平成15年(2003年)の不動産鑑定士の3次試験が15年12月7日に行われた。
3次試験とは2次試験合格後、所要の研修を受け、実務補習を終えた不動産鑑定士補が、不動産鑑定士になるための鑑定実務の能力を見るための国家試験である。
私が3次試験を受けたのは30数余年前であり、それ以後、3次試験の出題がどういうものか、全く興味もなく、内容も知らなかった。
今年(平成15年)の同試験の出題の一部を、受験した複数の不動産鑑定士補から聞いて、私はびっくりしてしまった。
試験は午前と午後に分かれているようであるが、その午前の試験問題に、借地貸ビルの正常賃料を求める場合の留意事項について述べよという内容の問題が出されたという。
この問題は、私が私のホームページの『鑑定コラム』の133)
「借地貸ビルと所有地貸ビルで賃料に差があるのか」
(2003年11月28日記事発表)で述べている内容そのものである。
まさか私の『鑑定コラム』で取り上げた内容とほぼ同じ論点のものが、不動産鑑定士の3次試験問題に出題されるとは。
知り合いの不動産鑑定士補に対して、私の『鑑定コラム』など、3次試験のためには1つも有益にはならない、役に立たない内容のものばかりであり、3次試験には関係ない価格分析の実務の話と常日頃云っていたが、まさか同じ論点の問題が出題されるとは。
3次試験用というつもりで『鑑定コラム』や、その元になっているメルマガを書いているのではない。そのことなど初めから眼中になかった。
しかし、『鑑定コラム』の論点とほぼ同じ論点が3次試験に出題されるとなると、自分勝手な発言をすることを慎まなければならないのであろうか。
だが、たまたま、出題論点が同じになったのみであり、今後も再び『鑑定コラム』の論点と同じものが出題される可能性はゼロであろうと考えられるから、当初の通り3次試験など眼中にない考えで、不動産鑑定の実証性の切り口で『鑑定コラム』、メルマガを発信したい。
大手不動産会社に勤務していたある不動産鑑定士は、「借地貸ビルと所有地貸ビルで賃料に差があるのか」のメルマガを読んだ時、即、直感的に「これが3次試験に出題されたら」と杞憂したという。
その杞憂が現実に起こってしまった。
鑑定コラム639)「借地権付建物の基礎価格」
鑑定コラム2427)「『継続地代の実態調べ 令和3年版』日税不動産鑑定士会編・発行」