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現在(2018年9月初旬)、日本経済新聞の「私の履歴書」は、すかいらーく創業者の横川竟(きわむ)氏の執筆文章である。
横川竟(きわむ)氏は、「すかいらーく」を創業した横川四兄弟の3番目の人である。
横川竟(きわむ)氏の「私の履歴書」が始まった時、「すかいらーく」の創業者の履歴であるから、掲載文の中で、いつかは必ずすかいらーく1号店の話が出て来るであろうと思いながら、執筆文章連載を読んでいた。
2018年9月11日掲載文についに出た。引用すると下記である。
「東京国立市に家を借りたときの不動産会社に「インターチエンジ近くにいい場所はないか」と聞いた。すると交差点に近い麦畑が府中市内で売り出されており、兄弟で見学に行ってすぐに気にいった。1号店が決まった」
この文中に出てくる不動産業者は、今は亡き私の知り合いの不動産業者である。
その不動産業者には、私は不動産鑑定士になってから色々と不動産業について教わったことが多く、その彼と以下の会話をしたことを覚えている。
「田原、インターの近くのすかいらーくに行った事があるか。」と問う。
「行って食事しているょ。米映画の「ジャイアンツ」に出てくる郊外レストランにそっくりで驚いた。」と私は答えた。
「あのレストランの土地は、私が仲介したょ。すかいらーく1号店の店だょ。」
と不動産業を営む彼は云う。
すかいらーくが郊外レストランを次々と出店しているその1号店の敷地を仲介したことについて、不動産業者は仲介業としての誇りを持っている様であった。
そうしたいきさつもあり、私はすかいらーく1号店は国立店であると知っていた。
今回横川竟氏の「私の履歴書」で、改めてそのことを再確認することになった。
すかいらーくが、郊外レストランの店舗スタイルをテーブル型にしたのは、横川四兄弟のアメリカ視察で、カリフォルニア州で店舗展開していた「ライオンズ」というカフェレストランの店作りが、日本にぴったりと感じたためと横川竟氏は述べる。
すかいらーく1号店の国立店に入って私が受けた驚きについては、鑑定コラム237(2005年10月3日発表)で記しているが、その部分を下記に転載する。
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「アメリカの郊外にあるレストランというものがどういうものか、「ジャイアンツ」という映画で初めて知った。
その頃の日本には見られなかった郊外レストランというものに目を見張った。
そしておよそ10年後、東京の府中という町に住むことになり、中央高速自動車道路の府中インターチェンジに近い甲州街道沿に、新しく出来た駐車場付のフアミリーレストランというものに初めて入った。
それは昭和45年(1970年)頃だったか。
真新しいレストランの中に入って内装、テーブルの造り配置を見て驚いた。
米映画「ジャイアンツ」で大牧場主が人種差別に怒り、レストランの主人を殴りつけたレストランシーンが即座に思い浮かばれた。
「これはあの「ジャイアンツ」で見た、あのアメリカのフアミリーレストランではないのか。
日本にもアメリカの郊外フアミリーレストランが登場したのか」と。
その店は「すかいらーく」という名のレストランの国立店であった。」
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ジョージ・スチーブンス監督は、米映画「ジャイアンツ」の中で、ヒスパニック系の家族の入店を断るレストランの主人の姿を見て、怒る牧場主とレストランの主人との格闘によって、アメリカの人種差別を見事に描いた。
前アメリカ大統領のオバマ氏は、大統領就任演説で、「ジャイアンツ」で描かれているごとくの経験を述べている。
「60年前、レストランで食事することを拒絶された男の息子が、今、あなた方の前で最も神聖な宣誓が出来るのだ」と。
このことについては、鑑定コラム503)「オバマ米新大統領就任を米株式市場は歓迎せず」で記した。
米映画の名作の一つに入る「ジャイアンツ」を想い出させる「すかいらーく」1号店は、違った意味で歴史に残して良い名店の一つといえるのではなかろうか。
「すかいらーく」という店名がどうしてつけられたのか私は知らなかったが、翌日の2018年9月12日の「私の履歴書」の記述で、それが分かった。
「すかいらーく」1号店の国立店は、府中市と国立市の行政境にあり、府中市に属している。
居住する市町村は、市町村章のほかに、木、花、鳥をそれぞれの市町村のシンボルとして発表している。
府中市のシンボルの木は欅、花はうめ、鳥はひばりである。
ひばりの英訳は、「すかいらーく」である。
店名は国立店としたが、店舗が存在するのは府中市であるからそのことを示す方法は無いものかと考え、府中市のシンボルの鳥は「ひばり」であるから、英訳の「すかいらーく」を店名にしたと横川竟氏は述べる。
「すかいらーく」という店名は分かり易く、良い店名である。
だが現在は、「すかいらーく」店名は無くなった。
「すかいらーく」1号店の国立店の名前は、「ガスト」国立店という名前になってしまった。
私は講義している桐蔭横浜大学の学生に、米映画「ジャイアンツ」をビデオ店から借りて見てみょと勧めている。
その映画は不動産鑑定とは無関係であるが、アメリカの西部という地域の変わり方、そしてアメリカ産業の移り変わりをしっかりと知ることが出来、見て損はしないから是非鑑賞せょと勧めている。
若くして死んだ名優ジェームス・デイーンが残した3つの作品の一つである。
鑑定コラムを訪れた人にも、米映画「ジャイアンツ」をDVDで見ることを勧める。
そしてフアミリーレストランでの男の格闘を見て、人種差別を考え、そしてすかいらーくがモデルにしたアメリカの当時の郊外レストランとはどういうものであったか知っておくのも無駄では無い。
鑑定コラム237)「すかいらーくの小僧寿し本部の30%株式の買収価格」
鑑定コラム503)「オバマ米新大統領就任を米株式市場は歓迎せず」
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