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1870)東京は中古マンション価格バブルか

 公益財団法人東日本不動産流通機構が毎月調査して発表している東京の中古マンションの成約価格は、平成24年11月を底にして値上りし続けている。

 平成30年10月の価格は、u当り67.71万円となった。

 東京は中古マンション価格バブルでは無いかと思われる。

 平成13年4月〜平成30年10月までの東京中古マンションの各月価格をグラフで示すと、下記グラフである。


東京中古マン30



 鑑定コラム1418)で、平成27年10月の価格(61.91万円/u)まで記した。

 その後の成約価格も上記グラフで見るごとく、値下がりせずに値上りしている。

 各年の1月〜12月迄の年間平均価格を計算して記すと、下記である。公益財団法人東日本不動産流通機構が毎月調査して発表している東京の中古マンションの成約価格の各月の金額を総計し12で割った数値である。但し平成13年は、4月〜12月までの金額を期間月数で割った数値である。計算は田原による。

      平成13年    38.88万円
     平成14年    39.36万円
     平成15年    40.05万円
     平成16年    40.98万円
     平成17年    42.68万円

     平成18年    45.59万円      平成19年    52.23万円      平成20年    52.70万円      平成21年    49.45万円      平成22年    51.84万円
     平成23年    50.46万円      平成24年    49.24万円      平成25年    52.26万円      平成26年    56.38万円      平成27年    60.41万円
     平成28年    64.01万円      平成29年    66.39万円

 平成19年〜20年は不動産ファンドバブルである。不動産フアンドバブル崩壊後、価格は平成24年まで下落する。

 平成24年11月のu当り48.08万円を底にして、それ以後上昇し続ける。平成30年1月以降の価格を記すと、下記である。

        平成30年1月	68.03万円
        平成30年2月	67.71
        平成30年3月	70.21
        平成30年4月	68.93
        平成30年5月	68.41
        平成30年6月	69.00
        平成30年7月	68.01
        平成30年8月	68.33
        平成30年9月	69.43
        平成30年10月	67.71

 平成30年3月に70.21万円/uの価格をつけると、価格が下落している。

 各月の価格をグラフ化して見ると、あの時点がピークだったとか、底だったと分かるが、それは結果論である。

 結果を見てからでは、誰だって後講釈して、それは云える。

 データの過程から、ピークに近いとか、ピークであるということを推測することが出来ないものか。それも出来るだけ簡単な方法で。

 いろいろデータをいじくって、事前に近い将来の価格動向を推測できないか幾つかの分析手法を考えて検討して見た。

 幾つかの手法の試行錯誤を得て、ある方法で先の予測が完全ではないがある程度出来るのではないかと云う手法を見つけることが出来た。

 その方法は、極めて簡単である。次に記す。

 当月の価格が、前年同月の価格と比較してプラスか、マイナスかを知る。

 マイナスの月数、プラスの月数のそれぞれを合計して、計算する。

 求められたプラス或いはマイナスの月数値を12で割り、それに100を乗じる。

 その求められた数値の大小で価格の動向をかなりの程度知ることが出来る。

 年途中で月数が12ヶ月にならない場合は、前の月を含めて直近1年とする。

 例えば平成15年の場合で求めてみる。

 14年の月の価格と15年の月の価格対比する。下記である。価格は円/uである。

                   平成14年          平成15年         対前年比

1月 38.03 39.99 + 2月 39.69 39.52 - 3月 40.90 40.36 - 4月 39.70 38.20 - 5月 39.81 40.52 + 6月 40.36 40.17 - 7月 40.27 40.64 + 8月 40.40 39.33 - 9月 39.37 39.63 + 10月 39.13 40.33 + 11月 40.27 40.53 + 12月 39.68 41.37 +
価格下落月数(マイナス月数) −5 価格上昇月数(プラス月数) +7 合計 +2
2 ─────×100 = 16.7 ≒17 12

 17と求められる。この数値を「平成15年中古マンションDI値」と呼ぶことにする。

 上記と同様な求め方で各年のDI値を求める。

 (平成14年)
           価格下落月数      -3
           価格上昇月数            +9
               計                  +6

DI値 6 ──── ×100=50 12
 (平成15年) 価格下落月数      -5 価格上昇月数 +7 計 +2
DI値 2 ──── ×100≒17 12
 (平成16年) 価格下落月数      -2 価格上昇月数 +10 計 +8
DI値 8 ──── ×100=66.7≒67 12
 (平成17年) 価格下落月数       0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成18年) 価格下落月数       0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成19年) 価格下落月数       0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成20年) 価格下落月数      -6 価格上昇月数 +6 計 0
DI値 0 ──── ×100=0 12
 (平成21年) 価格下落月数      -11 価格上昇月数 +1 計 -10
DI値 -10 ──── ×100=-83 12
 (平成22年) 価格下落月数       0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成23年) 価格下落月数      -8 価格上昇月数 +4 計 -4
DI値 -4 ──── ×100=-33 12
 (平成24年) 価格下落月数     -12 価格上昇月数 0 計 -12
DI値 -12 ──── ×100=-100 12
 (平成25年) 価格下落月数      0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成26年) 価格下落月数      0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成27年) 価格下落月数      0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成28年) 価格下落月数      0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成29年) 価格下落月数      0 価格上昇月数 +12 計 +12
DI値 12 ──── ×100=100 12
 (平成30年直近1年間) 平成29年11月〜平成30年10月 価格下落月数    -1 価格上昇月数 +11        計          +10 DI値 10 ──── ×100=83 12

 平成30年8月に対前年比-0.13%のマイナス値が出現した。

 上記で求められた東京中古マンションDI値をまとめると、下記である。

              平成14年    50
              平成15年    17
              平成16年    67
              平成17年    100
              平成18年    100
              平成19年    100
              平成20年      0
              平成21年    -83
              平成22年    100
              平成23年    -33
              平成24年   -100
              平成25年    100
              平成26年    100
              平成27年    100
              平成28年    100
              平成29年    100
              平成30年     83

 上記価格DI値を説明すると、下記である。

 DI値のプラスの数値は価格上昇を意味する。100とは一年間価格が上昇したということを意味する。

 DI値のマイナスの数値は価格下落を意味する。−100とは一年間価格が下落したということを意味する。

 プラス値で右肩下がりで0を切った場合は、その年の価格が最高値と判断出来る。

 マイナス値で右肩上がりで0を切った場合は、その年の価格が最低値と判断出来る。

 平成14年〜16年までは、価格の上昇、下落の勢力の攻防の状態である。上がったり下がったりしている。

 平成17年では、全月価格上昇となる。平成18年、平成19年も全月価格上昇である。

 平成20年に価格下落が生じる。DI値が0となる。このことから平成19年の価格が最高値の年と判断出来る。いわゆる不動産ファンドのピークの年である。

 平成21年も下落が続くが、途中から上昇に転じる。

 平成22年は全月上昇であり、不動産ファンドバブル崩壊から立ち直ったと思ったら、平成23年は再びマイナスのDI値になる。

 これは、平成23年3月の東日本大震災が生じ、それによった価格が再度下落に転じることになった。

 平成24年は全月下落である。

 平成25年はプラスに転じ、全月上昇である。マイナイの状態から右肩上がりで0を切っていることから、平成24年が底値であったと判断出来る。

 平成26年は全月上昇である。平成27年、平成28年、平成29年も前年上昇である。

 平成30年は10月までのデータである。そうした場合は、直近1年のデータとして、前年の11月から平成30年10月までのデータで計算する。

 平成30年の8月に対前年比の価格がマイナスになった。過去5年間対前年比の価格がマイナスになることは無かった。DI値は100であった。

 それが平成30年8月に-0.13%とはいえ、マイナスが出現した。DI値は83となった。このことは今迄の価格状態と異なる状況であり、中古マンション市場が変化しょうとしている兆候とも考えられる。

 価格のピークが過ぎたと云うことと、価格が下落する前触れといえないであろうか。


  鑑定コラム1418)「東京の中古マンション価格過去最高のu当り61.91万円」


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