土地価格と利回りとは密接な関係がある。
土地建物と利回りとは次の関係にある。
賃料÷土地・建物価格=(粗)利回り
ここで3年前の土地建物価格をそれぞれ1.0とする。
その時の賃料を0.1とする。
利回りは、
0.1÷(1+1)=0.05
5%の利回りと云うことになる。
ここで3年の間に土地価格が倍に、建物価格は0.9になったとする。
そして賃料は値上がりせず同じで有ったとする。
利回りは、
0.1÷(1×2+1×0.9)=0.034
3.4%になる。
賃料の変動が無ければ、土地価格が倍になれば、利回りは5%から3.4%に下がる。
これが経済原則ではないのか。
即ち3年前に5%の利益で有ったものが、同じ利益で有っても、それは元本に対して3.4%の利回りになる。
土地が上がれば利回りは下がるのが、一般的な経済ルールであろう。
それがおかしなことを考える人がいる。
土地価格が倍になれば、賃料は45%アップになると主張して、賃料増額を鑑定評価する人がいる。
3年前の利回りをそのまま変わらずに採用し、倍の価格騰貴した土地価格に3年前と利回りは変動していないと云って、3年前の利回りを乗じて賃料を求めるのである。
土地建物価格=1×2+1×0.9=2.9
賃料=2.9×0.05=0.145
3年前に賃料は0.1で有ったのが、3年後には0.145になる。即ち
0.145÷0.1=1.45
で45%の賃料の増額である。
この求められた賃料が適正であると主張する。
そして自分は継続賃料の専門家で多くの裁判所の賃料鑑定をやっており、その賃料は判決に多く採用されている、即ち裁判官が判決で適正と認めたから正しいと豪語する。
いやはや、上記鑑定を専門家の意見であるからと云って根拠にして、強制力を持つ判決で45%の賃料の値上げをさせられる賃借人はたまったものでない 。
地価は上昇しているが、継続賃料は上昇していないとしたら、或いは継続賃料が逆に下落していたとしたら、一体どうするのか。1.45倍の高い賃料など現実を無視した賃料ではないのか。それが適正賃料というのであろうか。
賃借人は、
「裁判官よ、世間の常識を知っているのか。
賃料を鑑定した不動産鑑定士とやら、まともに信じて求めた賃料が正しいと思っているのか。」
と自分の思いと怒りをこちらにぶっつける。
45%の賃料値上げを勝ち取った代理人弁護士はいいだろう。依頼人の主張を代弁しているだけだから。何を主張しょうが、それが商売であるから。
しかし、弁護士とていつもいつも、上のごとく都合良く勝てる判決を得られるものでは無い。逆の代理人弁護士の立場になることもあり得る。
上記の事は、土地価格が半値等に下落したときには、逆になり、継続賃料は著しく安いおかしな鑑定賃料が出現し、逆の同じことが言える。
即ち、「土地価格が暴落したときは、利回りは高くなるのでは無いか」と。