驚くべき低利の住宅ローンが出現した。
三井住友銀行が、2013年6月3日〜7月31日までの期間限定であるが、その間の住宅ローン貸出金利を0.6%とした。
それまでの金利は1.5%であった。
それがいきなり0.6%にしたのである。
住宅ローンは、銀行にとって儲けのドル箱ではないのか。
そのもうけ口を簡単に手放すとは。
私から見ると信じがたい行動である。
日本の新聞は、記者自身は分かっているのであろうが、結果のみを伝えるのみで、具体的背景等理由を説明しない。
三井住友銀行も云わない。
何故0.6%もの安い住宅ローンの金利にしたのか、また出来るのかという疑問が私には残った。
そう思っていたら、ロイター通信が、2013年6月7日付東京発として、布施太郎記者の署名入りの記事で、その理由を具体的に書いてくれた。
大意次のごとくである。
日銀は、昨年「貸出増加支援制度」を導入した。
その制度は、四半期毎に国内貸出を増やした銀行に、日銀が低利で資金を提供するというものである。
三井住友銀行は、2013年1月〜3月の四半期の貸出額が、2012年10月〜12月の間の貸出額を上廻った。
この実績を日銀は重視し、0.1%の低利の資金を三井住友銀行に提供した。
三井住友銀行は、日銀からのこの低利資金のうち1000億円を住宅ローンの貸付にまわし、その金利を0.6%としたというのが住宅ローン0.6%の出現の裏事情のようである。
これに慌てた三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行も急遽住宅ローン金利を同程度にすると発表せざるを得なくなってしまった。
しかし、両銀行は、日銀の0.1%の低利の資金では無く、通常の調達資金で行うとロイターの布施記者は大意報じる。
日本銀行のアメとムチである。
だが、リスクの大きい住宅ローンを、0.6%の低利で貸し付けて大丈夫であろうか。住宅ローンを借りる人は、銀行にとって一見の客である。
平成バフルの崩壊したあと、私は、銀行の不動産担保不良債権の評価を多く行った。
その中には住宅ローンの焦げ付き物件も多くあった。
そのことが、今でも私の頭から離れない。
鑑定コラム1746)「平成元年の住宅ローン元利均等償還テーブル」
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