○鑑定コラム



フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ

鑑定コラム全目次へ


70)価格競争のわなの回避

 ソニー・コンピュータエンタティンメント(SCE)の久多良木社長が日本産業の停滞について次のごとく云っている。(日経 2002.6.6)
 「1990年頃を境に付加価値を生む力が落ちてきた。先人の遺産にあぐらをかいて、ポストをたらい回しにする経営者が現れ、日本を壊した。」と。

 そして、日本の勝ち組の企業には共通点があるという。
 その共通点とは、「新たな付加価値を盛り込み、商品の陳腐化を防いでいる」という。その勝ち組としてトヨタとホンダを例としてあげ、次のごとく云う。
 「デザインの優れたクルマを出し続け、価格以外の魅力で勝負してきた。自動車の買い手の多くは値段でなく、商品そのものの特徴でクルマを選んでいる。」
 そしてこうした経営を行っているから「価格競争のわなを回避出来る」という。

 価格競争のわなの回避は、優れた商品の提供であるとSCEの久多良木社長は云っている。

 不動産鑑定評価の報酬料の低下が著しい。競争による報酬料のダンピングである。簡易評価しかり、固定資産評価にもその噂を聞く。そして最近は鑑定評価報酬料を入札にして決めようとする動きが出てきた。
 評価する人の力量によって鑑定の優劣が問われるものを、不動産鑑定士ならば誰でも高品質の適正な鑑定評価が出来るという錯覚に、入札者は陥っているのでは無いかと思われる。

 一方、不動産鑑定士の中には「評価報酬料の低額化は時代の流れで仕方が無い」という人もいる。また「もともとそれだけの低い報酬料の価値しか無かったのではないのか」と冷ややかに、自虐的に、かつ他人事のごとく云う人もいる。
 不動産鑑定評価は誰がやっても同じ結果が得られるものとすれば、安い報酬料の方に流れるのは経済の原則であり仕方が無いであろう。

 しかし、裁判の不動産鑑定で代理人弁護士から、
 「鑑定人の当りはずれが有り、非常に困るんだよなア」
と言う言葉を度々耳にする。
 この言葉は、不動産鑑定評価は誰がやっても同じ結果が得られるというものではないことを、現実視している言葉である。

 鑑定報酬料競争のわなを回避するのは、良い鑑定の提供ということであろうか。

 但し、鑑定書に事例地の枝地番表示するとか、事例地の写真を貼付するとか、鑑定書をカラー化し見栄えを良くすることが、良い鑑定と錯覚してもらっては困る。

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ

鑑定コラム全目次へ