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672) 建築工事費と不動産バブル

 建築工事費と土地価格とは無関係と私は思っていたが、過去の建築工事費の推移を分析してみると、どうも鉄筋コンクリート造の建築工事費と土地価格の変動とは密接な関係があるようだ。

 土地価格の変動のピークの1〜3年後に、東京のRC造建築工事費のピークが来るようである。
 
 土地価格が上がれば、建築工事費も上がる様である。

 建築工事費は多くの建築資材を使用していることから、その資材の価格の影響が大きく、工賃も土地価格には関係していないと思っていたが、分析してみると、それら資材価格・工賃も勿論関係しているが、それ以上に大きく建築工事費に影響を与えているのは土地価格のようである。

 以下に旧建設省、国交省が発表している建設統計月報から、東京の年間の建築工事費を掲載する。
 昭和55年〜平成11年までの数値は、田原著『賃料<家賃>評価の実際』P161(清文社)を使用する。


元号年 西暦年 東京RC造u当り単価
昭和55年 1980年 14.6万円
昭和56年 1981年 15.9万円
昭和57年 1982年 16.5万円
昭和58年 1983年 16.7万円
昭和59年 1984年 16.1万円
昭和60年 1985年 17.3万円
昭和61年 1986年 18.0万円
昭和62年 1987年 19.9万円
昭和63年 1988年 23.2万円
平成元年 1989年 27.8万円
平成02年 1990年 30.7万円
平成03年 1991年 32.3万円
平成04年 1992年 30.8万円
平成05年 1993年 27.5万円
平成06年 1994年 24.9万円
平成07年 1995年 22.0万円
平成08年 1996年 22.0万円
平成09年 1997年 22.3万円
平成10年 1998年 21.7万円
平成11年 1999年 21.7万円
平成12年 2000年 19.9万円
平成13年 2001年 19.0万円
平成14年 2002年 19.7万円
平成15年 2003年 20.6万円
平成16年 2004年 20.6万円
平成17年 2005年 19.9万円
平成18年 2006年 20.9万円
平成19年 2007年 22.9万円
平成20年 2008年 25.2万円
平成21年 2009年 27.0万円


 土地価格は、平成バブルが平成2年(1990年)であり、次の土地バブルは不動産ファンドバブルの平成19年(2007年)である。

 平成バブルの時は、東京のRC造建築費は、昭和63年頃より上がり始め、平成3年32.3万円のピークを付けて下がり始める。土地価格のピークより1年遅れである。

 次の土地ファンドバブルの時は、東京のRC造建築費は、平成19年より値上がりし、平成21年に27.0万円をつける。土地価格のピークより3年遅れである。

 東京のRC造の建築工事費は、土地価格の1〜3年後にピークを迎えその後下落する傾向を持っているようである。


 鑑定コラム668)「2009年都道府県のRC造建物建築工事費」

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