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1379)賃料倍率(最高÷最低)と変動係数

 同じ町名内に所在する事務所賃料の最高賃料を、最低賃料で割る。

 この算式で求められた割合を、「賃料倍率」と呼ぶとする。

                最高倍率
              ────── = 賃料倍率                             
                最低倍率

 こうして求められた賃料倍率と、その町名内に所在する事務所賃料の変動係数との関係を分析する。

 千代田区各町名内の事務所賃料は、鑑定コラム1378)で記した。

 例えば、飯田橋町名内の事務所賃料は、

              最高賃料    坪 19,000円
              最低賃料    坪 13,000円

である。

 賃料倍率は、

               19,000円
              ─────  = 1.461                                 
               13,000円

1.461と求められる。

 変動係数は、0.143と求められている。

 同様にして、各町名内の事務所の賃料倍率を求め、求められた賃料倍率と変動係数を一覧にしたのが、下記である。


番号 地域 変動係数 賃料倍率(最高/最低)
1 飯田橋 0.143 1.461
2 岩本町 0.155 1.600
3 内神田 0.282 2.220
4 神田小川町 0.173 1.739
5 神田佐久間町 0.194 1.636
6 神田神保町 0.150 1.461
7 神田駿河台 0.253 1.740
8 神田錦町 0.247 2.400
9 紀尾井町 0.080 1.166
10 九段北 0.160 1.416
11 九段南 0.130 1.406
12 麹町 0.146 1.510
13 外神田 0.175 2.000
14 番町 0.185 1.772
15 平河町 0.190 1.625


             X : 賃料倍率
                    Y  : 変動係数

として、両者の値をグラフに落としたのが、下記のグラフである。


変動係数

 XYの間には、線形代数の関係があると認められる。

 最小二乗法で分析すると、

           Y = −0.047+0.1342X
                            (5.61)

相関係数 r=0.841 t値は有意

の関数が求められる。

 上記求められた算式を、次のごとく利用する。

 例えば、ある町名内の賃料が、

          最高賃料  坪 40,000円
          最低賃料    坪  20,000円

であったとする。

 賃料倍率は、

                40,000円
             ──────  = 2.0                                  
                20,000円

である。

 この町名内の事務所賃料の変動係数は、

              −0.047+0.1342×2 ≒ 0.221

と求められる。

 変動係数は、

                標準偏差
             ───────  = 変動係数                           
                平均賃料

である。

 ここで、その町名内の事務所賃料の平均が、坪当り23,000円とわかったとする。

 その町名内の事務所賃料の標準偏差は、

              23,000円×0.221 = 5,083

と求められる。

 あるビルが、その町名内で一等地にあるビルであったとする。

 その一等地にあるビルの賃料は・・・・・・?


  鑑定コラム1370)「千代田区貸事務所賃料の変動係数は0.214」

  鑑定コラム1378)「千代田区各町事務所賃料変動係数」

  鑑定コラム1380)「丸ビルの賃料の推測」

  鑑定コラム1392)「丸ビルの賃料、還元利回りの分析を終えて」


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