不動産は、全ての企業・産業の土台になるものであり、不動産の上で経済行為等が行われている。
不動産と企業・産業の経済活動の関係を考えると、両者は全く別々に存在することは出来ない。
コンピュータの時代とか、マネーレスの時代とはいえ、コンピュータを製造する企業、ソフトウエアを考える人、コンピュータを操る人・企業は、不動産の上で経済活動等を行っているのである。
マネーレスの場合も同じである。
それだけ、不動産は経済活動等に無視出来ない存在である。
にもかかわらず、不動産の重要さを考えず、金儲けの手段にしか考えないとか、不動産を軽んずる傾向が社会に多く見られることは残念である。
不動産の価格を形成する要因として、現在の不動産鑑定評価基準は、一般的要因・地域要因・個別的要因の3つの要因に分ける。
その要因の中の一般的要因は、自然的要因、社会的要因、経済的要因、行政的要因の4つに分けられて説明される。
私は、自然的要因を一般的要因に入れることに違和感を持つ。
自然的要因とは、地質とか地勢、標高、気象等の不動産の自然状態の存在によって生じる価格形成要因である。
それに比し、社会的要因、経済的要因、行政的要因は、不動産の自然的存在によって生じる価格形成では無い。
人間が、社会で生きてゆくために、不動産に人為的に働きかけることによって生じる価格形成要因である。
自然的要因とは、価格形成の原因構成要因が全く異なる。
こうした自然的要因を、原因構成要因が異なる社会的要因、経済的要因、行政的要因と同じものと考えてひとくくりにして、論ずるものではない。
自然的要因は、一般的要因(社会的要因、経済的要因、行政的要因)と区別されるべきものでは無かろうかと私は思う。
現行不動産鑑定評価基準が、自然的要因を、社会的要因、経済的要因、行政的要因と同じ要因範疇として論じていることには、私は納得しがたい。
不動産の価格を形成する要因を、
1.自然的要因 2.一般的要因 3.地域要因 4.個別的要因の4つに区分しても、一向に差し支えないのでは無かろうか。