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ダイエーがグループの再生のためか子会社を次々と売却している。
英国風パブの事業を展開している「ハブ」を10億円で加ト吉に売却した。(2002.12.10 ダイエーHPプレスリリース)
「ハブ」は23店舗を持ち、売上高は23.3億円(2002年2月)である。
投下資本の売上高倍率は、
23.3億円÷10億円=2.33倍
である。
82店舗を持ちハンバーガーレストラン「ウェンディーズ」の店舗名で事業しているウェンコ・ジャパンを、ゼンショーの子会社であるクオリティ・ハンバーガーに約46億円で売却した。(2002.12.2 ダイエーHPプレスリリース)
ウェンコ・ジャパンの売上高は81億円(2002年2月)である。
投下資本の売上高倍率は、
81億円÷46億円=1.76倍
である。
ファミリーレストラン186店舗を持つビッグボーイジャパンを、86.5億円でココスジャパンに売却した。(2002.12.2 ダイエーHPプレスリリース)
ビッグボーイジャパンの売上高は、223.5億円(2002年2月)である。
投下資本の売上高倍率は、
223.5億円÷86.5億円=2.58倍
である。
レストランを購入するために何十億円という金を投下するということは、少なくとも5年間で投下資本が回収出来るという見込みがあるということである。
「ハブ」で考えれば、「ハブ」の投下資本は10億円である。
10億円÷5年=2億円
「ハブ」の純利益は年間2億円あること、或いは2億円が確実に見込めることでなければならない。「ハブ」の売上高利益率は、
2億円÷23.3億円=0.085
である。即ち8.5%の利益率ということになる。
同様に考えれば、
「ウェンディーズ」は純利益9.2億円、利益率11.3%
「ビッグボーイ」は純利益17.2億円、利益率7.7%
ということになる。
損益計算書を見ている訳ではないから、算出数値への不安性はいかんともしがたいが、少なくとも10億円とか46億円、86.5億円の巨額な金額を投資するには、必ずそれが100%近くの確率で回収される可能性があるはずである。それでなければ事業経営者は資本投下しない。
「ウェンディーズ」の投下資本に対する売上高割合が、1.76倍と他のレストランの売上高倍率よりかなり低い率であることは、利益率が高いからであることでない限り、合理的説明がつかない。
上の3つの郊外レストランの売上高に対する利益率は7.7%〜11.3%で、平均9.2%である。
なんだか、郊外レストランの利益率そして企業売買価格が、ぼんやりと見えて来そうである。
2002年2月には人材派遣会社の「ラス」を、20.5億円でファンド運営会社のパシフイック・エス・エヌ・ティに売却した。(2002.2.14 ダイエーHPプレスリリース)
「ラス」はダイエーグループを中心に人材派遣事業を行い、35,000人の派遣員を抱える総合人材サービス企業である。売上高は71.3億円(2001年2月)である。
投下資本の売上高倍率は、
71.3億円÷20.5億円=3.47倍
である。
2002年6月には「プランタン銀座」も手放した。
一時は小売業の雄と騒がれ、有名大型百貨店の売上高を抜き、小売りで売上高日本一の企業までなった。電機メーカーから製品安売りに対する猛烈な妨害、抗議をはねつけて商売をやってきたダイエーも、今や自らの企業の生き残りの道を懸命に探っている。頑張って欲しいと思う。これからの新しいスーパーストアーとはこういうものだという方向性を見いだして、新しいダイエーとして立ち直ってくれることを願う。あれもダメ、これもダメでは日本の先行きが暗すぎる。
郊外にスーパーストアを建てれば、その周辺の地価はあがり、スーパーストアの土地の価格も上がる。その地価上昇した土地を担保にして、次の郊外の土地を買いスーパーストアを出店する。すると周辺の土地価格は上昇し、結果においてスーパーストアの土地の価格も上がる。そして再再度その土地を担保にして金を借り、次の店舗を・・・・・・・という具合に、同じ事を繰り返し、日本経済の成長と共に業績を伸ばしてきた。こうしたやり方はダイエーだけではない。多く見られた経済活動現象であった。
自らが出店することによって、周辺の土地価格を上昇させる力をダイエー等のスーパーストアは持っていたのである。
では、そのスーパーストアの土地価格を、誰が評価して価格保証してきたのか。融資銀行か。或いは第三者か。
私へは残念ながら、そうした土地を評価する機会が訪れてくれなかった。
飲食店・レストランの売買価格についての記事については、下記の鑑定コラムがあります。
鑑定コラム35)
「ファミリーレストランの売買価格」
鑑定コラム59)
「和食レストランの売買価格」
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