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1399)  イチローは大リーグの投手になった

 大リーグナショナル・リーグのマーリンズ球団の選手として、今年(2015年)から同球団にいるイチローは、2015年10月4日に、フィラデルフィアでのフィリーズ戦で、ピッチャーマウンドに立ち、投手として1インニングボールを投げた。

 マーリンズのレギュラーシーズンの最終戦に、イチローは大リーグの投手になった。

 それまで右翼手として守備についていたイチローは、8回の裏、投手の4番手として、4点ビハインドの2-6の得点でマウンドに立ち、5人の打者に対して18球投げた。

 日本経済新聞(2015年10月5日)のスポーツ欄は、上半分の大半を、イチローの大リーグ投手の記事で埋めている。

 そして「大リーグの公式サイトによる」と出典を明示して、イチローが投げた18球の種類と打たれた結果を載せている。

 日経がここまで詳しく記事にすることは、珍しいことだ。

 その日経の記事作成労苦に敬意を表して、5人の打者に対する投球結果を引用、使わしてもらう。下記である。

           ヘレラ     二塁打
           ラップ     センターフライ・・・アウト1つ目
           スウイニー      二塁打
           ガルビス        二塁ゴロ・・・・・・アウト2つ目
           アンテール      レフトフライ・・・・アウト3つ目

 2安打1失点である。

 球速の最速は、時速143kmであった。

 1インニング投げて、1失点であるから、防御率は9.00ということか。

 大リーグの投手イチローの記録として、公式記録に残ることになる。

 これを題材にして、小説を書き上げることが出来るではないか。

 そしてベースボール映画も作れるではないか。

 投手イチローは、最初は時速143kmの直球(ストレート)を投げていたようだ。

 この直球は、二塁打2本打たれた。

 このことから、イチローは、自分の直球は大リーグでは通用しないと判断したようだ。

 その後、すぐ変化球の投球に切り替え、スライダーを投げる。

 スライダーというボールは、変化球の一つで、右投げの投手が投げる場合、ホームベースの上で、右打者よりほぼ水平に変化して遠くに逃げるボールである。マウンドに立つ右投げ投手から見ると、ボールがホームベースの上で、左に曲がるボールである。

 このボールの変化は、投手のボールの握り方によって操作される。

 このスライダーで2つのアウトを取った。

 イチローもインタビューで、そのことを話している。

 通用しないと分かれば、通用する最適方法を見つけ、それにすぐ切り替えて対応する。

 この対応力の見事さが、イチローの素晴らしいところか。

 捕手をしたテリスは、

 「イチローの球を受けることが出来てうれしい。
 スライダーが良かった。」

と述べたことを、フイラデルフィア発共同通信電として、日経新聞は伝える。

 テレビでは、イチローの大リーグ投手登板の映像を流す。

 ヒットを打たれた時の悔しそうなイチローの顔が印象に残る。

 2安打1失点の投手成績であったが、ナインは、投球を終えてベンチに帰って来たイチローに対して、笑顔でイチローをもみくちゃにし、イチローの頭を叩いて祝福していた。

 マーリンズのジェニングス監督も粋なことをやる。

 ジェニングス監督は、1ヶ月半ほど前からイチローと投手登板について話しあっていたとのこと。

 そのジェニングス監督曰く、

   「イチローくらい実績のある選手ならそれなりの希望をかなえる資格はある。」

と。

 ジェニングス監督は、日本人のイチローに敬意を持っている。

 ジェニングス監督ありがとう。

 野球は楽しい。


  鑑定コラム1368)
「イチローは過去の人か」

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