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1992)伊勢丹府中店が閉店した

 私の住んでいる東京府中市にある伊勢丹府中店が、2019年9月30日で閉店した。

 1996年4月に、府中駅の南側の再開発事業の核店舗として開業した。

 9階建の店舗面積34,102uの建物であった。

 人口21万余人程度の市に、伊勢丹は進出して大丈夫であろうかと心配した。

 初年度の売上高は、新聞報道によれば、261億円であったという。

 その後の売上高は低迷する。

 手許にある日本経済新聞社発行の『日経MJトレンド情報源』によれば、伊勢丹府中店の売上高は、

   
      2007年度   25,124百万円
      2008年度   23,586
            2009年度   20,944
            2010年度   20,301

であり、2018年度には、139億円にまで減少してしまった。

 初年度の売上高が最高の261億円で、直近の売上高が139億円である。

 最高売上高の0.53(139億円÷261億円=0.53)まで売上高が減少すれば、閉店も止むを得ないであろう。
 
 府中市の人口は、平成30年10月1日現在では263,835人である。

 2018年度の伊勢丹府中店の市民一人当りの年間消費金額は、

          13,900,000,000円÷263,835人≒53,000円

5.3万円である。

 伊勢丹府中店の月間u当り売上高は、最高売上高時は、

          26,100,000,000円÷34,102u÷12=63,779円

63,779円である。

 坪当り換算では、

          63,779円×3.30578≒210,000円

である。

 閉店時は、

          13,900,000,000円÷34,102u÷12=33,967円

33,967円である。

 坪当り換算では、

          33,967円×3.30578≒112,000円

である。

 従業員288人は配置転換により、雇用は継続すると新聞は報道する。

 東京の23区外の都下市で、百貨店が残っているのは、4市5店である。

 立川市   伊勢丹、高島屋
 武蔵野市  東急百貨店
 多摩市   京王百貨店
 町田    小田急百貨店

 無くなった百貨店は、

      武蔵野市   近鉄百貨店、伊勢丹
      町田     大丸
      八王子    西武百貨店、大丸、伊勢丹、そごう
      府中     伊勢丹
      多摩市    三越、そごう

である。

 百貨店の生き残り競争は激しい。

 日本百貨店協会の発表による東京地区の令和元年9月の売上高等は下記である。

      売上高    143,428,939千円
      店舗数    13社 25店
      総店舗面積  834,828u
      総従業員   17,016人
 
 9月の店舗面積u当り売上高は、

           143,428,939,000円÷834,828u= 171,807円
 
である。坪当り売上高は、

          171,807円×3.30578≒568,000円

56.8万円である。

 1店舗当りの店舗面積は、

          834,828u÷25=33,393u

である。

 伊勢丹府中店の売上高が、いかに少なかったかが良く分かる。伊勢丹は閉店を良く2019年9月まで我慢した。

 多くない金額の毎年のお中元、お歳暮と、何回かの麻の開襟シャツの仕立て程度しか利用しなかったが、伊勢丹府中店が無くなるのは、やはり寂しい。


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