アメリカのビッグスリーの一つであるクライスラーが、2009年4月30日米連邦破産法11条の適用申請したことを、オバマ・アメリカ大統領がテレビで発表するニュース映像が日本でも流れた。
自国一民間企業の破産法11条の適用申請を、アメリカ大統領が発表するとは。
日本において、日本の首相が、一民間企業の民事再生法適用申請の発表をするであろうか。
クライスラーの再建が、アメリカの国家事業のごとくである。
アメリカ大統領が自ら発表すると云うこと、この事は重要な事である。安易に考えて取り扱うものではない。
それだけクライスラーを再建存続させる事が、アメリカ経済にとって大切なことであると私は解釈する。
オバマ大統領が、株主、債権者のヘッジファンドの非協力を激しく非難する声明には、いささか驚いた。
クライスラーの売上が大幅に減じ、大幅な赤字のため、クライスラーを救済するという報道で、アメリカ政府が40億ドルの融資をするとか、80億ドルの追加融資をするという報道が流れる。
それら報道を聞いて、疑問に思うことが一つある。
クライスラーの危機ではあることは分かるが、ではクライスラーの売上高、財務諸表の赤字の金額は一体いくらなのかということが一切報道されない。
ネットで「クライスラーの売上高」の言語で検索しても、クライスラーの売上高を示す数値が全く検索されない。
アメリカ政府とか債権者等は、売上高等の数値を把握しているのであろうが、外部には全くその数値が出てこない。不思議な事だ。
クライスラーの売上高はいくらなのか。
GMとかフォードの売上高は分かる。
クライスラーは分からない。クライスラーの財務数値は非公開なのか。
もし非公開であったとしても、アメリカ政府は40億ドルの融資をするとか、80億ドルの追加融資をするというのである。税金が注ぎ込まれるのである。
財務数値は公開されても良いのではなかろうかと私には思われるが。
アメリカの産業を代表する自動車産業のビッグスリーの一角が倒産すると云うことは、アメリカ自動車史上にとって歴史に残る重大な事である。
サブプライムローン問題が、金融業界のみに留まらず、アメリカの屋台骨の産業にまでその影響を及ぼしてきた。
このクライスラーの倒産の影響は、アメリカのみに留まらず、日本の経済にも大きく影響を及ぼす。
クライスラーが潰れたと云うことは、アメリカ国内で自動車が売れなくなり余っているということであろう。
それは生産ラインが過剰と云うことを意味する。
日本自動車工業会が、Ward'sの調査によるアメリカ国内の自動車の生産台数を引用して発表している。
それによれば、GM、フォード、クライスラーの2007年、2008年のアメリカ国内での生産台数(乗用車、トラック、バス)は、下記の通りである。単位は台。
2007年 2008年 GM 2,815,080 2,292,614 フォード 2,030,140 1,509,665 クライスラー 1,651,285 1,106,028
2007年 2008年 トヨタ 943,924 759,448 ホンダ 1,015,462 987,169 日産 703,662 544,232
1位 GM 230万台 2位 フォード 150万台 3位 クライスラー 110万台 4位 ホンダ 99万台 5位 トヨタ 76万台