白老町に行って来た。
観光では無い。不動産鑑定評価の仕事である。
不動産鑑定の仕事の依頼は、昨年(2014年)の末に頂いていた。
北海道であるから、雪が無くなり暖かくなってから行きたいが、それでも良いかと依頼者に打診したところ、それでも良いということであった。
そういうことであったことから、雪はもう無いであろうと思い、白老に行って来た。
10日間で不動産鑑定をやってくれという依頼もあるが、のんびりと3〜4ヶ月の時間を与えてくれる依頼者もいる。
有り難い事である。
白老町は、北海道の南、太平洋に面しており、北海道の中にあって気候の暖かいところである。
アイヌコタン部落があり、大昭和製紙(旧名 現在名は日本製紙)の白老工場がある町である。
そして競走馬ファンには欠かせない「社台ファーム」の牧場のある町である。
私の白老町についての知識は、それぐらいしかない。
訪れた白老は、暖かく、雪は全く無かった。
評価依頼土地は複数あり、飛び離れていたため、トヨタレンタカーを借りて走り回った。
地目原野であったため、物件の確認に手を焼いた。
道路に接していない土地もあり、雑木林等が繁茂していて入り込むことは出来ず、そうした土地は、遠くより望むしか方法は無かった。不動産鑑定書にはその旨を記すことによって、依頼者の許しを得よう。
埋蔵文化財の有無の調査もしなくてはならなく、町の教育委員会を訪れた。
執務室に案内された。
係員が来るまでに執務室を見回していると、壁に選抜高校野球出場記念の額縁が掲げられている。
さて、白老にある高等学校が、北海道代表として春の選抜高校野球に出たことがあったのだろうか。
訝り、額縁に近づき記されている内容を見ると、第82回選抜高校野球の沖縄興南高校の出場の額縁である。
どうして白老町の教育委員会の執務室に、沖縄興南高校の甲子園出場の記念額縁が掲げられているのか。
白老町に興南高校の系列の高校があるのであろうか。
私には益々分からなくなってきた。
文化財担当の係員が来られたので、包蔵地の指定の有無の話が終わった後に、甲子園出場記念の額縁について、尋ねてみた。
当該記念額縁を掲げている理由は、それなりの理由があった。
白老町に製紙工場の大昭和製紙白老工場がある。
その野球部は、社会人野球では、強豪チームであった。
その野球部に沖縄出身の方がいた。
その人は選手で活躍され、そして大昭和製紙の野球部の監督にもなられた。
大昭和製紙の野球部監督を辞められた後、沖縄に帰られ、沖縄興南高校の野球部の監督になられた。
そして2010年の第82回選抜高校野球で、チームを優勝に導かれた。
白老町に長く住まわれ、縁が深い人であり、その人が高校野球の監督として全国制覇されたことを記念した額縁であるとのことであった。
白老町まで来たのであるから、せめてアイヌのポロトコタンを訪れて見たいと思った。
仕事も何とか目途が付いたこともあり、閉館に近い時間ではあったが、入場料を支払いポロトコタンに入った。
コタンに入った途端、目の前に、大きな大きなアイヌの酋長の像が建っていた。
昨年獲れた鮭の多くの燻製が天井にぶら下がる「チセ」で、アイヌの血を引く人が、アイヌの文化風俗を説明し、踊りを見せてくれた。
日本語の説明が終わると、韓国語による説明が続いた。
何故韓国語の説明が入るのかと訝った。
周りを良く見ると、韓国語が飛び交っている。私の隣に座っている人も韓国人であった。
韓国人の旅行ツアーの人々がほとんどで、その随行通訳が日本語を韓国語に翻訳していたのである。
日本人は、私を入れて数人であった。
その日の夜は、白老町の近くにある温泉地の登別に泊まった。
ビジネスホテルでは味気ないと思い、著名な温泉地の近くまで来たのであるから奮発して、登別温泉のホテルに泊まることにした。
大浴場は湯気で、10メートル先の人が見えない位であった。
湯量は豊富と聞いていたが、その通りのようであった。
夕食は、畳の大座敷に椅子テーブルが置かれ、バイキング形式であった。
温泉の風呂にゆっくりと浸かり、疲れを取ったのち、夕食の大座敷に向かった。
宿泊部屋備え付けのスリッパを履いて行った。
大座敷に上がるため、下駄箱にスリッパを入れようとして、下駄箱の前にある「すのこ」に足を置こうとしたところ、そのすのこには、靴がところ狭しと置かれていて、すのこに立つことが出来ない。
下駄箱を見ると、下駄箱には靴やスリッパが入っているが、それらは少なく、ガラ空きである。
「おい、おい、冗談ではないょ。
どうして下駄箱に靴を入れずに、すのこの上に靴を置くのだ。
すのこに立つことが出来なく、スリッパを脱ぐことが出来ないのではないのか。
すのこは靴を置くところでは無い。
脱いだ靴を下駄箱に入れるために、素足で立つところだ。
すのこは、下駄箱にある靴を取り出し、履くために、腰を下ろしたりするところだ。
靴は下駄箱に入れるものだょ。
すのこに靴を置いたら、靴底の泥がすのこに残り、すのこに乗せた素足が汚れるではないのか。
小学校、中学校で、すのこに靴を置いていたのか。
そんな教育を受けて居たのか。
そんなしつけをした学校はどこの学校だ。」
といささか怒りが湧くと共に、行儀の悪い人が随分と多く、今夜のこのホテルには泊まっているものだとあきれた。
大座敷はほぼ満席であった。
何とかテーブルを見つけた。
周りの人々の話声を聞いて再び驚いた。
中国語ばかりである。
台湾か中国本土からの観光客達のようである。
子供連れの家族もいる。
中国語の発音イントネーションが高いのか、何とも耳障りで騒々しく聞こえる。
もっと静かに話してくれないのかと愚痴の一つもいいたくなる。
かっての昔、日本人の団体が海外旅行に行って、その騒々しさで顰蹙を買っているということを新聞で読んだことがあったが、その姿もこうであったのであろうかと想像してしまった。
日本の温泉と雪を求めて、中国人観光客が、冬の北海道に大挙押しかけて来ていると聞くが、それを宿泊した登別温泉のホテルで自身知ることとなった。
不動産の鑑定に白老町に来たのである。
白老の住宅地の価格はどれくらいか記す。
国交省が発表している地価公示価格の「白老1」の価格は、以下の通りである。
白老1 白老町高砂2-5-42
白老駅より1400メートル、幅員7メートルの道路に面する。
一種住宅地域、建蔽率60%、容積率200%の一般住宅地。地積371u。
平成23年1月1日 u当り 10,200円 平成24年1月1日 u当り 9,700円 平成25年1月1日 u当り 9,200円 平成26年1月1日 u当り 8,700円 平成27年1月1日 u当り 8,400円土地価格は大きく下落している。
平成25年1月1日 u当り 2,500円 平成26年1月1日 u当り 2,400円 平成27年1月1日 u当り 2,350円市街化調整区域にある地価は安い。その地価は、変動率は低いが下がっている。