工業団地の造成費を平方メートル当り9,000円というメルマガ記事を配信したところ、そのぐらいではないか、イヤ高すぎる、安すぎる、一概にいえない、独断である等というおしかりを含めていろんな意見をいただいた。
その後、中国地方の鑑定があり、当該地の鑑定協会に有った住宅団地造成工事事例を閲覧したところ、平坦な住宅団地の工事費がu当り7,000円〜9,000円、丘陵山林の住宅団地の造成費はu当り15,000円〜20,000円程度であった。
平方メートル当り9,000円は当たらず遠からずというところか。
おしかりを受けたが、なんだかんだと言っても造成工事を必要する鑑定に遭遇した場合、多分、平方メートル当り9,000円を思い出し、それを一つの目安にして評価されるのでは無かろうかと私は贔屓めにみて思っていたい。
神戸ポートアイランドが築造20年を経て、曲がり角に来ているという。
今後の街づくりの方向として、「コンビナートとか住宅団地とか単一目的の機能でなく、文字通り都市としての複合機能を持った海上文化都市」を目指す(神戸都市問題研究所)という。
神戸ポートアイランドU期工事は390haで、総工事費5,300億円だったという。
平方メートル当り135,900円の工事費である。
分譲予定地の70%は未だに売れ残っているという。
この金額で土地を買って、それに見合う製品売上を得ることが出来る工場企業が、日本にどれ程いるのであろうか。
70%の工場地等分譲予定地が残っていると言うことは、
135,900円×(1−0.7)=40,770円≒40,000円
平方メートル当り40,000円が都市型工場地の土地価格の限界、都市型工場のみでなく工場地の価格として限界ということの実証データとも考えられる。
この平方メートル当り40,000円の価格以上の工場地の価格は、工場地として買っても工場として採算が合わないということを語っていると解釈出来る。
神戸海上都市築造の為の公有水面埋立工事には、平方メートル当り13.6万円(9,000円の15倍)かかったということは、1つの事例として覚えていて良いのでは無かろうか。
安くない工事費を投入して造った国土である。そのポートアイランドを複合機能を持った都市に変えようとする意気込みは買いたい。
渋谷の街づくりに深く関わった東急不動産の安藝哲郎会長(我々の日本不動産鑑定協会の会長でもある)が、都市の魅力について「さまざまな階層の人々が集い賑わう混在」と言っている。
そうした魅力ある都市がポートアイランドに出来れば、土地価格は平方メートル当り13.6万円どころか、その10倍にもなる。
頑張れ神戸と声援を送りたい。
2002年最後の『鑑定コラム』です。1年間ご愛読頂き有難うございました。
少しは役にたったでしようか。記事の一つでも役に立ったと言って頂ければそれで充分です。
来年2003年も「不動産鑑定評価の実証性」の切り口で、勝手気ままに記事をお送りしたいと思います。
ご愛読して頂ければと思います。
鑑定コラム612)「価格5割引の神戸市の工場土地分譲」
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