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878)八王子から百貨店がなくなった

 東京の西の郊外に八王子市と云う都市がある。

 人口55万人を擁する東京多摩地区の都市である。
 町田市が人口42万人であるから、八王子市は多摩地区最大の都市ということになる。
 ちなみに多摩地区の中心都市になりつつある立川市は、人口17万人である。

 八王子市は、人口から云えば、地方の県庁所在地の都市を越える街でもある。

 その八王子市から、百貨店が無くなってしまった。

 八王子には、大丸、伊勢丹等5つの百貨店があったが、その最後の百貨店である「そごう八王子」が、2012年1月末に閉店した。

 「そごう八王子」が閉店したため、八王子に百貨店が無くなってしまった。

 人口55万人の都市に百貨店が無いと云うのもおかしなものであり、又、5つあった百貨店が全て撤退するということも妙なものである。

 八王子は、百貨店が商売出来ない都市と云うことになる。

 八王子は学園都市の構想をもって、大学の多くを誘致して来た。
 現在多くの大学がある。

 その一方で、商業のシンボル・核である百貨店が、ことごとく撤退することになってしまい、街そのものがおかしな街と云う印象を私は受ける。

 そごう八王子は、1983年(昭和58年)に開店したという。
 約29年営業した。

 最盛期の売上高は、1991年度の492億円という。

 最近の売上高は、日本経済新聞出版社の「日経MJトレンド情報源」によれば、下記の通りである。

                 売上高        店舗面積

   2006年    269億円 35,538u 2007年 266億円 35,538u 2008年 259億円 31,800u 2009年    233億円 31,800u 2010年 223億円 31,800u

 最高売上高からの売上高減は、

           223億円
                 ───── = 0.453                               
                   492億円

である。

 最高売上高から△55%の売上高減である。
 △30%が倒産予備軍の赤信号である。
 △30%を遙か超える△55%である。
 撤退は企業としての選択としては、遅すぎると云えるのではなかろうか。

 そごう八王子の2010年度の店舗面積当りの売上高は、

        22,300,000,000円
             ─────────  = 701,258円/u・年               
                   31,800u

である。

 月額では、

      701,258円÷12=58,438円/u・月 

である。

 坪換算では、

       58,438円×3.30578≒193,000円/月

である。

 月売上高は坪当り19.3万円である。

 前記日本経済新聞出版社の「日経MJトレンド情報源」によれば、2010年度百貨店売上高トップの三越伊勢丹・伊勢丹新宿本店の売上高は、219,472,000,000円である。店舗面積は64,296uであり、これらの数値より計算すると、月額坪当り売上高は94万円である。

 売上高2位は、三越伊勢丹・三越日本橋本店で、205,565,000,000円である。 店舗面積は123,365uであり、月額坪当り売上高は45.9万円と求められる。

 比較対比すると、

   
    三越伊勢丹・伊勢丹新宿本店       坪当り売上高は94万円
       三越伊勢丹・三越日本橋本店       坪当り売上高は45.9万円
       そごう八王子                     坪当り売上高は19.3万円

である。

 大商業地の新宿では、老舗三越の新宿店として親しまれてきた「新宿三越アルコット」も、昨日の2012年3月31日(土)で閉店した。営業83年の幕を閉じた。


  鑑定コラム889)
「イオン一社の売上高は、全百貨店の売上高をしのぐ。5年後に」

鑑定コラム1992)「伊勢丹府中店が閉店した」


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