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東京新宿に本店を持つ百貨店の伊勢丹が、北九州の小倉に進出する。(2003.2.28 伊勢丹HPプレスリリース)
小倉そごうのあとに伊勢丹が小倉伊勢丹として開業するという。
その内容はプレスリリースによれば、次の通りである。
売場面積 30,000u
開業時期 2004年春
開業後1年間売上目標 260億円
設備投資額 50億円程度
小倉伊勢丹の営業方針は、立川店をモデルにしてファッショナブルな商業施設にするという。
売場面積当りの設備投資額は、
5,000,000,000円÷30,000≒167,000円
平方メートル当り167,000円である。坪当りで55万円の設備投資額である。この単価は有益なデータになる。
設備投資額に対する売上高倍率は、
260億円÷50億円=5.2倍
である。
売上高に占める設備投資額の割合は、
1/5.2=0.192
である。
即ち、百貨店進出の投下資本は売上額の20%以下であるということを意味する。
設備投資額を有形固定資産額と考えて、大手百貨店の売上高と有形固定資産額の割合を見ると次のごとくである。
売上高 有形固定資産額 有形固定資産割合
百万円 百万円
三越 686,517 129,432 0.188
(2002年2月)
高島屋 984,853 200,753 0.203
(2002年2月)
伊勢丹 440,599 117,153 0.265
(2002年3月)
松坂屋 341,620 99,630 0.291
(2002年2月)
平均 0.236
(標準備差 0.0425)
百貨店の売上高に対する有形固定資産額の割合(有形固定資産額÷売上高)は、平均0.236(標準備差0.0425)である。なんだかこの数値は、工場の土地建物価格の製品売上高に対する割合によく似ている。
有形固定資産額は時価評価されているかどうかわからない、むしろ時価評価ではないという批判は当然あると思われるが、投下資本の回収が見込まれない資産を長期間保有しているほど企業経営者はおろかではない。そうした場合、土地、建物を資産として購入せず、賃貸という方法に切り替えて経営活動を行う確率の方が高い。
伊勢丹の小倉への進出に伴う設備投資額は、売上高の20%以下に押さえている姿は、百貨店の経営者のプロが長年培って得た経営ノウハウがいみじくも出てきたものではなかろうか。
この割合は、4つの日本を代表する百貨店の売上高に占める有形固定資産額の平均割合によっても、ほぼ実証されると考えるのは我田引水か。
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