○鑑定コラム


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362)日本の国の借金834兆円

 不動産の鑑定評価の価格形成要因を分析する際に、経済的要因の中で、「財政及び金融の状態」という小項目がある。

 ミクロの道路条件や角地とか面積等の個別的要因ばかりに目を奪われて不動産評価を行わず、マクロに物事を見て価格評価をする必要がある為に、そうした要因項目が挙げられているものと思われる。

 「財政及び金融の状態」等の要因は、マクロで必ず不動産の価格に影響しているのである。

 土地価格が何故高騰するのか、高騰しているのか。或いは下落するのか、下落しているのかを知り、説明するためには、マクロの土地価格形成要因をしっかりと把握し、分析しなければ、その原因・方向性・土地対策が分からない。

 あそこの土地が50%上がったから、ここの土地も上がっており、土地価格は上がっているのだという土地価格高騰の説明では説明にはなり得ない。

 名古屋の土地は、トヨタが景気良いために土地価格が上昇していると説明する不動産鑑定士が居るようだが、その様な土地価格高騰の説明は止めて欲しい。

 「その程度の説明しか出来なくて、それが不動産の価格についての専門家か。」
と、世間からは相手にされなくなる。

 例えば、次の質問があった場合、満足に答えられる不動産鑑定士がどれ程居るものであろうか。そういう私だって満足に答えられないが。

 問1 平成19年度の日本の国家予算はおよそ如何ほどか。
 問2 その国家予算の内、国の借金である国債の金額はどれ程か。
        予算のうち、借金である国債の占める割合はどれ程か。 
 問3 2006年度(平成18年度)の日本国の国債を含めた借金の総額はどれ程か。
        そのうち国債の割合はどれ程か。  
 問4 日本の国際収支は赤字か黒字か。
 問5 黒字の場合、そのおよその金額はどれ程か。
 問6 日本国がため込んでいる外貨準備高はいかほどか。
 問7 現在の公定歩合は何%か。平成2年のバブル経済の時は何%であったか。

 これらの問の要因は経済的要因として、現在の土地価格の形成にかなりの影響を与えている。

 上記のうち財政の具体的状態の一つとして、現在の日本の国家予算はいかほどかについて記す。

 2007年3月の国会で、政府提案の2007年度(平成19年度)の国家予算が成立した。
 その具体的数値を、財務省のホームページより引用して記載する。
 下記の通りである。

 (歳入)
  税収          534,670億円
    その他収入        40,098億円
  公債金         254,320億円 
       内訳 建設国債  52,310億円
             特別公債 202,010億円
      計               829,088億円

 (歳出)
  国債費         209,888億円
  地方交付税       149,316億円
  一般歳出        469,784億円
   計          829,088億円

http://www.mof.go.jp/seifuan19/yosan002.pdf

 平成19年の日本の国家予算は約83兆円である。
 そのうち、国債という借金は約25兆円で、国家予算のうち約30%を占める。

 日本の国は30%の借金で財政をやりくりしている。
 25兆円の借金など大したこと無いとうそぶいている人がいるかもしれないが、借金財政が過去何年も続いて来ており、現在の借金の総額がどれ程あるのかを知った場合にも、大したこと無いとうそぶいておられるであろうか。

 毎年の国債の借金による予算編成によって、平成19年3月末つまり平成18年度(2006年度)の日本の国の借金の合計は834兆円である。(2007年6月25日 財務省HP発表)

 借金は前年度より6.9兆円増加している。

 この834兆円の借金のうち、国債は674兆円であり、借金の80%を占める。

 2006年度の日本のGDPは510兆円である。
 国の借金はついに自国のGDPを遙かに突破して、GDPの1.63倍、国家予算の10倍というとてつもない大きな金額になってしまった。

 一体誰が、この様な野放図な国家予算運営をするまでにしてしまったのであろうか。

 一般歳入が増え、それによって借金は返済出来ると言うであろうが、834兆円の借金を返済するために、どれ程の税収の増加が可能であろうか。
 一般歳入は53.4兆円である。景気が良くなり、法人税・所得税等の収入が増え、半分の26兆円の税収が毎年余分に確保出来るとしたとする。

 834兆円を返すには、
     834兆円÷26兆円≒32年
32年かかる。しかし、毎年26兆円の税収の増加があることなど、絵に描いた餅であろう。となると何年かかるやら。

 途方も無い金額になった借金834兆円を、日本政府はどの様にして、返済するのであろうか。

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