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たばこを作っている会社である日本たばこ産業が、ある大手百貨店の子会社でパン製造会社のS社を買収して、パンの製造販売に乗り出すという。(日経2002.3.30)
どうしてたばこ会社が、畑違いのベーカリーを買収しょうとするのかよくわからない。
自らの主商品であるたばこの将来性に危機感を感じての経営の多角化か、或いは企業生き残りの為に業種転換しょうとしているのか。
買収金額は37億円で、取得するパン製造販売会社は105の店舗と従業員743人、1工場を持つ年間155億円の売上高のかなりブランド力のある会社である。
S社は大変人気のあるベーカリーである。
調査会社スコープの14年3月の調査によれば、首都圏の主婦を対象に行ったデパート地下ベーカリーの人気度調査で、複数回答によるベスト10位までの3767件の回答の中で、S社は第2位で、全回答の13.4%を得ている。
デパ地下ベーカリーのベスト10は以下の通りである。
1位 アンデルセン 18.0%
2位 S社 13.4%
3位 木村屋総本店 11.7%
4位 ポンパドウル 11.5%
5位 フォション 10.5%
6位 ドンク 10.4%
7位 ジョアン 7.5%
8位 ホテルオークラ 6.7%
9位 紀ノ国屋 6.1%
10位 ダロワイヨ 4.2%
人気のあるベーカリー買収の投下資本に対する売上高倍率は、
155億円÷37億円 = 4.19倍
である。
パン製造業の、従業員101人以上の会社の固定資産回転率は4.0である。
店舗保証金、ブランド価値が別途あることを考えると、買収価格は割安な価格か。
それとも店舗保証金、ブランド価値も全て固定資産に含まれると考えるとすると、妥当な価格となるか。
*
ベーカリーを買収する日本たばこ産業は、一方で子会社の情報システム部門(売上高49億円 2002年3月)をNTTデータに4.6億円で売却する。(日経2002.5.2)
NTTデータの投下資本に対する売上高倍率は、
49億円÷4.6億円=10.6倍
である。
情報システム産業の買収価格は、売上高の1/10程度と言うことか。
しかし、日本たばこ産業は155億円の売上のあるベーカリーを37億円で買収し、49億円の売上のある情報システム部門を4.6億円で手放している。
日本たばこ産業は何をしょうとしているのであろうか。
経営の大変換をしつつあるのか。
たばこから食品へと。
米離れの激しい日本人の食の変化に目を付け、毎日食べるパン食にターゲツトを絞って行動しょうとしているのか。
*
何気なく見過ごし、無関係と思われる現象データも、一つ一つ分析し積み重ねて行くと、現象データ相互の目に見えない関係がぼんやりと見えてくる。
共通する経済法則性の存在が見えてくる。
そうするとその集積行為が一つの大きな力になる。
蓄積されたデータは不動産鑑定の実証性の為の根拠データに変わりうる。
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