○鑑定コラム



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632)ある雑誌の編集後記

 四季に出版している雑誌がある。

 その雑誌の編集者が、その雑誌発行の折々に記している短い200字足らずの「編集後記」が、雑誌の最後にある。その内容は時季の社会情勢を反映したものが記されている。

 「編集後記」の著者、雑誌発行者の許可を得て、最近1年間の編集後記を転載する。

 まず、今月(2010年2月)15日頃、主要書店の店頭に並べられる最近号の「編集後記」より転載する。

・2010年2月25日発行号
 2010年の幕開けは、日本航空を会社更生法適用で救済するという政府の決定で始まり、自民党政権を倒した民主党へのマスコミのバッシングが激しい。官僚が情報リークして世論を誘導しているごとくである。明治維新の時の坂本龍馬の暗殺を執拗に狙う幕府見廻組と新撰組のごとくである。選挙で民主党が無血で政権を獲得したことを最も脅威に感じているのは、隣国の現中国政府ではなかろうか。その様に今回の民主党の政権獲得を考えるべきである。これが民主主義だ。


・2009年11月15日号
 戦後60年続いた自民党政治が終わった。国民は自民党のやり方しか知らず、そのやり方が当然と思っていたが、政権を取った民主党の政治に接し、政治にもこうしたやり方があったのかと驚き、政治にフレッシュさを見出した。今迄の自民党の政治は、政官業の癒着政治で、それぞれが自腹を肥やす政策を長くやってきたことが分かりだした。我が業界も自民党的な考えから、民主党的考えに変えてゆかねばならないだろう。


・2009年8月15日号
 東京都議選は民主党の圧勝で終わった。地方選挙と国政選挙とは異なると言う人もいるが、首都の選挙動向が、国政選挙と無関係であると立証する方が難しい。4年振りの衆議院選挙が近い。政権与党の自民党が敗れ、民主党が政権を取ったら、国土交通省及び地価調査課の考え方は、どう変わるであろうか。全く変わらないか。或いは劇的に変わるか。国交省べったりで自主性が甚だ劣ると言われる日本不動産鑑定協会は、どういう対応をとることになるであろうか。


・2009年5月25日号
 不動産ファンドバブルがはじけて、株式上場している不動産会社がバタバタ倒産している。不動産市場の実態をよく知っている不動産鑑定士の一部の人が、地価は大幅に下落していると説明しても、不動産の取引価格の実態をよく知らない一部の不動産鑑定士は、地価は僅かしか下がっていないと主張する。どちらの言い分が正しいのか。場所によりけりという旨い言い訳をして、双方の言い分のいずれも正しいと云って土地価格の変動の話は終わり。1年後まで無し。


・2009年2月15日号  そして今から1年前の「編集後記」である。
 2005年頃より始まった東京の地価高騰は、「不動産ファンドの衣を被った平成バブルの再現で、その二の舞になる」と、一部の人々からは警戒信号が発せられていた。2009年1月9日に大手不動産ファンドのクリードが倒産した。資本主義の良い処を巧妙に利用して、不動産を高値で買い、不動産証券化して売却し、莫大な利益を得て、我が世の春を謳歌していた不動産ファンドは、別の顔をも持つ資本主義の厳しい反撃に遭って、あっけなく倒産してしまった。


 「編集後記」の掲載されている雑誌は何処の業界のものかは、記事に国土交通省、日本不動産鑑定協会、土地価格の変動等の文言が出てくる事から、不動産に関する業界のことと推定されるであろう。

 雑誌名は「Evaluation」という不動産鑑定実務理論雑誌である。
 広告を一切載せないという変わった雑誌で、全く自費出版の雑誌で細々と雑誌発行を続けている。主として不動産鑑定士向けの専門雑誌である。いつまで雑誌の発行が続く事か。

 不動産鑑定業界というのは狭い業界で、雑誌の売り上げはさっぱり伸びないようである。不動産鑑定士はあまり本を読んで新しい情報を得ようとしないのであろうか。
 トンチンカンな不動産鑑定書が、大手を振って我が物顔で罷り通っているが。

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