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数多くの商品の特異な商品配列と深夜営業で、小売店舗を多店舗展開しているドン・キホーテが、ナカイ株式会社の15店舗を買収する。(2006年6月2日 ドン・キホーテHPプレスリリース)
ドン・キホーテのホームページによれば、ナカイ株式会社は徳島市に本社を持つ住宅関連商品、生活関連商品の小売販売事業の会社という。
そのナカイ鰍ヘ、四国地区に経営資源を集中するために、それ以外の地区にある15店舗をドン・キホーテに営業譲渡することとなった。
所在店舗は、名古屋市2店、愛知県4店(豊明市、長久手町、尾張旭市、春日井市)、岡山県3店(岡山市、倉敷市、玉野市)、そして奈良県大和郡山市、和歌山市にある店舗である。
15店舗の平成18年3月期の売上高は、4,123百万円、営業損失229百万円である。
ドン・キホーテは、ナカイ鰍フ有形固定資産、敷金・保証金、棚卸資産・商品在庫を譲り受け、負債は譲り受けない。
譲渡金額は約29億円である。
売上高41.2億円、営業損失2.29億円の15店舗を、ドン・キホーテは約29億円で購入するという。
その購入金額を不動産鑑定評価の知識を応用して勝手に、以下に分析検討してみる。ナカイ鰍ゥら購入する有形固定資産、敷金・保証金、棚卸資産・商品在庫の数値は発表されていないことから、それらの数値からでなく、全く異なる面からの分析で検討する。
ドン・キホーテの直近の損益計算書を分析すると、売上高を100とすると、およそ次の経営内容である。
売上高 100
売上原価 77
販売管理費 18
営業利益 5
ナカイ15店舗の売上高は、41.23億円であり、これがドン・キホーテの店舗の売上高であるとすれば、営業利益として、
41.23億円×0.05=2.06億円
生ずることになる。
しかしナカイ鰍ナは2.29億円の損失である。
売上高修正として、
5%の利益相当 2.06億円
営業損失 2.29億円
計 4.35億円
が必要と判断する。
41.23億円−4.35億円=36.88億円
一般的には、経営事業体が変わった場合、顧客離れが生じ、売上高の減少が発生する。これを10%減とする。
36.88億円−(41.23億円×0.1)=32.75億円≒32.8億円
ドン・キホーテが譲り受ける15店舗の売上高を32.8億円と修正する。
この15店舗の経営が、ドン・キホーテの経営に変わるのである。ドン・キホーテの独特の経営によって、売上高は増加することが、充分予測される。
それでなければ、ドン・キホーテは15店舗の購入を決意しない。
ドン・キホーテの独特の経営によって、売上高は15%アップすると予測する。
32.8億円×1.15≒37.7億円
営業利益率は、ドン・キホーテの既存店舗経営の営業利益率である5%とする。
購入15店舗の営業利益は、
37.7億円×0.05=1.885億円≒1.9億円
と予測される。
ここで投下資本を何年で回収するか考える。
ドン・キホーテの営業利益率は5%である。
5%ということは、
1/0.05=20
20年で投下資本を回収することになる。
新しく購入する店舗は既存店舗と同じく、20年の投下資本回収とは、経営者は一般的には考えないであろう。
20年よりも短期間での投下資本の回収を考えるのでは無かろうか。
そうしたことを考えると、15年程度の投下資本の回収期間と考えることが妥当では無かろうか。
15年の投下資本の回収は、
1/15=0.0666≒0.066
6.6%の利回りとなる。
15店舗の予想営業利益は1.9億円と求められている。
1.9億円÷0.066=28.78億円≒28.8億円
15店舗の取得推定価格は28.8億円と分析される。
ドン・キホーテの譲渡取得価格は約29億円である。
28.8億円の分析価格と譲渡取得価格は近似の価格である。
譲渡取得価格の約29億円は、上記の価格分析によって説明出来ることになる。
但し上記28.8億円の価格分析は、私が勝手にデータより推測したものであり、ドン・キホーテがどの様な計算根拠によって購入価格決定したかは、私は知る由もない。
上記の私の分析とは、全く異なっている可能性の方が大であることを断っておく。
ドン・キホーテが購入する15店舗の所在する地域に住んでいる人々は、世に噂されているドン・キホーテの経営する店舗とはどういうものか身近に知ることが出来るであろう。
そして、
「これが噂のドン・キホーテの商品配列の経営のやり方か。」
と驚く一方、学ぶべきものもあろうかと思われよう。
雑多な商品のジャングルの中に入って、うろちょろして品物を捜すのも楽しいものである。
ドン・キホーテの店舗の1号店は、私の住んでいる府中市の甲州街道沿であった。狭苦しい店内に、ごちやごちゃと品物が天井まで積み上げられてあり、一部木造の倉庫を改造したのでは無いかと思われる店舗部分は、所々床が抜けるでは無いかと思われる店舗であった。店内通路で人とすれ違う場合には、体をねじ曲げてゆかねばならない位であった。2006年にその1号店は建て替えられ、堅固な立派な店舗建物に生まれ変わっている。
終夜営業ということで、周辺住民とのトラブルを起こしつつも、あれよあれよという間に多店舗展開し、東京一部上場企業にまでなってしまった。
一方違う業種ではあるが、郊外レストランの「スカイラーク」の1号店も、府中市の甲州街道沿であり、これまた瞬く間に日本の郊外ファミリーレストランの雄にまでなってしまった。
2つの企業は、たまたま府中市の甲州街道沿に第1号店を出したに過ぎないかもしれないが、府中に住んでいる私としては、我田引水も甚だしいと思われるかもしれないが、「多店舗展開で成功する場合には、1号店は府中市の甲州街道沿に開店すべし」とつい言いたくなってくる。
鑑定コラム1687)「小売売上高8280億円の企業も出店しくじる」
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