昨年の2006年に続き、今年2007年4月より、青葉台にある桐蔭横浜大学法学部での不動産鑑定評価の理論と実務の講義が始まった。
昨年は少人数で寺子屋的授業であった。
今年もその程度かなと思いつつ教室に入ったところ、中教室が満杯になるほどの学生がいた。
受講希望の学生が、昨年のおよそ4倍に増えてしまった。この数の多さに驚いてしまった。
これでは寺子屋授業とは言えなくなる。
学生の顔を見て、更に驚くことがあった。
一つは、昨年講義を受けた学生が二人も居たことである。
その二人の学生に、
「どうしたのか。今年も私の講義を受けるのか。
単位は出したハズだが。
今年受けても、単位はつかないがそれでもいいの。」
と。
学生は、
「単位は必要ないです。」
と言う。
「講義は去年と同じ内容を話すことになり、同じことを二度も聞くことになるが、それでもいいですか。」
と問うたところ、
「良いです。」
という返事が返ってきた。
その返事を聞いて、こちらの方が二人の学生に対して、
「宜しくお願いします。」
と頭を下げた。
もう一つは、社会人の聴講生がいたことである。
どこで私の授業を知ったのか私には分からないが、不動産鑑定評価に興味を持って、講義の聴講を願い出てきた。
私の方にとっては、それらの学生に対して講義することは、一向に構わないが、一応、大学の教務課の方に、そうした学生がいるが受け入れて良いのかと聞いてみた。
教務課の担当者は、
「そんな嬉しいことは無いでは無いですか。
田原先生が良いと思われるなら、是非受け入れてください。
単位の重複が出来ないことは学生の方が知っております。
単位が出なくとも、再度講義を聴きたいという学生の熱意は素晴らしいことでは無いですか。
田原先生の講義に魅力があると感じているからこそ、そうするのでは無いでしょうか。」
と言い、大学側は内諾する。
去年と同じ内容を話すことは、二人の学生にも申し訳無いことであるから、新しい講義内容を私も考え、勉強しなければならなくなりそうである。
もっとも、去年の講義内容を振り返ってみると、話したい内容を随分と話さずに残してしまった。そのことを大変後悔している。
具体的な不動産価格の求め方について、説明する時間が多くとれなかった。
そして賃料については殆ど話す時間が無かった。
今年は、そちらの方に時間を出来るだけとろうと思う。
しかし、不動産鑑定の理論と実務を一年間で全て話すには、時間が絶対的に足りない。
足りない時間の中で、何とか基礎的で重要なところは講義したい。