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1771)港区家賃6年間で30%の上昇

 東京の4月は、就職、大学入学と、住宅居住者の一番移動の多い時である。

 東京の高度商業地の土地価格は、アベノミックスの黒田日銀の金融の超超緩和の資金が不動産に流れ込み、馬鹿高く高騰して来た。リートバブルである。

 しかし、都心高度商業地の地価高騰にも係わらず、住宅の家賃はあまり変動せず、地域の中には下落している地域もあった。

 そうした地域の住宅家賃も底を打ったのか、ここ一年上昇に転じてきた。

 ここ6年の間、東京の家賃は上がっているのか、下がっているのか。上がっているとすれば、どれ程上がっているのか。下がっているとすれば、どれ程下がっているのか。

 東京の平成24年4月と30年4月の2DK家賃の比較を行って見た。

 採用データは、全国宅地建物取引業協会連合会が運営する「ハトマークサイト」というホームページ発表の「賃料相場」データによる。

 東京の2DK(40u)の募集家賃である。

 平成30年4月の家賃は、鑑定コラム1770)で分析掲載されている。

 平成24年4月の家賃は、拙著『改訂増補 賃料(地代・家賃)評価の実際』P168〜170(プログレス)に掲載されている。

 平成24年4月〜30年4月までの6年間で、最も家賃上昇したのは港区である。

 u当り家賃は、下記である。

    平成24年4月  4,913円
    平成30年4月  6,395円

 上昇率は30.2%である。

 次いで千代田区、中央区、新宿区と続く。都心4区の上昇である。上昇率は、下記である。

      千代田区    24.8%
      中央区     12.4%
      新宿区     12.0%

 都心4区の2DK家賃が激しく上昇しているのに、一方、6年間で値下がりしている区もある。

             江戸川区    ▲5.8%
             葛飾区          ▲2.3%
             大田区          ▲2.1%

 東京の6年間の家賃の変動一覧は、後記に記す。

 家賃が上がっているのか、下がっているのかが分かるのは、比較するある時点の家賃が分かっているから出来るのである。

 過去の時点の家賃が分からなければ、家賃の変動を知ることは出来ない。

 拙著『改訂増補 賃料(地代・家賃)評価の実際』で、平成24年4月時の北海道から沖縄までの市区町村の2DK家賃を記した。
 
 弟子屈町、一戸町、益子町、邑楽町、湯沢町、山中湖村、内灘町、養老町、舞鶴市、宝塚市、琴浦町、善通寺市、砥部町、太宰府市、指宿市、豊見城市等、ほぼ日本全国の地域の平成24年4月時点の家賃がわかる。

 現在の家賃はネット等で容易く知ることが出来る。

 現在の家賃と24年4月の家賃を比較することによって、現在の家賃はどういう家賃の状況にあるか知ることが出来る。

 家賃評価のスライド法の尺度は、家賃変動率に優る尺度はない。

 その家賃評価のスライド法の変動率の計算根拠にすることは出来るであろう。

 過去の賃料などと馬鹿にしてはならない。過去の賃料など今の賃料とは関係なく、役立た無いから、必要では無いと思ってはいけない。過去の賃料があって、現在の賃料があるのである。賃料変動率がわかるのである。

 上記都心4区の賃料が値上りしている一方、同じ23区内で値下がりしている区もあると分かるのは、過去の賃料が分かっているから分かるのである。

 データが無かったら、江戸川区の賃料は、6年間で5.8%下落していると云うことを、どうして知ることが出来るのか。

 港区の賃料から、江戸川区の現在、過去の賃料を求めることができると主張する人がいるかもしれないが、その求め方が適正であるとする合理性の証明は、甚だ困難であり、説得力は無い。

 今迄、不動産鑑定で、日本全国の地域の同一時点の具体的家賃を発表したものが無かった。

 それ故、家賃評価で私は苦労した。

 その苦労を少しでも解消しょうとして、上記のごとく日本全国の地域の同一時点の家賃一覧を著書に記した。

 平成24年以降、各年の四半期毎の日本全国の各地域のワンルーム、1DK、2DK、3DK、4DKの家賃は、手許にデータとして蓄積している。


地域 平成30年4月 平成24年4月 変動率
千代田区 5545 4443 1.248
中央区 4225 3760 1.124
港区 6395 4913 1.302
新宿区 3438 3070 1.120
文京区 3098 2975 1.041
台東区 2913 2690 1.083
墨田区 2348 2368 0.992
江東区 2435 2405 1.012
品川区 3175 2875 1.104
目黒区 3423 3400 1.007
大田区 2448 2500 0.979
世田谷区 2810 2860 0.983
渋谷区 4380 4173 1.050
中野区 2598 2560 1.015
杉並区 2500 2540 0.984
豊島区 2618 2550 1.027
北区 2225 2163 1.029
荒川区 2385 2275 1.048
板橋区 2100 2088 1.006
練馬区 2098 2133 0.984
足立区 1803 1775 1.016
葛飾区 1808 1850 0.977
江戸川区 1905 2023 0.942
平均     1.047
       
八王子市 1530 1548 0.988
立川市 1840 1755 1.048
武蔵野市 2445 2385 1.025
三鷹市 2183 2178 1.002
青梅市 1313 1288 1.019
府中市 1835 1905 0.963
昭島市 1558 1480 1.053
調布市 1993 2115 0.942
町田市 1553 1600 0.971
小金井市 1948 1898 1.026
小平市 1693 1610 1.052
日野市 1698 1610 1.055
東村山市 1630 1585 1.028
国分寺市 1915 1848 1.036
国立市 1938 1925 1.007
福生市 1435 1460 0.983
狛江市 2138 2225 0.961
東大和市 1425 1473 0.967
清瀬市 1583 1478 1.071
東久留米市 1508 1625 0.928
武蔵村山市 1408 1368 1.029
多摩市 1688 1873 0.901
稲城市 1720 1755 0.980
羽村市 1358 1323 1.026
あきる野市 1313 1333 0.985
西東京市 1743 1905 0.915
平均     0.999


  鑑定コラム1770)
「平成30年4月東京2DK家賃」

  鑑定コラム1769)「東京2DK家賃は上がっている(平成30年1月)」

  鑑定コラム1748)「京都の家賃は平成24年〜30年1月で6.7%の上昇」


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