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1764) 平成30年住宅地価上昇率上位はニセコと沖縄(2)

 前記鑑定コラム1763)「平成30年住宅地価上昇率上位はニセコと沖縄(1)」では、北海道ニセコについて述べた。

 平成30年地価公示の住宅地価格上昇率上位10のうち、1〜3位は、前記したニセコの住宅地の価格であったが、4〜9位は沖縄の住宅地の価格上昇である。

 その地価上昇の原因については、国交省は、「外国観光客の増加による店舗・ホテル需要の高まり等を背景」にした住宅地価格の上昇と云う。

 鑑定コラム1763)でも引用したが、国交省の地価公示の価格発表に伴い、東急不動産の社長の大隈郁仁氏が、不動産ニュースサイト「R.E.port」の「平成30年地価公示、団体トップ等がコメント」で、沖縄での同社の事業について次のごとく述べている。

 「2018年4月には長野県の軽井沢にヒルトンと、夏には新たに沖縄県でハイアットと組んでホテルを開業する。」と。

 沖縄の住宅地の価格が上昇することに私は反対では無いが、一つ懸念していることがある。

 沖縄には米軍基地がある。その基地の土地は、日本政府が民間土地を借り上げて米軍基地に使用させている。

 民間から日本政府が借地しているのであるから、土地所有者に地代を支払わなければならない。

 借地していれば、地代を支払うことは当然の行為である。

 その地代は、当該米軍基地の周辺地価公示価格に、ある利率を乗じて決められることになっており、沖縄の住宅地の地価が上昇すれば、基地として借りている地代の支払いも増額されるということになる。

 地価が上がれば地代も上がるのは当然では無いのか、それがどこが悪いのかという反論が当然出てくる。

 地価が上がれば、地代が上がることについては、私は何も危惧していない。

 地代の鑑定評価においては、地価上昇は地代上昇の要因の一つであるから、それに疑問を感じているのではない。

 沖縄軍用地の地代は、住宅所有を目的とした借地借家法適用の地代水準とは全く異なり、甚だ高い水準にある。

 それは米軍基地使用という特殊な要因により、沖縄の人々に対する迷惑料の還元の意味も含まれているのでは無かろうかと推測される。

 それはそれで良い。

 困ったことは、軍用地が高い地代であることを理由にして投資対象として売買されていることである。その経済行為に、私は懸念しているのである。

 軍用地は、国の所有であるべきではなかろうか。軍用地を借地で賄うものでは無かろう。

 インターネットで沖縄の軍用地の売り物件を捜すと、かなりの物件が見つけられる。

 一つの売り物件を示せば、下記である。

 場所        沖縄市嘉良山    嘉手納飛行場用地
  土地面積          938u
  固定資産税          167,050円
 年間借地料          1,841,872円
 売価格              92,093,600円

 米軍嘉手納飛行場の中の938uの貸地が、92,093,600円で売りに出されている。

 恐らくこの貸地も、売出価格で近々売買されるであろう。
 
 この貸地のu当り価格は、

                    92,093,600円
                 ───────    = 98,181円                      
                      938u

である。

 1u当りの地代(年額)は、

                    1,841,872円
                 ────────  = 1,964                        
                     938u

1,964円である。

 月額u当り163.7円である。坪当り541円である。

 地代から公租公課を差し引いた純地代は、

              1,841,872円− 167,050円=1,674,822円

1,674,822円である。

 地代の公租公課倍率は、

               1,841,872円
           ──────── = 11.0                                
                167,050円

  11.0倍である。

 地代の還元利回りは、

            1,674,822円
          ───────  = 0.0182                                
           92,093,600円

1.82%である。

 銀行の定期預金の金利は今幾らなのか。調べれはすぐ分かるであろう。1.82%もしているであろうか。

 都内の住宅地の公租公課倍率は3〜4倍である。

 都内の住宅地の地代の還元利回りは、1%以下の水準である。

 地代坪当り540円の水準は、江戸川、足立区の住宅地の地代水準である。

 沖縄の米軍軍用地の土地が、気づいて見たらいつの間にか外国資本に1/3も握られていたと云うことになりかねない。

 それでも良いであろうか。

 米軍軍用地の土地は、固定資産税の50倍を目途に売買価格がつけられているようである。

 下記に、ネットに売土地として出ている案件の利回り一覧等の分析結果を記す。

 事例Aは、上記分析した事例である。データは平成30年3月現在である。計算は田原による。


  A B C D E F G
土地面積u 938 483.16 245 126 100 46 295
固定資産税 円 167050 67371 34986 17570 13944 6415 43295
年間借地料 円 1841872 762928 399734 198959 157904 72635 490118
売価格 円 92093600 38146400 18387764 9947950 7895200 3631750 22545428
u当り価格 円 98181 78952 75052 78952 78952 78951 76425
u当り地代 円/年 1964 1579 1632 1579 1579 1579 1661
純地代 円 1674822 695557 364748 181389 143960 66220 446823
公租公課倍率 11 11.3 11.4 11.3 11.3 11.3 11.3
地代還元利回り 0.0182 0.0182 0.0198 0.0182 0.0182 0.0182 0.0198
価格/借地料 50 50 46 50 50 50 46


 データの所在は下記である。

 A   沖縄市嘉良山    嘉手納飛行場 
 B   沖縄市字森根    嘉手納飛行場 
 C   北谷町北前     キャンプ瑞慶覧 
 D   沖縄市字宇久田   嘉手納飛行場
 E   沖縄市字宇久田   嘉手納飛行場 
 F   沖縄市字宇久田   嘉手納飛行場
 G   宜野湾市字大山   普天間飛行場

  鑑定コラム186)
「沖縄の家賃と不動産利回り」

  鑑定コラム297)「沖縄の軍用地の価格と地代についての論文」

  鑑定コラム1763)「平成30年住宅地価上昇率上位はニセコと沖縄(1)」


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