階層ごとの効用比をいう。

 階層別効用配分割合は、上記各階層の効用比に、各階の賃貸面積を乗じて求めた各階の効用積数の、階層別効用積数の合計に対する割合を云う。

 建物全体の効用積数を1とした場合の、階層ごとの効用積数の占める割合をいう。

 階層別効用配分割合が何故必要かというと、全体の建物の賃料を各階に配分する場合に、賃料を合理的に配分することが出来るためである。

 評価する賃料(家賃)は、常に一棟の建物の賃料のものとは限らない。

 10階建の建物の5階部分とか、1階部分等の賃料を求める場合が多い。

 そうした場合、5階等各階部分の賃料を求める為に、階層別効用配分割合が必要である。

A 著書『賃料<家賃>評価の実際』の新宿事務所ビルの階層別効用比

 2001年に清文社から発行した著書『賃料<家賃>評価の実際』(絶版)のP250に、東京新宿区内にある5つの事務所ビル(1階は店舗)の3階を100として、各階の階層別効用比を求め、その平均階層別効用比を分析した結果を記した。

 ビルの所在は、新宿通りとか靖国通り等の大通りに面して建つ事務所ビルではなく、新宿区内の一般的商業地に建つ事務所ビルの階層別効用比である。

 その効用比は、下記である。
       階   用途    階層別効用比
       9階  事務所      100
       8階  事務所      100
       7階  事務所      100
       6階  事務所      100
       5階  事務所      100
       4階  事務所      100
       3階  事務所      100
       2階  事務所      105
       1階  店舗       144
       B1階  店舗       108

B 横浜中区の商業地の1階店舗、上階住居の階層別効用比

 2025年に、1階店舗、上階住居の用途の階層別効用比はどの様な比なのか。

 横浜中区の商業地の階層別効用比を分析して見た。

 令和2年頃より地価公示価格の鑑定書が公開されるようになった。

 その公開鑑定書には、収益還元法の手法による土地価格分析が行われている。

 そして、公示地上に想定したビル賃料が階層毎に記されている。

 地価公示地は地域を代表する土地として選定されて土地価格は求められていることから、地価公示地上に想定される賃貸ビルの賃料も、その地域を代表する賃料であると当然考えてよいであろう。

 データの公平性を考えると、地価公示価格鑑定書に記載の各階賃料から、階層別効用比を分析するのがより公平と思われ、横浜中区の地価公示価格の公開鑑定書の収益還元法使用の賃料より、階層別効用比を分析する。

 横浜中区の商業地に所在し、1階が店舗、上階が住居の令和7年の地価公示価格の鑑定書は、あまり多く無かった。

 下記のデータが得られた。

  横浜中5- 5   横浜市中区野毛町2-59-3
  横浜中5-10   横浜市中区大和町2-50-2
  横浜中5-15   横浜市中区若葉町2-30
  横浜中5-22   横浜市中区石川町2-61-1
  横浜中5-24   横浜市中区富士見町1-2
  横浜中5-25   横浜市中区伊勢佐木町6-146-5外

 地価公示価格は2人の不動産鑑定士が評価している。

 公開されている地価公示価格の鑑定書の、先に開示されている鑑定書をA鑑定と呼ばれるが、そのA鑑定を採用する。

 3階住居のu当り支払賃料を100として、1階店舗の支払賃料の階層別効用比を求めると、下記のとおりである。


公示地番号 横浜中5-5 桜木町駅450m     公示地番号 横浜中5-10 山手駅100m  
用途 支払賃料 円/u 階層比   用途 支払賃料 円/u 階層比
1〜1 店舗 4574 152   1〜1 店舗 3750 141
2〜9 住居 3019 100   2〜2 住居 2610 98
          3〜3 住居 2665 100
                 
                 
                 
公示地番号 横浜中5-15 日の出町駅500m     公示地番号 横浜中5-22 石川町駅60m  
用途 支払賃料 円/u 階層比   用途 支払賃料 円/u 階層比
1〜1 店舗 3330 123   1〜1 店舗 6249 208
2〜2 住居 2660 99   2〜7 住居 3000 100
3〜6 住居 2700 100          
                 
                 
                 
                 
公示地番号 横浜中5-24 関内駅600m     公示地番号 横浜中5-25 阪東橋駅200m  
用途 支払賃料 円/u 階層比   用途 支払賃料 円/u 階層比
1〜1 店舗 4030 143   1〜1 店舗 4700 182
2〜3 住居 2821 100   2〜2 住居 2585 100
4〜6 住居 2902 103   3〜3 住居 2585 100
          4〜7 住居 2679 104


 上記分析結果を一覧にすると下記である。


階層 用途 横浜中5-5 横浜中5-10 横浜中5-15 横浜中5-22 横浜中5-24 横浜中5-25 平均
                 
9 住居 100           100
8 住居 100           100
7 住居 100     100   104 101
6 住居 100   100 100 103 104 101
5 住居 100   100 100 103 104 101
4 住居 100   100 100 103 104 101
3 住居 100 100 100 100 100 100 100
2 住居 100 98 99 100 100 100 99.5
1 店舗 152 141 123 208 143 182 158


C まとめ

 横浜中区の商業地にある1階店舗、上階住居の階層別効用比は、下記のごとくと分析された。

       階   用途   階層別効用比
       9階  住居     100
       8階  住居     100
       7階  住居     101
       6階  住居     101
       5階  住居     101
       4階  住居     101
       3階  住居     100
       2階  住居     99.5
       1階  店舗     158

 3階の階層別効用比を100とすると、1階店舗の階層別効用比は158と分析された。

 3階の支払賃料が坪当り1万円とすれば、1階店舗の支払賃料は1.58万円≒1.6万円ということである。

 2階は3階よりも0.5%劣る。

 4階程度から上階に行くに従い、住居の階層別効用比は100以上になっている。

 8階、9階は100となっているが、そうした判断の場合もありうるということを示す。データ数の少なさによる結果という見方もある。


  鑑定コラム2890)
「中高層ビル1階にある店舗の共益費・管理費は如何ほどであろうか」


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