341)平成バブル崩壊が地方自治体倒産にたどりつくまでに17年かかった
平成元年(1989年)12月末の東証株価の史上最高値、平成2年(1990年)の地価高騰のピークを経て、株価・地価の大暴落が生じ平成の大不況が始まった。
個人破産、銀行の貸しはがしに依る中小企業の倒産が続いた。
1996年から住専の倒産に始まり、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券、日本長期信用銀行、日本債券銀行などの金融機関の倒産が続いた。
こうした平成大不況が進行している時に、経済学者だったか、エコノミストだったか、経済評論家だったか誰であったか忘れてしまったが、
「この不況は、民間企業だけでは終わらない。
役所、地方公共団体にも不況の影響は及ぶ。
役所に不況が及ぶのは一番最後で、時間にしておよそ15年位あとになるのでは無かろうか。」
のことを新聞か雑誌で言っていた。
どんな新聞か雑誌であったかも忘れてしまったが、その発言を知ったとき私は、
「役所にも不況は及ぶのか。
役所も倒産するのか。
その影響が15年後にどうして出てくるのか。
その間に不況は終わってしまい、役所の倒産など生じないのでは無いのか。」
と思った。
平成の大不況が地方自治体にも及ぶと発言した人は、恐らくそれだけの知識を持っていた人である。
それは、アメリカの1929年10月24日の「暗黒の木曜日」と呼ばれるバブル崩壊から、1941年までの「アメリカの大恐慌」を分析した結果の発言ではなかろうかと推定する。
2007年3月6日に日本政府は、北海道夕張市を財政再建団体に決定した。
夕張市は政府の監督下に置かれ、18年かけて負債353億円を返済して自治体を再建することになった。
即ち、夕張市という地方自治体は、民間企業で言えば破産したと言うことである。
平成バブル崩壊の始まりを平成2年とすれば、地方自治体にバブル崩壊の影響が及び、地方自治体が破産するまでに17年間の時間がかかったと言うことである。
新聞・雑誌等は、地方自治体の破産は夕張市のみに止まらず、今後いくつかの地方自治体が財政再建団体になるであろうと予測する。
地方自治体はまさか倒産などしないと私は思っていたが、平成大不況は地方自治体を例外に置かなかった。
地方自治体の倒産を予測した先に紹介した人の、名前を忘れてしまって申し訳ないが、その慧眼に敬意を表したい。
平成大不況がどれ程の大規模の不況であったのか、具体的な例の1つとして、倒産企業数とその負債額を記しておく。
企業情報提供会社の株式会社東京商工リサーチが、「全国企業倒産状況」を発表している。
それに依ると次のごとくである。
不況の始まる前の平成元年(1989年)は、倒産件数7,234件、負債総額1兆2322億円であった。
平成2年以降、倒産件数、負債総額は増える。
倒産件数のピークは、平成13年(2001年)の19,164件である。
負債総額のピークは、その前年の平成12年(2000年)の23兆8850億円である。
平成18年(2006年)には、倒産件数は13,245件、負債総額は5兆5000億円である。
平成3年〜平成18年までの倒産件数、負債総額は、次の通りである。合計計算は筆者による。
倒産件数 247,360件 負債総額 172,796,507百万円