「スローフード」という言葉がある。
フアーストフードに対して造られた言葉である。フアーストフードに見られる食材や味の画一化に対抗して、特色ある郷土の食材や料理を守って行こうとするもので、1986年に北イタリアで始まった「スローフード運動」が始まりらしい。(日経2002.6.1)
日本では「スローフード」は無農薬、減農薬野菜の意味にも使われている。消費者の食材の安心の強い関心を反映して、無農薬の野菜を販売している会社の社長は「販売価格は一般の野菜より10〜15%高い。安心のためなら20%までは理解してもらえる」という。(「らでいっしゅぼーや」緒方大助社長)
同じ野菜でも食生活の安全性が高いと思われる野菜ならば、20%程度高くても販売出来ると言うことである。このことは、食生活の安全性の野菜は高品質の野菜と考えれば、高品質の野菜は低品質の野菜よりも20%高でも市場性が得られると解釈される。
この考え方・現象は農業・野菜の業界だけに通用する考え方・現象ではない。不動産の世界にもその現象は存在する。
「高品質の住宅地の価格は、低品質の住宅地の価格よりも高い」という価格現象である。土地価格経済則である。
不動産というと建物も含まれるが、ここでは建物を考えずに土地だけで考える。
大規模造成住宅団地の土地価格と、蚕食的に無計画に開発されて造られた住宅地の価格の間には、はっきりとした土地価格の差がある。
大規模造成住宅地を高品質の住宅地、蚕食的に無計画に開発された住宅地を低品質の住宅地とすれば、前記土地経済則はそのまま当てはまる。 大規模住宅団地の価格と、それに隣接するか或いは近くに所在する蚕食的に開発された住宅地の価格を調査分析してみた。
データ分析は宅地造成が盛んの頃でやや古いが、両者の間には次の関係が認められた。
周辺住宅地価格 分譲住宅地価格倍率 平方メートル当り万円 倍 1 1.85 2〜4 1.65 5〜6 1.43 7〜10 1.38 11〜15 1.35 16〜20 1.34
フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ 前のページへ