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2016年4月14日、16日に発生した熊本地震で、熊本県内のマンション1棟が大破したようである。
マンションの管理を委託されているマンション管理業者の全国団体である一般社団法人マンション管理業協会(東京港区 山根弘美理事長)は、九州の会員業者に熊本地震による管理マンションの被害状況について、アンケート調査を行った。
その結果を、平成28年4月28日に、同協会のホームページに発表している。
それによると、九州7県のマンション管理業者は、九州全体で7,610棟のマンションの管理受託を受けている。圧倒的に福岡県が多いが、熊本県では572棟のマンションを管理受託しているという。
そのうち回答のあった棟数は、九州全体で5,973棟、熊本では294棟と云う。
その回答の中で、熊本の1棟のマンションが大破したという報告であった。
大破確率は、
1/294=0.003=0.3%
である。
建物の被害状況は、大破、中破、小破、軽微、被害無の5区分に分かれて調査されている。
九州全体と熊本県の被害状況を記すと下記である。
九州 熊本
大破 1 1
中破 5 5
小破 151 113
軽微 53 37
被害無 5763 138
九州で大破、中破したマンションは、全て熊本県のマンションである。
大破、中破したマンションは、SRC造かRC造かそれともS造か分からない。
いつ建築された建物で、何階建てのマンションかも分からない。
被害状況の大破、中破等の状態はどういうものかについては、建設会社の鹿島建設株式会社が、ホームページに「耐震診断・耐震補強」の「小破・中破・大破とは」のページで、日本建築学会の資料を使って説明している。
それによると、各被害段階の状況は次のごとくである。
(軽微) 柱・耐力壁・二次壁の損傷が、軽微かもしくは、ほとんど損傷がないもの。
(小破) 柱・耐力壁の損傷は軽微であるが、RC二次壁・階段室のまわりに、せん断ひびわれが見られるもの。
(中破) 柱に典型的なせん断ひびわれ・曲げひび割れ、耐力壁にひび割れが見られ、RC二次壁・非構造体に大きな損傷が見られるもの。
(大破) 柱のせん断ひび割れ・曲げひび割れによって鉄筋が座屈し、耐力壁に大きなせん断ひび割れが生じて耐力に著しい低下が認められるもの。
(崩壊) 柱・耐力壁が大破壊し、建物全体または建物の一部が崩壊に至ったもの。
文言・文章ではどういう状況が大破、中破等か良く分からない。
具体的に建物の破損状況を写真で見せて、これが大破の被害状況であると示されないと分からない。
鹿島建設のホームページの前記「耐震診断・耐震補強」の同じ頁の下の方に、被害例として、中破、大破、崩壊の写真を載せている。
下記のアドレスである。
http://www.kajima.co.jp/tech/seismic/higai/030608.html
熊本のマンション1棟が大破したということは、柱の鉄筋が曲がってしまって、その破損した柱の鉄筋が剥き出しになった状態ということのようである。
熊本地震でマンションの崩壊は無かったが、宇土市役所庁舎は崩壊の状態となったのではなかろうか。
同アドレスの崩壊の状態の写真では、3つの写真が並んでいる。そのうちの右端の崩壊の写真は、阪神・淡路大震災の神戸市役所庁舎の写真ではなかろうかと思われる。同震災後に神戸を訪れた私が、神戸で見た神戸市役所の建物姿が、この写真と同じものであった。
私が、一般社団法人マンション管理業協会を知ったのは、マンション管理の仕事の喜怒哀楽を詠んだ次の川柳を知った時である。
「おい孫よ ジジと言うな リジと呼べ」
同協会が募集した川柳コンクールで秀逸として選ばれた作品である。
その一般社団法人マンション管理業協会は、今回よい仕事をした。
会員を動員して、管理受託マンションの熊本地震による被害状況を調査し、その結果を発表した。
熊本地震によるマンション被害は、大破マンション1棟で、その割合は0.3%であることが分かった。
この事実は、マンション管理には当然として、今後のマンション建設、建築行政、マンション販売或いは地震保険の掛け金・料率等に活かされることと思われる。
マンション管理業協会は、熊本地震のあと、手早く、良い協会事業を行った。協会の存在価値が、より上昇したと私は思う。
鑑定コラム1473)「宇土市庁舎が半壊 熊本地震」
鑑定コラム1477)「熊本地震の住家被害 5659棟」
鑑定コラム1268)「マンション川柳」
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