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50)アメリカの住宅価格ヒート気味

 アメリカのニューヨーク郊外のグリニッチの住宅地を代表にして、アメリカの住宅事情を日本経済新聞社の山崎宏特派員が伝える。(日経2002.5.16)

 アメリカの住宅価格はヒート気味らしい。
 中古住宅が1軒売りに出されると、購入者が12人殺到し、入札になり、売り主の売却希望価格を上回って落札されているという。
 売1に対して買12の場合には、価格は高く形成される現象を報告している。

 買1に対して売4前後が不動産の一般的な需給状態である。
 これに比し売1に対して買12になれば、需要と供給のアンバランスから、競争原理が働き価格は当然上昇する。
 不動産の需要供給による価格形成は、日本もアメリカも同じようである。

 日本のバブルの頃は、この需給の関係倍率はどうであったろうか。
 金融の超緩和政策が土地価格の超上昇の原因と云われているが、需給関係の観点からバブルの土地価格を分析した論文があるだろうか。
 バブルの土地価格上昇の過程における売と買の物件数の需給関係は、具体的にどうであったろうか。

 特派員は住宅価格の上昇に伴い、投資目的で住宅を購入する人が増加しているとも伝える。
 購入価格の10%前後を年間の家賃とするという。
 この利回りは粗利回り(グロス利回り)と思われる。  そして住宅も戸建て住宅と思われる。

 グリニッチはニューヨーク・マンハッタンから鉄道で一時間程度である。東京・丸の内から電車でおよそ一時間の府中、国分寺、田無(西東京)の面積80uの貸家戸建住宅の粗利回り(グロス利回り)は、貸家賃料及び土地建物価格から分析すると、

      府中市          4.3%
国分寺市 4.5%
      西東京市 3.8%
       平均 4.2%
である。

 住宅地の利回りは4%程度といえる。
 これから考えると、日本の住宅価格或いは住宅賃料は、アメリカより2.5倍程度高いということになる。

 上記アメリカの中古住宅の購入者の殺到現象を聞くと、バブルの頂上近い現象ではないかとも思えるが、家賃の利回りが10%の水準にあるというとバブルとも言い切れない。
 どうもよく分からない。
 日本の土地バブルの時は、地価の上昇に反比例して、利回りがドンドン下がっていった。
 都心の高度商業地の利回りはグロス利回りで2%を切った水準になってしまった。
 その2%を切った途端に、地価の下落現象が生じた。
 即ちバブルが崩壊したのである。
 バブル崩壊の利回りは2%であった。
 平成2年(1990年)4月頃である。

 アメリカの住宅価格は1995年から2001年の6年間で、およそ1.45倍になっている。
 アメリカで生じたことはタイムラグを経て、いずれ日本に影響してくるというのが、今迄の経済経験則であった。
 とすると、近い将来、日本の住宅地も再び価格上昇が生じることになるか。
 それとも、今回の日本のバブルの傷跡が大きく、生産性の向上という自助努力による利益の拡大でなく、他力本願のただ単なる地価上昇のみによる利益の拡大は、日本ではもう生じないという新しい経済経験則が作られるか。

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