2014年12月29日の午後、東京証券取引所の株式に、異変が生じた。
厚生労働省が、シエラレオネから帰国した日本人が、高熱を出し、エボラ出血熱に感染している疑いがあると判断され、東京の病院に入院したと発表した。厚労省のプレスリリースの内容は、後記に記す。
正午にかけてこのニュースが、東証に伝わると、後場の株価は大幅に下げ、一時300円近く(17,525円66銭 13時22分 ▲293.3円の下落)の下落を示した。
終値は、前週末の12月26日(金)の1万7818円96銭に較べて、▲89円12銭安の1万7729円84銭で終わった。0.50%安である。
株価下落の全ての原因が、エボラ出血熱の情報によるものでは無いと思われるが、エボラ出血熱に感染しているという情報で無く、疑いがあるから病院に入院したという段階の情報で、日本の株価は、終値で▲89円下落したのである。
この事実より、日本の株式市場は、エボラ出血熱におびえていると判断される。
何を恐れるのかと私は云いたいが。
エボラ出血熱におびえるのは、日本の株式市場だけでは無い。
鑑定コラム1259)「株式市場はエボラ出血熱におびえる」の記事において、アメリカニューヨーク株式市場も、エボラ出血熱に怖がっていると書いた。
企業の赤字決算で無く、エボラ出血熱を株式市場が怖がっているのである。
株式市場の弱点の一つを知ることが出来た。
翌日の2014年12月30日に、エボラ出血熱の感染を疑われて病院に入院していた人は、国立感染症研究所村山庁舎の血液検査によって「陰性」と分かった。つまりエボラ出血熱に感染していないと判明した。
村山庁舎に血液を送って検査しなければ、エボラ出血熱かどうか分からないというのも不便なものである。
厚労省がプレスリリースした内容は、厚労省のホームページに公開されている。転載すると、下記である。
「平成26年12月29日 【照会先】 健康局結核感染症課 感染症情報管理室長 **** 課長補佐 **** (代表) 03−***3−***1
報道関係者各位
エボラ出血熱への感染があり得る患者の発生について
本日、東京都内において、西アフリカ滞在歴があり、帰国後に発熱の症状を呈した患者が確認されました。 この方については12月23日の帰国後、検疫所及び保健所において毎日2度の検温などの健康監視を行って きました。 エボラ出血熱への感染の有無を確認するため、患者は既に東京都内の医療機関に入院済みであり、患者の 検体を国立感染症研究所(村山庁舎)に向けて搬送予定です。
概要 (1) 年代: 30代 (2) 性別: 男性 (3) 国籍: 日本 (4) 滞在国: シエラレオネに滞在(12月21日まで8日間)、12月23日に帰国。 (5) 症状: 12月29日未明に38.2度の発熱、明け方に37.2度。 (6) 接触歴: 本人からの報告によればエボラ出血熱患者との直接的な接触はないが、埋葬に立ち会い、 遺体が入った袋に触れたとのこと。 (7) 居住都道府県: 東京都 (8) 他の感染症の罹患の有無:現在調査中 (9) 入院先医療機関の所在都道府県: 東京都 (10)その他:帰国後、外出自粛要請を行っており、12月23日の帰国以降、ご自宅から外出されていないと のこと。
国民の皆様へのメッセージ ○ 疑似症患者は、まだ感染は確認されておらず、検査の結果、陰性となることも十分にあり得ます。 ○ エボラ出血熱は、発症段階で初めて感染力を持つとされています。そのため、本患者が搭乗していた 飛行機に同乗していた乗客の感染リスクは極めて低いと考えられます。」
死者 6,346人 感染者 17,834人
死者 7,373人 感染者 19,031人