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「検察の記者会見のオープン化について、東京地方検察庁のホームページに記事公告が出ているょ。」
ということを聞いた。
鑑定コラム653)で「最高検が記者会見を開放通知」の記事を載せたこともあり、どんな内容のものかと思い、初めて東京地方検察庁のホームページを訪れて見た。
平成22年4月23日付で、「東京地方検察庁における記者会見について」という公告記事が出されていた。
書き出しは、次の通りである。
「 東京地方検察庁は,これまで司法記者クラブ加盟社の記者に対して記者会見を行ってきたところですが,今後,下記のとおり,司法記者クラブに所属していない一 定の記者についても参加することができる定例記者会見等を開催することとしました。」
と述べる。
今迄、ネット等が盛んに批判していた通り、東京地検の記者会見は、司法記者クラブ加盟の記者に限られていたことを、検察庁が認めるものであった。
ネットが、検察はフリーランス等への記者会見を一切認めないという指摘は本当であったことになる。
従前からの司法記者クラブ加盟社の記者のほかに、検察記者会見に今後参加を認められる記者は、下記@ないしEの会員社に所属する記者、F,Gに該当する記者である。但し事前に登録手続をしなければならない。
ホームページには、検察の記者会見に参加出来る記者の種類が、下記のごとく記されている。以下公告当該部分の@〜Gを引用する。
@ 日本新聞協会会員社
A 日本専門新聞協会会員社
B 日本地方新聞協会会員社
C 日本民間放送連盟会員社
D 日本雑誌協会会員社
E 日本インターネット報道協会会員社
F 外務省が発行する外国記者登録証の保持者で,十分な活動実績・実態を有すると認められる者
G 以上のほか,@ないしFに該当しない記者で,上記@ないしEの会員社が発行する媒体に署名
記事等を提供するなど,十分な活動実績・実態を有すると認められる者
検察の歴史を研究する場合には、記者会見にフリーランスの記者、外国人記者の参加も認める行為が決められたことは、見逃すことの出来ない画期的なものとして検察行政の歴史上に書き残されるものであろう。上記公告文書は、研究の行政文書として貴重な証拠になるものである。
東京地方検察庁の記者会見のオープン化のホームページ記事は、下記のアドレスです。
http://www.kensatsu.go.jp/kakuchou/tokyo/openann.htm
東京地方検察庁における記者会見についてのホームページの公告通知においては、何故、司法記者クラブ加盟社の記者以外の記者の参加を認めることになったかの理由については、一切触れていない。
これについては、いろいろな参加オープン理由があろうが、衆議院議員の鈴木宗男氏が、自身のブログ「ムネオ日記」2010年4月23日の記事で、次のごとく述べている。
「(2010年)3月24日、加藤副大臣が私を訪ねた際、「近々フルオープンする様、現在準備を進めています」と言っていた。あれからちょうど一ヶ月で実現したことになる。加藤副大臣のご努力を多としたい。」
そして、次のごとく述べる。
「政権交代してからも、私は何度となく質問主意書の中でフルオープンをすることが検察のためであり、国民の思いだと主張してきた。結果として、国民の声に検察も同意したのではないか。」
と。
上記の加藤副大臣とは、加藤公一(かとう・こういち)国会議員である。
まだ若い。昭和39年生まれと聞く。上智大学電気電子工学科を卒業して、株式会社リクルートに入社し、その後民主党の国会議員になった人である。
法律家にも言えるが、政治家にも理科系の頭をもった人は、必要である。
鈴木宗男氏の政治活動のやり方は、国会議員にのみ許されている政府への質問主意書を提出して、行政の考え方を政府回答書と言う形で引き出す。
それによって政府の動きを監視し、時には発言するやり方である。
現在の国会議員の中で、もっとも多くの質問主意書を政府に提出し、政府の回答を得ている人ではなかろうか。
国会議員の質問主意書に対しては、政府・行政側は回答書を出さねばならない。
回答書を出す場合には、それなりの調査をし、検討し、吟味して回答しておかなければならない。
行政側にとって、この質問主意書への回答は、かなりの重荷ではなかろうか。
政治情勢が代わり、同じ内容の質問主意書が数年たって再度出されてきた場合、前回の回答書との均衡を図らなければ、必ず追加説明を求められる。それに対処しなければならないことになる。
質問主意書、それに対する政府回答書の累積は、鈴木宗男議員にとっては、自身の大きな政治的政策の財産になっているのではなかろうか。
行政側にとっては、時系列の質問主意書、それに対する政府回答書の累積の存在は、怖いものとなるのではなかろうか。
一方、現代の政治をテーマに研究する学者・研究者にとって、国会議員の質問主意書、それに対する政府回答書は、第一級の史料であり、研究分析に大変役立つものとなる。
下記に鈴木宗男国会議員の「ムネオ日記」2010年4月23日の記事のアドレスを記す。
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201004.html
2010年4月23日の「ムネオ日記」を見ていたら、「本日受領した政府答弁書」というものがあった。
その中で興味を引く題目のものが、目についた。
「124 いわゆる砂川事件及び伊達判決に対する外務省の対応の変遷に関する再質問主意書」
に対しての政府答弁書であった。
質問主意書、それに対する政府回答書は、衆議院のホームページに公開されていると書かれていたので、そちらを覗いて見た。
「砂川」とは、北海道の砂川市のことではない。
東京都立川市の砂川である。
米軍立川基地があり、その北側にある砂川地区の土地を立川基地拡張する為に生じた事件である。この立川基地の北西方およそ7kmの福生市に米空軍横田基地がある。アメリカ大統領が来日する時の「エアフォースワン」が着陸・離陸するに利用する基地でもある。
現在は米軍立川基地はなく、自衛隊の駐屯地と広大な都立の公園となっている。
毎年10月に、箱根大学駅伝の予選会の開かれる場所と言った方が分かり易いかもしれない。
古い事件であるが、大学で法律を学んだ私の頭の中には「伊達判決」の4文字は刻み込まれている。
砂川事件とは何か。
伊達判決とはどういうものか。
それらについては、解説する書物等があるから、そちらで調べられたい。
鈴木宗男国会議員の当該質問主意書、それに対する政府回答書を下記に転載する。
国会議員が行う質問主意書、それに対する政府回答書とはどういう形式のものかを知っておくことも何かの役に立つのではなかろうか。
*
質問本文情報
平成二十二年四月五日提出
質問第三五三号
「いわゆる砂川事件及び伊達判決に対する外務省の対応の変遷に関する質問主意書」
提出者 鈴木宗男
一九五七年七月八日、当時の東京都砂川町(現立川市)の米軍立川基地拡張のため、東京調達局が測量を行おうとした際、反対するデモ隊の何人かが基地に立ち入り、そのうち七人が刑事特別法違反の罪で逮捕・起訴されたいわゆる砂川事件に対し、一九五九年三月三十日、当時の伊達秋雄裁判長は東京地裁で、駐留米軍は日本国憲法第九条に違反するとし、後に伊達判決と言われる無罪判決を出した。
この伊達判決が出された翌日、当時のマッカーサー駐日米国大使と藤山愛一郎外務大臣との会談(以下、「会談」という。)が行われ、マッカーサー大使より藤山大臣に対し、外交的圧力がかけられたと言われている。
砂川事件の元被告や市民団体等は、これまで累次に渡り、外務省に対して右の会談記録等の情報開示を求めてきたが、同省は「記録がない」として開示を拒んでいたものの、本年四月三日の新聞報道では、同省はこれまでの姿勢を転換し、「会談」の事実を認め、その速記録を関係者に情報開示したことがわかったと報じられている。
右を踏まえ、質問する。
一 外務省はこれまで「会談」の速記録はじめ関連文書の開示請求を何度受け、その度にどの様な対応をとってきたのか、具体的な日にちも併せて明らかにされたい。
二 一の対応をとる際の責任者の任にあった者は誰か、その官職氏名を全て挙げられたい。
三 「会談」はあったのか。また、「会談」において、マッカーサー大使より藤山大臣に対し、伊達判決に対する懸念が表明され、東京高裁への控訴ではなく、最高裁へ跳躍上告すべきとの考えが伝えられたという事実はあったのか。
四 外務省は「会談」の速記録を、同省内におけるどの様な検討の結果、誰の責任により、誰に渡しているのか説明されたい。
五 今回外務省として、「会談」の事実を認め、その速記録を四の者に渡すことを決めたのはなぜか。
六 一の者、ひいては外務省が、「会談」の事実を隠し、情報開示請求に対しても「記録がない」と嘘をつき続けてきたのはなぜか。またそれは適切であったか。岡田克也外務大臣の見解如何。
右質問する。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a174353.htm
*
答弁本文情報
平成二十二年四月十三日受領
答弁第三五三号
内閣衆質一七四第三五三号
平成二十二年四月十三日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 菅 直人
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出いわゆる砂川事件及び伊達判決に対する外務省の対応の変遷に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出いわゆる砂川事件及び伊達判決に対する外務省の対応の変遷に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの開示請求については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づき平成二十一年五月四日に不存在を理由とする不開示の決定を行った二件及び平成二十二年三月三十一日に開示の決定を行った一件の計三件がある。
二について
一についてで述べた決定は、外務省北米局において起案し、同省においてしかるべく決裁を経たものである。
三について
いわゆる「密約」問題に関する調査の結果とともに平成二十二年三月九日に公表された関連の文書の中に、いわゆる砂川事件に関するものを含む藤山外務大臣(当時)とマッカーサー駐日米国大使(当時)との間のやり取りを記録した文書が含まれているが、当該やり取りは、上告の見通しや地裁判決の反響などについての一般的な内容であり、お尋ねのような事実についてのものではないと認識している。
四から六までについて
一についてで述べた決定のうち、不存在を理由とする不開示の決定を行ったのは、開示請求への対応のため関連文書の探索を行ったが、対象文書が発見されなかったためである。一についてで述べた決定のうち、開示の決定を行ったのは、いわゆる「密約」問題に関する調査のため、関連文書を徹底的に探索した結果、三についてで述べた文書が発見されたためであり、当該開示の決定を外務省北米局において起案し、同省においてしかるべく決裁を経た上で、当該文書を当該開示請求者に開示したものである。今回の徹底的な探索まで関連文書が発見されず不存在と回答してきたことは、遺憾であると考えている。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b174353.htm
鑑定コラム653)「最高検が記者会見を開放通知」
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