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422)イヌイ建物の物流倉庫の還元利回り6.5%か

 物流倉庫業者であるイヌイ建物株式会社が、神戸市灘区で大型倉庫の建設を発表した。(2007年9月7日 イヌイ建物株式会社ホームページプレスリリース)

 2008年の4月で分析して記事にするには少し遅いかもしれないが、それはともかくとして、プレスリリースのデータより物流倉庫の建築費、還元利回りを分析してみる。

 倉庫の価格分析・鑑定評価の参考になるのでは無かろうかと思う。

 プレスリリースによれば、倉庫の土地は信託受益権の取得で、面積31,346.57平方メートルである。

 予定建物の規模は、1〜3階はRC造、4階はS造の4階建で、のべ床面積72,947.08平方メートルである。その賃貸面積は60,292.72平方メートルである。

 土地(信託受益権)の取得価格は36億円である。
 倉庫土地の取引形態は信託受益権によるものである。実質的には所有権売買とほぼ同じであるが、信託受益権による土地取引がごく一般的に行われる様になって来た。この取引形態が社会に広く受け入れられつつあると言える。

 予定建物の建築費は約60億円である。
 土地建物の取得金額は総計96億円の倉庫である。

 建物の建築費の単価は、
      6,000,000,000円÷72,947.08平方メートル≒82,300円
である。

 RC造倉庫を造る場合の建築費はいくらかかるかという質問に対しては、平方メートル当り82,300円の金額が1つの回答のデータになるであろう。
 
 賃貸面積当りの倉庫の価格単価は、
      9,600,000,000円÷60,292.72平方メートル=159,223円≒159,000円
である。

 ここで以前賃貸面積当り価格と倉庫賃料の価格分析を行った。
 その分析結果は、鑑定コラム261)「流通倉庫の取引価格と利回り」に記述してある。

 その分析結果を一部再記すると、

          平方メートル当り賃料        賃貸面積当り価格
           1,000円           139,000円
           1,100円           154,000円
           1,200円           168,000円
           1,300円           183,000円
である。

 即ち倉庫の賃料が平方メートル当り1,000円の場合、その倉庫の賃貸面積当りの価格は平方メートル当り139,000円ということである。逆に賃貸面積当りの価格が平方メートル当り139,000円であれば、倉庫の賃料は平方メートル当り1,000円ということになる。

 イヌイ建物の建設する倉庫の賃貸面積当り価格は、平方メートル当り159,000円であることから、同倉庫の賃料は平方メートル当り1,100〜1,200円の間にあると思われる。
 中間の平方メートル当り1,150円とする。

 月額賃料は、
     1,150円×60,292.72平方メートル≒69,300,000円
である。

 年間賃料は、
      69,300,000円×12=831,600,000円
である。

 粗利回りは、
      年間賃料収入÷土地建物価格=粗利回り
の公式より、
      831,600,000円÷9,600,000,000円=0.0866≒0.087
8.7%である。

 必要諸経費割合を25%とすれば、
      8.7%×(1−0.25)=6.525%≒6.5%
である。

 倉庫の還元利回りは6.5%と求められる。
 

 上記で引用した鑑定コラムは、下記をクリックすれば繋がります。
 鑑定コラム261)「流通倉庫の取引価格と利回り」

 信託受益権については、下記の鑑定コラムがあります。
 鑑定コラム199)「ナイガイの2つの倉庫の売却」
 

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