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日本経済新聞社が、年2回春と秋に、オフィスビル賃料を調査(『オフィスビル賃料調査』)して、日本経済新聞に発表している。
2009年春の調査の結果が、2009年5月5日の日本経済新聞に掲載された。
オフイスビル賃料は、軒並み下落した。
東京で一番高いオフィスビル賃料は、「丸の内〜大手町」の地区である。
間違えてもらっては困るが、店舗賃料で一番高いのは「銀座中央通り」である。「丸の内〜大手町」の地区は、オフィスビル賃料で一番高い地区であって、店舗賃料で東京一の賃料水準にある地区では無い。
オフィスビル賃料と店舗賃料とで、東京で一番高い賃料の地区が異なる。
日経2009年(平成21年)5月5日調査の「丸の内〜大手町」地区のオフィスビル賃料(新築、募集新規賃料、坪当り円)は、ゾーンで発表されており、
45,000円〜60,000円
であった。以下賃料ゾーンの右側の高値を、「高値ランク」と呼ぶこととする。
2008年(平成20年)11月17日の日経の調査では、坪当り65,000円(賃料ゾーン上下の巾なし)であった。
2008年11月〜2009年5月までの半年間で、高値ランクで坪当り5,000円の賃料が下がっている。値下がり率は、
60,000円÷65,000円=0.923≒0.92
▲8%である。
年率換算では、単純計算で、
▲8%×2=▲16%
の下落率である。
過去5年、「丸の内〜大手町」地区の日経調査によるオフィスビル賃料の高値ランクの賃料は、いくらでどういう動きをしてきたであろうか。
その賃料を下記に記す。単位坪当り円。
2004年(平成16年)5月 45,000円
2004年(平成16年)11月 45,000円
2005年(平成17年)5月 50,000円
2005年(平成17年)11月 55,000円
2006年(平成18年)5月 60,000円
2006年(平成18年)11月 − 円
2007年(平成19年)5月 65,000円
2007年(平成19年)11月 70,000円
2008年(平成20年)5月 70,000円
2008年(平成20年)11月 65,000円
2009年(平成21年)5月 60,000円
上記賃料の推移を見れば、2004年の坪当り45,000円からジリジリ上昇し、2007年11月に坪当り70,000円になる。
その高値ランク賃料水準は、半年続き、2008年5月を過ぎて下落する。
坪70,000円の賃料は2008年5月よりも長く続くハズであったろうが、不幸にもサブプライムローンの問題が表面化し、経済に与える影響が大きいとわかりだした。
そして賃料下落は、2008年9月のリーマン・ブラザーズの倒産で確実になり、2008年12月のトヨタショック(2008年12月22日トヨタ自動車の社長が、2009年3月期は大幅な赤字決算となる予測を発表)で拍車がかかった。
上記のオフィスビル賃料の上昇も、不動産ファンドバブルの影響によるものである。
不動産ファンドバブルの土地価格は、2007年7月をピークにして価格下落した。
オフィスビル賃料は、2008年5月をピークにして下落に転じた。
まとめて比較すると、
土地価格 2007年7月
オフィスビル賃料 2008年5月
が、それぞれのピークであり、その時期以降、土地価格もオフィスビル賃料も下落に向かう。
土地価格の下落と、オフィスビル賃料の下落のタイムラグは10ヶ月である。
勿論土地価格の下落の方が早く、その後追いでオフィスビル賃料が下落している。そのタイムラグが10ヶ月ということである。
通常は両者の下落のタイムラグは、2年半程度であるが、今回の下落のタイムラグは10ヶ月である。
リーマン・ブラザーズの倒産とトヨタショックが、オフィスビル賃料に与えた影響が如何に大きいかが分かろう。
私は、「アエラ」2009年2月16日号の『家賃崩落』の記事の中で、
「マンション賃料は下落する。地価の下落よりおよそ2年半後に家賃の下落が始まるが、今回はリーマン・ブラザーズの倒産の影響が大きく、家賃の下落は1年程度早まり、現在家賃の下落は始まっている。」
と述べた。
日経のオフィスビル賃料の調査結果は、いみじくもそれを裏づけることとなった。
「アエラ」の記事の鑑定コラムは、下記です。
鑑定コラム511)『「家賃崩落」都心で始まった』・アエラ2009年2月16日号
トヨタショックに関する鑑定コラムは、下記です。
鑑定コラム493)トヨタ2.2兆円利益からマイナス利益に激直下
リーマン・ブラザーズ倒産に関する鑑定コラムは、下記です。
鑑定コラム2499)「日経オフィス賃料 2022年下期 東京下落」
鑑定コラム468)歴史に残る世界金融の大変動時
鑑定コラム1464)「渋谷区の事務所賃料が大巾に値上りしている」
鑑定コラム2499)「日経オフィス賃料 2022年下期 東京下落」
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