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札幌の一等商業地にある地価公示地札幌5-1(札幌市中央区南1条西4丁目1番1) は、
「昭和58年の地価は、u当り240万円である。
これが平成バブルの平成3年には、u当り1690万円にまで上昇する。
その後地価下落が生じ、平成15年〜18年には、u当り225万円にまで下がる。
平成20年には不動産ファンドバブルによって、u当り350万円まで上がるが、そのバブルも再びはじけて、平成24年にはu当り237万円になってしまった。」
と、鑑定コラム991)「札幌商業地の地価は昭和58年の水準に」で記した。
札幌の一等商業地の凄まじい土地価格上下変動を、これで知ることが出来た。
では、札幌の一等商業地の土地上に建つ貸ビルの事務所賃料は、凄まじい地価上昇・下落に対してどういう反応を示したであろうか。
地価の変動と、事務所賃料とは連動しているであろうか。
札幌の一等商業地に建つ貸ビルの事務所賃料の推移について述べる。
日本経済新聞が、毎年11月(以前は9〜10月であったが、最近は11月になった)に、『全国主要都市のオフィスビル募集賃料』の調査を行い、同新聞に発表している。
その募集賃料の性質内容は、同新聞は次のごとく条件規程する。
@ 5階建以上、冷暖房完備、エレベータ付きの大型ビルの3階以上のフロア
A ビルオーナーは大手企業
B 賃貸料(1ヶ月)は3.3uの中心相場、単位坪千円
C 賃貸料はオーナーが仲介会社などに示す募集価格
新築ビルと既存ビルの新規募集賃料で、地域ゾーン毎に低い賃料(低値)〜高い賃料(高値)で表示される。
例えば、平成24年11月4日の日本経済新聞では、「丸の内〜大手町」の地域ゾーンで、
新築 40〜50
既存 22〜60
と表示されている。
これは、丸の内・大手町という地域ゾーンで、新築ビルの新規募集賃料は、坪当り4.0万円〜5.0万円であり、既存ビルの新規募集賃料は坪当り2.2万円〜6.0万円であると云うことである。
日経の同調査では、札幌は2個所の地域ゾーンが選定されている。
・札幌駅南口周辺
・大通西11丁目周辺
「大通西11丁目周辺」とは、地下鉄「西11丁目」の駅があり、札幌高裁、第2合同庁舎のある地域である。
「大通西11丁目周辺」の地域ゾーンを採用し、新築ビルで無く、既存ビルの賃料を採用する。
低値賃料、高値賃料を採用し、その2つの賃料を足して2で割った賃料を「平均賃料」と呼ぶとする。平均の計算は田原による。
以下に記す。
年月
|
低値千円
|
高値千円
|
平均千円
|
平成02年09月
|
7.5
|
9
|
8.25
|
平成03年09月
|
8.5
|
11
|
9.75
|
平成04年10月
|
10
|
12
|
11
|
平成05年10月
|
9
|
11
|
10
|
平成06年09月
|
8
|
10
|
9
|
平成07年10月
|
7
|
9
|
8
|
平成08年11月
|
7
|
9
|
8
|
平成09年10月
|
7
|
8.5
|
7.75
|
平成10年11月
|
9
|
9
|
9
|
平成11年11月
|
11
|
13
|
12
|
平成12年11月
|
8
|
10
|
9
|
平成13年11月
|
7
|
11
|
9
|
平成14年11月
|
6
|
11
|
8.5
|
平成15年11月
|
5
|
15
|
10
|
平成16年11月
|
5
|
13
|
9
|
平成17年11月
|
5
|
13
|
9
|
平成18年11月
|
5
|
13
|
9
|
平成19年11月
|
4
|
13
|
8.5
|
平成20年11月
|
4
|
13
|
8.5
|
平成21年11月
|
4
|
13
|
8.5
|
平成22年11月
|
3
|
13
|
8
|
平成23年11月
|
4
|
13
|
8.5
|
平成24年11月
|
3
|
11
|
7
|
平均賃料で賃料推移を見ると、平成2年坪当り8,250円の賃料が、平成バブルのピークの平成3年には、坪当り11,250円に上昇する。
平成バブル崩壊に伴い賃料は、平成9年に坪当り7,750円まで下落する。
平成バブル以前の賃料まで下がってしまう。
そこから平成11年まで上がり、平成11年には最高の坪当り12,000円の賃料となる。
その後小幅な上下を繰り返しながらも、下がり基調に転じ、平成24年には坪当り7,000円の水準まで下がってしまった。
本コラム記事の最初に、札幌の一等商業地の地価公示価格の動きを記した。
これの動きと平均賃料の動きを比較する。
南1条西11丁目と大通西11丁目とは場所が異なるが、札幌の商業地の一等地であることは同じである。
一等商業地の土地価格と一等商業地事務所の平均賃料とは、異なる動きをしている。
地価の一番高い時 平成3年
ビル賃料の一番高い時 平成11年
であり、それぞれのピークが異なる。
地価と賃料の推移の相関関係が高いとするならば、ピークの時期は近接し、上昇、下落も同じ様な傾向にあることになるが、両者にはあまりその傾向が認められない。
札幌の一等商業地の地価推移と、ビルの賃料推移の相関関係は弱いようだ。
但し、地価の高い処のビル賃料は高いという関係は存在する。
地価と賃料の変動の巾を見る。
地価の最高はu当り1690万円、最低は225万円である。最高価格から見た最低価格の割合は、
225/1690=0.13
である。
事務所の平均賃料では、最高は坪当り12,000円、最低は7,000円である。
最高賃料から見た最低賃料の割合は、
7,000/12,000 =0.58
である。
変動率の巾をまとめると、
土地価格 0.13・・・・・・・・・▲87%
事務所賃料 0.58・・・・・・・・・▲42%
である。
土地価格は7.7倍(1÷0.13=7.7)になるという価格変動巾があるが、事務所賃料は1.7倍(1÷0.58=1.7)の範囲にしか変動しないと云うことである。
平成24年の大通西11丁目の事務所賃料の低値は、坪当り3,000円である。
大通西11丁目は、札幌市中央区に属する。
札幌市中央区の40u住宅賃料は、平成24年4月時は、鑑定コラム901)の「北海道・青森の賃料」の分析では、u当り1,260円である。
坪当りに換算すると、
1,260円×3.30578=4,175円
である。
中央区大通西11丁目の事務所低値賃料 坪当り3,000円
中央区40uの住宅賃料 坪当り4,175円
低値賃料ゾーンとは云え事務所賃料が、住宅賃料よりも安いという賃料現象は、信じがたい現象である。
下記に、日本経済新聞調査の札幌大通西11丁目付近事務所賃料の推移グラフを載せる。
次いで、札幌中央5-1の地価公示価格の推移グラフを載せる。鑑定コラム991)に掲載したグラフと同じである。
実際の大通西11丁目所在の事務所募集賃料はどの位か。
地下鉄「西11丁目」駅より徒歩1〜5分の事務所賃料(1階は除く)を、札幌の不動産会社の平成24年12月現在の賃貸募集データより、分析して記す。
後日のいつか、札幌の賃料評価する時に役に立つであろう。
面積20〜30坪 坪当り7,427円
面積30〜50坪 坪当り6,210円
面積50〜100坪 坪当り5,828円
面積100坪以上(注) 坪当り8,843円
(注)駅徒歩1〜5分の条件をはずす。
採用データ一覧は、下記に記す。単位坪円。
(20〜30坪)
・ 24坪 9,030円
・ 25坪 5,780円
・ 24坪 8,930円
・ 25坪 6,010円
・ 25坪 8,400円
・ 26坪 6,010円
・ 27坪 7,350円
・ 28坪 6,300円
・ 27坪 9,030円
計 7,427円
(30〜50坪)
・ 45坪 6,010円
・ 43坪 6,300円
・ 43坪 6,040円
・ 41坪 6,010円
・ 40坪 5,780円
・ 40坪 5,250円
・ 38坪 6,010円
・ 38坪 6,040円
・ 38坪 8,400円
・ 33坪 7,720円
・ 33坪 5,780円
・ 32坪 5,910円
・ 31坪 5,780円
・ 30坪 5,910円
平均 6,210円
(50〜100坪)
・ 74坪 6,330円
・ 62坪 5,250円
・ 59坪 6,300円
・ 53坪 5,250円
・ 51坪 6,010円
平均 5,828円
(100坪以上)
・ 100坪 6,010円
・ 107坪 5,780円
・ 133坪 9,980円
・ 149坪 13,600円
平均 8,843円
鑑定コラム991)「札幌商業地の地価は昭和58年の水準に」
鑑定コラム901)「北海道・青森の賃料」
鑑定コラム996)「札幌の住宅賃料は6%アップ?(24年10月)」
鑑定コラム997)「仙台(若林区・太白区)の住宅家賃の上昇が激しい」
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