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東証上場のJリートの1つのニューシティ・レジデンス投資法人が、2008年10月9日経営破綻し、東京地裁に民事再生法の適用申請を行った。10月14日東京地裁は同申請を受理した。
東証上場のJリートで初めての経営破綻である。
日本経済新聞等の報道によれば、短期借入金125億円の借り換えが出来ず、また10月末までに取得物件の資金決済及び10月中に返済期限が来る借入金の返済の目処が立たなくなって、民事再生法の適用申請に追い込まれた様である。
負債総額は1123億円である。
同投資法人のホームページによれば、平成20年9月30日現在の銀行への借入金の直近返済期日と金額の状況は、下記の通りである。
平成20年10月17日 一括返済 45億円
平成20年12月18日 一括返済 40億円
平成21年01月21日 一括返済 173.5億円
平成21年01月30日 一括返済 37億円
平成20年に入って銀行より借り入れした短期借入金の状況は、下記の通りである。
平成20年1月30日 37億円
平成20年3月31日 5億円
平成20年8月29日 30億円
平成20年9月30日 14.93億円
借入金割合が50%を超えて居ることから、サブプライムローン問題によって、外資の投資銀行が日本からの資金の引き上げを行った結果、資金繰りは相当苦しかったと思われる。
リートは投資法人として資産運用会社から切り離されており、かつ賃料を配当源資にしていることから潰れることは無いと云い、国債の様なローリスクでなく、株式の様なハイリスクでなく、ミドルリスクであり、安定した配当を手にすることが出来る等のうたい文句で設立され、投資口を募集していたのでは無かったか。
どうも現実は違っていた様だ。
ニューシティ・レジデンス投資法人の6ヶ月毎の営業利益は、下記のごとくである。
平成17年8月期 17.38億円
平成18年2月期 17.39億円
平成18年8月期 20.75億円
平成19年2月期 31.51億円
平成19年8月期 29.78億円
平成20年2月期 32.34億円
直近の1年間の営業利益は、
29.78億円+32.34億円=62.12億円
である。
62.12億円もの営業利益を出す企業が経営破綻になるのか。
それは営業利益の90%以上を配当に回さなければならないという法律のためなのか。どうも私には理解しがたい。
高い利益を出していても、借入金の割合が高く、資産運用会社が仕入れた物件を資産運用会社に大きく利益を抜かれ、資産運用会社のいうがままに高い価格で物件購入していれば、いずれ経営破綻が来るのは必定であろう。
その購入資金をどこから得るのか。
銀行からの借入金によるのか、一般投資家に不動産証券化という商品を小口で販売する(それは増資ということになる)ことによってしか、資金の出所は無い。
ニューシティ・レジデンス投資法人の経営破綻によって、Jリートへの投資人気は著しく悪くなってしまった。
平成20年10月1日以降の東証リート指数の凄まじい下落状況を下記に記す。
平成20年10月01日 1154.27
平成20年10月02日 1101.16
平成20年10月03日 1010.55
平成20年10月06日 944.11
平成20年10月07日 958.67
平成20年10月08日 861.95
平成20年10月09日 834.14
平成20年10月10日 734.10
平成20年10月14日 798.49
平成20年10月15日 812.77
平成20年10月16日 749.05
平成20年10月17日 781.51
平成20年10月20日 828.24
2008年(平成20年)5月頃に、あるマスコミから取材があり、Jリートについての話をした。
その時、
「Jリートのいくつかは近い将来倒産するょ。」
と取材記者に話したが、その記事はボツになってしまった。
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