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576)平成の関ヶ原の戦いは政権与党の惨敗

 第45回衆議院議員総選挙が、平成21年(2009年)8月30日に行われた。

 即日開票の結果、議員当選者数は、

      政権与党 自民党   119人(−181人)
      野党   民主党   308人(+193人)

となった。

 政権与党の自民党は、今迄の保持していた議席数300議席から119議席に激減してしまった。これにより政権を手放すことになった。

 民主党は、衆議院議員定数480人の単独過半数を握り、自民党に代わって日本の政治を担うことになった。

 選挙に圧勝した、民主党の鳩山由紀夫党首の内閣総理大臣が誕生することになった。

 自民党惨敗の理由は多々あろうが、長期政権担当による奢り、経済不況への対応のまずさ、最近とみに実感されるようになった貧富の格差問題、年金のお粗末な管理状況等が国民の支持を失ったことでは無かろうか。

 中学生が、
 「自分だって読めるよ。」
とテレビで放映する画像が流されるごとく、漢字をろくに読めない首相を、何故我らの総理大臣だと言って担がなくてはならないのかという国民の素朴な感情もある。

 自民党は官僚任せの政党というが、優秀な官僚は口にこそ出さないが、漢字もまともに読めない首相など小馬鹿にしていたであろう。

 部下が書いた文章の「てにをは」まで一字一句なおさせるプライドの高い官僚にとって、現首相の漢字の読み違いの行為など軽蔑の最たるものであろう。

 外国メデアの一部(豪有力紙オーストラリアン)は、民主党の勝利を、

 「明治維新と戦後復興に並ぶ出来事」

と報じると日経の高佐知宏シドニー特派員は伝える。

 今回の衆議院議員総選挙の予想を、共同通信社は、選挙投票日の42日前から投票日の2日前まで6回の投票予想調査をしていた。

 その6回の調査の数値の全てで、民主党が自民党に圧倒的な差を付けて優っていた。

 現実の選挙結果は、その通りとなった。
 共同通信社の調査が正しかったと言うことを証明することになった。

 共同通信社の2009年第45回衆議院議員総選挙のトレンド調査の6回の結果を下記に記す。


 「2009年第45回衆議院議員総選挙のトレンド調査」

項目 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回
発表日 2009年7月19日 2009年7月27日 2009年8月3日 2009年8月10日 2009年8月18日 2009年8月28日
投票日までの日数 42日 34日 27日 20日 12日 2日
小選挙区自民党候補へ投票 16.1% 16.1% 16.9% 14.8% 18.8% 22.6%
小選挙区民主党候補へ投票 34.1% 31.7% 33.9% 35.2% 34.1% 36.0%
             
比例代表自民党へ投票 15.6% 15.6% 16.7% 13.3% 16.5% 17.9%
比例代表民主党へ投票 36.2% 30.7% 34.4% 34.1% 32.6% 35.9%


 民主党の圧倒的勝利に対して、翌日31日の株式市場は、冷たい反応を示した。株価は民主党の勝利を歓迎しなかった。

 東証の一部上場日経平均株価は、前日比−41.61円(-0.4%ダウン)の、10492.53円で終わった。
 証券アナリスト達は、いろんな理由を付けて説明している。

 意外と思ったのは、外国為替円の対ドル換算レートが、前日まで1ドル93円台であったのが、1ドル92.80〜92.82円となり、前日比−1.12円低くなったことである。円高を示したことである。
 これは何を物語るのであろうか。

 帝国データバンクが、日本全国の企業11,128社(回答企業数)に対して、2009年7月22日〜31日にかけて、次期衆議院選挙に対しての企業意識の調査を行った。

 その調査項目の中に、次の様な質問調査事項があった。
 「これまでの政治体制からの転換点になるか」

 この質問に対して、7,059社(割合63.4%)の企業が、転換点になる、即ち、政治体制が変わると回答している。

 「転換点にならない」と回答した企業は、13.2%の企業しかなかったと、帝国データバンクは調査の結果を発表している。

 既にこの調査で、民主党政権の誕生が予測されていた。

 平成の関ヶ原の戦いは、民主党鳩山党首の圧勝で終わり、政権与党の麻生自民党は惨敗した。

 選挙前小沢一郎を口汚くののしり、批判していた自民党等の与党幹部達は、小沢一郎に、女性の力ある新人の対立候補をぶっけられあたふたし、自分の選挙区に釘付けされてしまった。

 本来ならば自分の派閥内の候補者、自党候補者の応援に駆けつけなければならない責務があるにもかかわらず、それが出来なかった。なさけないことである。

 大物と称する与党の政治家達は、小沢一郎の選んだ女性候補者に負け、小選挙区で落選か、僅差で当選、若しくは比例代表でからくも当選出来た。

 からくも当選した自民党議員の多くの人々は、噂に聞いていた小沢一郎という男の本当の怖さ・凄さを、改めて肌で知ったのでは無かろうか。

 さて、小沢一郎が、このやり方を少しいじくった官僚版を官僚達に向けたら?

 第45回衆議院議員総選挙は、参謀小沢一郎の勝利であり、古賀誠・菅義偉の完敗である。
 政治史上に残る事件が生じた。

 歴史の転換に立ち会え、その瞬間を見ることが出来たことの幸せに感謝する。


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  鑑定コラム1291)「計量政治学」

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